Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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1883-01-01から1年間の記事一覧

帰ってきたクララの明治日記 第10−3回

1883年12月11日 火曜 午後エマ・ヴァーベックが訪ねてくれて、くつろいでおしゃべりをした。 とてもいい人で、私はエマを尊敬している。 あしたは兄と横浜に行き、いただいた縮緬をチングリー洋服店で仕立てさせる。 横浜に行くといつも私は憂鬱にな…

帰ってきたクララの明治日記 第10−2回

1883年12月7日 金曜 大山将軍の先夫人である、昨年の8月24日に亡くなられた沢子さんは、母がかわいがっていた生徒であるが、私はその将軍と先月結婚したばかりの婦人と親しくなった。 この方は山川捨松さんと言って、十年か十一年間アメリカにいた人…

帰ってきたクララの明治日記 第10−1回

1883年11月29日 木曜 感謝祭 私たちは、来週清国へ向け出帆することになっている旗艦リッチモンド号のスカーレット艦長に別れを告げに、今朝横浜へ行った。 艦長は私たちの親切な友人であった。 この二、三ヵ月よく家を訪ねてくださったこの紳士と別…

帰ってきたクララの明治日記 第9回解説

【帰ってきたクララの明治日記 超訳版解説第9回】 「随分とテンションが乱高下していますわね、クララ。 貴女と一緒の時はやはり気分が楽なのか、テンションが高くて日記の筆も弾んでいますけれど、一人きりになるとまだ駄目のようね」 「仕方ないよね、た…

帰ってきたクララの明治日記 第9−3回

1883年11月24日 土曜 新しい友が一人ふえた。 吉原重俊租税局長夫人がお嬢様の数えで八歳のお祝いに、アディと私を招いてくださった。 午後一時にお逸さんを誘って、一緒に吉原夫人の家へ行った。 それはすぐ近くで、大きな、半ばヨーロッパ風の住ま…

帰ってきたクララの明治日記 第9−2回

1883年11月20日 火曜 昨日午前中、私は生徒のウタさんとお逸さんの家へ行き、それから彼女の妹の梅子のために帽子を買いに銀座へ行った。 妹さんはいつも洋服を着ている。 私たちは大さわぎをして、とうとう青いフェルトのかわいらしい小さい水兵帽…

帰ってきたクララの明治日記 第9−1回

1883年11月19日 氷川町 月曜 今日で私たちが日本に着いてからちょうど一年になる。 そして私の現在の立場から省みて、この一年、私の足は、よくも長いでこぼこ道を歩いてきたものだ。 そして何といろいろなことを経験してきたことかと、驚くばかりで…

帰ってきたクララの明治日記 第8回解説

【帰ってきたクララの明治日記 超訳版解説第8回】 「うーん、うーん、うーーーん…………」 「何をいきなり呻ってますの?」 「うーん、今週って解説すべき点が全然思い浮かばないんだよね。昨日からずっと考えてるんだけど」 「小崎弘道氏と前田献吉氏の解説を…

帰ってきたクララの明治日記 第8回−4

1883年8月8日 ほんの一年前の今日、私はなんと豊かで幸福であったことか。 そして今は貧しくとり残されて。 私はスコットランドにいたのである。 あの美しいスコットランドに。 クライド川をのぼってアランヘ素敵な旅をしていた。 私はあの雲一つない…

帰ってきたクララの明治日記 第8回−3

1883年6月19日 火曜 ユーイング夫人が来週土曜日に出発されるので、その前に一度お目にかかりたいと思って、先週土曜日に加賀屋敷に出かけた。 本当によい訪問であった。 それから健康を害しておられるフェノロサ夫人をお見舞いした。 夫人はとてもや…

帰ってきたクララの明治日記 第8回−2

1883年6月12日 火曜 今朝私は昨年の日記を見て、去年の六月のことを思い浮かべていた。 何かとても昔のことのような気がする。 その頃には父も、母も生きていて私は十分に満ち足りていた。 私は別の生き物のような気がする。 何もかもまるで変わって…

帰ってきたクララの明治日記 第8回−1

1883年6月2日 土曜 勝夫人が昨日の朝お赤飯を届けてくださった。 それは大層みごとな箱に入っていて、美しい刺繍のある袱紗がかけてあった。 小鹿さんの健康が恢復したので、病気中のお見舞いに対する内祝なのである。 ちょっとたってから行ってみると…

帰ってきたクララの明治日記 第7回解説

【帰ってきたクララの明治日記 超訳版解説第7回】 「この解説コーナーでは何度か先走って紹介しちゃったけれど、うちの父様が随分クララのお母様に入れ込んでいたのがよく分かる証拠がこれね、5月31日のこの日記の一節」 『宗教については、ホイットニー…

帰ってきたクララの明治日記 第7回−4

1883年5月31日 木曜 昨夜私は大層うれしいニュースを耳にした。母は天国でそれをご存じだろうか。 津田氏が来られてこんな話をされた。 親睦会で雄弁に説教をされた大阪の宮川氏が勝氏をたずねたところ、こう言われたというのだ。 『宗教については、…

帰ってきたクララの明治日記 第7回−3

1883年5月25日 金曜 私は火曜日から横浜のヘップバン夫人の家に行っていた。 「お兄さんが結婚したら、うちの娘になりなさい」 ヘップバン夫人がおっしゃってくれた。 こんな素敵な家庭に、こんな良い人たちといっしょに住めたらほかに何を望めよう。…

帰ってきたクララの明治日記 第7回−2

1883年5月18日 金曜 今日は日本福音伝道会の閉会式が行なわれたが、そこで面白い光景を見た。 私は二時に出かけ、劇場で開かれると聞いていたので島原へ行ったが、ステージの上の役者を一目見て場所を間違えたことに気がついた。 しかしじきに場所が…

帰ってきたクララの明治日記 第7回−1

1883年5月16日 水曜日 私は最近一人ほっちでいることが多い。 だから、考えたり計画を立てたりする時間が十分にある。 私は昨夜兄と楽しい語らいをした。 兄は神の国にふさわしい善良な人のように思える。 最近大統領からアメリカ領事館の通訳に任命…

帰ってきたクララの明治日記 第6回解説

【帰ってきたクララの明治日記 超訳版解説第6回】 「前回の解説でも少し話したけど、クララの日記の雰囲気、随分変わったでしょ?」 「確かに。お母様を亡くした直後の日記であることを差し引いても、日記全体の醸す雰囲気が来日宣教師の日記に似てきた気が…

帰ってきたクララの明治日記 第6−2回

1883年5月14日 月曜 今日内田夫人のお茶摘みの手伝いをした。 相当量があるので、できるだけたくさん手伝いがほしかったのだ。 天気は良いし、外で涼しいすがすがしい春の空気にひたって、とても気持ちがよかった。 私の思いはたえず天のいとしい者へ…

帰ってきたクララの明治日記 第6−1回

1883年5月8日 火曜日 氷川町 私の生活は変わったように見えるが、それでいて、不思議に普段のとおりだ。 私の生活に関係するあらゆること、家のこと、読書、書きもの、教えること、そして私の考えまでもがすべて、私の大切な母の考えと絡み合い、母は…

帰ってきたクララの明治日記 第5回解説

【帰ってきたクララの明治日記 超訳版解説第5回】 「かくして、アンナ・ホイットニーは49年の生涯を日本で終え、青山墓地に正式に葬られた最初の外国人となりましたの」 「アンナ先生のご冥福を謹んでお祈りします。。。」 「アンナ・ホイットニーと日本…

帰ってきたクララの明治日記 第5回

月曜日の午後に、トルー夫人がおいでになって一晩泊まってくださった。 「トルーさん、あなたをおつかわしくださった主に感謝します」 母は云った。 ベルツ先生がその夕方来られ、診察してくださった。 先生は明るい調子で母と話し、また来ますよと約束され…

帰ってきたクララの明治日記 第4回

1883年4月30日 月曜 ああ、生きながらえて今日の日を見ようとは! しかしこれが現実なのだ。 私は今日は孤児として日記をつけなければならない。 まるで恐ろしい悪夢を見ているようだ。 しかしこれは夢ではない。私は母なし子だ。 神はわが愛しい、最…

帰ってきたクララの明治日記 第3回解説

【帰ってきたクララの明治日記 超訳版解説第3回】 「今週はなんとも解説甲斐のない、本当の日常のエピソードだったねー」 「解説的にはそうかも知れませんが、歴史資料という面からではそうでもありませんわ。 東京で腰の高さまで雪が積もった、というのは…

帰ってきたクララの明治日記 第3回−5

1883年2月25日 土曜日 私たちは相変らずだが、徐々に落ち着いてきている。 ただ同胞から離れ、最近は道が悪いために多くの日本人の友人だちからまでも隔離されている。 まるで勝家に閉じ込められているようだ。 そして当家の人たちは私たちにとってす…

帰ってきたクララの明治日記 第3回−4

1883年2月16日 木曜日 生徒の六蔵は今日は来なかった。私も来るとは思っていなかった。 昨日、読本巻一で、犬に読みを教えている子供をうたった短い詩を読んでいた。 こっちへこい、こい こっちへおいで 教えてあげるよ A、B、Cを! 六蔵は堂々と…

帰ってきたクララの明治日記 第3回−3

1883年2月7日 火曜日 勝氏のうちの若い人たちぱ今日午後にとても愉快なことをした。 昨夜は大雪で、今朝は文字どおり雪に閉じ込められた。 ヨシと武夫は一晩中わが家に泊まり込んでいた。新しい女中たちはとうに出てしまっていたし。 雪が腰まで積もっ…

帰ってきたクララの明治日記 第3回−2

1883年2月2日 木曜日 今日は面白いことがあったので、日記に書いておく。 使用人の金太郎とハルに暇を出した。 ハルと別れるのはいやだったけれど、金太郎は「まったくもってまったく」我慢ができなかった。 ハルは泣いていた。そして、別れをひどく悲…

帰ってきたクララの明治日記 第3回−1

1883年1月30日 火曜日 今日はビンガム夫人を訪問し、とても楽しかった。 ビンガム判事は本当に親しみを持てる最良の公使である。 考えてもごらんなさい。 神の王国にとても近くにおりながら、そこにまだお入りにならない。 私の腕をとって、丁重に人…

帰ってきたクララの明治日記 第2回解説

【帰ってきたクララの明治日記 超訳版解説第2回】 「再来日の日記から、一ヶ月以上日にちが飛びましたわね」 「アンナ先生の体調、ずっと悪いままだったから仕方ないんじゃないかな?」 「そんな中、あなたの弟である梅太郎君の記述が一気に増えていますわ…