1876-09-01から1ヶ月間の記事一覧
1876年9月28日 木曜日 「クララ、貴女はもっと几帳面になりなさい」 母に朝から怒られて、私はふて腐れたまま台所に立っていた。今日はお逸がお姉さまの孝子を連れて来るので、パイを作ることにしていたのだ。 「あれ、クララ? 機嫌でも悪いの?」 …
1876年9月27日 水曜日 富田夫人は今日引っ越しをされた。来週ご主人が帰国なさるので、おうちを整えにいかなくてはならないのだ。なんだか残念である。いらっしゃらなくなるとさぞ寂しいだろう。 富田夫人の家は三田にあって、ここから一マイルばかり…
1876年9月26日 火曜日 小野氏が早朝、結婚を知らせなかったお詫びにみえた。 「わたしが結婚したのは丁度ホイットニーさんが鎌倉に行っていた時でしたので」 だけど小野氏が三十三歳で仙台のサムライなのに対し、奥様は十五か十六の茶屋の娘さんだそ…
1876年9月25日 月曜日 美しい朝で一日が始まる。ここのところ、いい天気が続いている。 「申し訳ありませんけれど、おやお様はひどい風邪を引かれたので休ませて頂きます」 おすみがそう云って帰っていくのと入れ違いに、お逸がやって来た。 午前中に…
1876年9月24日 日曜日 昨日から荒れ狂っていた台風はようやく通過していった。築地付近は随分ひどいことになっているらしく、ビンガム夫人の家は客間・寝室・温室まで浸水してしまったそうだ。 昼食の直後、矢田部良吉氏というニューヨーク州のイサカ…