Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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日曜恒例異文化交流クイズ。ジャポニズム特集第4回は「『笛を吹く少年』をジャポニズムと絡めて高く評価し、後にマネが肖像画を描いた批評家兼作家とは一体誰でしょう?」という問題でした。
正解は「テレーズ・ラカン」「居酒屋」「ナナ」などの小説で知られる文学者エミール・ゾラでした。正解はいつものように(笑)Mr.ROMさんとsumaさん(の旦那様)でした。ゾラの詳しい経歴はこちらを参照して頂くと分かりやすいかと。「後に彼は世界史の教科書にもその名が記されることに」というのは、ヨーロッパ中を震撼させることになった、かの有名なドレフュス事件における「私は弾劾する」の一文ですね。
なお「居酒屋」や「ナナ」などの連作シリーズは《ルーゴン・マッカール叢書》として纏められていますが、これは物語が基本的にルーゴン・マッカール家という一族に連なる人間たちを描いているからです。ですがこの一族……殆ど全員と云って良い程、破滅的な人間ばかりで(例外はごく一部)、代表作とも云うべき「ナナ」に至っては、本人のみならず、誘蛾灯に引き寄せられるようにナナの元に集まってきた男たちを悉く巻き込みながら盛大に破滅していきます。特に最終盤でのその様は圧巻です。や、破滅すると分かっていても、そんな女性に熱を上げるフランス男性の生き様に感嘆すべきかも知れませんがw。
ちなみに完全に個人的な話ですが、講談社メフィスト賞に投稿し、巻末座談会で京極夏彦さんの元担当編集者の方に「この人、歴史には詳しいんですが、キャラクターが書けていません」と酷評された(苦笑)作品は、この「ナナ」を本歌取りした作品だったり。ナナが無惨に死んだ(と設定されている)晩、「ベルリンへ! ベルリンへ! ベルリンへ!」の大合唱がパリ中に満ちる中、物語は開幕致しますから(どなたか読んで感想頂ける方、募集中w)。
更に余談ですけれど、自分が一番好きなゾラ作品はマイナーこの上ないですが、最近「数十年ぶりに」再版された『ボヌール・デ・ダム百貨店』。この作品、フランスの片田舎から出てきた少女がヒロインで、極貧や苛めに耐えながら最後には幸せになる、というゾラらしからぬ小説です。というより、この長大な叢書シリーズで「唯一の」ハッピーエンド作品、と云われていたり(もっともその影では無数の人間が不幸になっていますが(汗)。
ですが本書の見所はヒロインたる彼女ではなく、描かれた百貨店の勃興そのもの。この百貨店に集う客達に対する、ゾラの慧眼たるや凄いです。女性客の集客方法――女性の購買心理の突き方、目玉となる特売品とそれの店内での配置方法、ディスプレイの工夫の仕方、更なる客を集める為の店内の無料喫茶店の設置やら、百貨店内での展覧会開催――に関しては、現在の百貨店の戦略と殆ど変わりません。「都市に住む女性の購買心理」というのは、今も昔も、洋の東西を問わず変わらない、ということなんでしょうねw。
ちなみにこのボヌール・デ・ダム百貨店は当然架空のものですが、当時パリにあった百貨店を複合的にモデルにしているそうで、当然の事ながら作中でも日本製品売り場の記述もあり「年を経るに連れて拡大中」というところまでしっかり描写されていたり(^^)。お暇がありましたら是非ご一読を。但しネックは値段がちと高いことと、その本のあまりの厚みですね。今測ったら4.5センチありました。寝転がらないと読めないですよ、この厚さまで来ると。
さて今回は微妙に横道にされましたが、次週以降も浮世絵が印象派作家に与えた影響についての各論についての話題の予定です。引き続き来週もお付き合い下さいませm(_)m。