【#朝鮮日報】新型コロナよ、君の故郷はどこなのか

　全世界で新型コロナウイルスの感染者が300万人を超える中、主要国が自国で拡大しているウイルスがどこからやって来たのかを追跡している。感染拡大防止に向けた基礎データとして活用するためだ。

　感染者からウイルスを検出し、ゲノム分析を行えば、ウイルスの伝染経路を把握することが可能だ。ウイルスが経由してきた地域や人種的特性が反映された塩基配列が見つかるからだ。それによって、ウイルスはアジア系、欧州系、米国系に分類できる。アジア系は中国発とみられている。欧州系と米国系は中国発かどうかはともかく、それぞれの地域で社会感染を引き起こした後で拡散したものだ。これはウイルスの変異とは異なる。変異はウイルスの形態が変わり、伝染力や毒性が変わることを意味するからだ。塩基配列を通じた伝染系統の調査は一種の身元調査であり、どの地域で広がっているウイルスが流入してきたのかを把握するものと言える。

■中国、米国、欧州系統のウイルス混在

　4月28日の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、欧州で新型コロナウイルスが初めて発見されたフランスのパスツール研究所は、フランス全土の患者90人余りから検体を採取し、ゲノム分析を行った。その結果、ウイルスの起源とされる中国から来た患者が感染源ではないことが判明した。ほとんどのウイルスが中国系統ではなく、欧米から流入したものだった。

　29日の朝日新聞によると、日本の国立感染症研究所が3月以降、新型コロナウイルスの検査で陽性となった約560人を対象に調べた結果、日本で広がっているコロナウイルスは起源と推定される中国ではなく、欧州系統である可能性が高いことが明らかになった。同研究所はクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」から広がったウイルスは1月初めに中国・武漢で検出されたウイルスと関係が深いと推定されるが、3月以降は欧州各国に広がったウイルスと遺伝的特徴が近いとみられると指摘した。米国ではニューヨークなど東海岸では欧州系統と米国系統、シアトルなど西海岸では中国系統と米国系統が混在していることが分かった。

　中国東北部のハルビンでは予想に反し、米国系統と欧州系統のウイルスが多数検出された。ハルビン医科大学の研究チームが29日発表した。ハルビンの地元当局による調査では、3月19日に米国から帰国した中国人女性が感染源と推定されている。

　コロナウイルスのゲノム解析国際データに登録された韓国人34人のゲノム分析資料によれば、韓国ではほぼ全てがアジア系統で、中国から流入したと推定される。ただ、平沢地区では米国系統のウイルスが発見された。米軍部隊を通じた伝染と推定される。

■心臓攻撃、小児炎症など特異性

　コロナウイルスが肺だけを攻撃するわけではないことを示す事例が増えている。米国、英国などではコロナウイルスに関連する正体不明の重症疾患の乳幼児が数十人見つかった。ロイター通信は先月28日、米コロンビア大病院で感染が確認された幼児3人が珍しい炎症性疾患の症状を伴い、治療を受けたと伝えた。これに先立ち、英国、イタリア、スペインでも類似した症例が報告されている。

　米国心臓学会はコロナウイルスが心臓疾患を起こしていると警告した。心筋の損傷がコロナウイルスによる入院患者の20～30％で見られ、そのために死亡率が高まっていると指摘した。

キム・チョルジュン医学専門記者