1879-11-01から1ヶ月間の記事一覧
1879年11月30日 土曜 今朝は芝の礼拝堂に行くはずのところを、インブリー氏が築地で説教なさるのを聞き逃したくないと思い、計画を変えた。 しかし説教なさったのはグリーン氏だった。 日曜学校に行こうとしていたら、梅太郎が一緒に行きたいと云う…
1879年11月29日 土曜 今日は八時の汽車で横浜へ行った。 母は婦人会に出席するために、私はヘップバン夫人にお会いするためだった。 ウィリイが出迎えてくれ、無事人力車に乗せてくれた。 母は先に二一二番地に行き、私はヘップバン夫人のお宅に向か…
1879年11月28日 金曜 お逸は今日徳川家へ行った。毎月八の月に行くのだ。 一体なんに惹かれてだろうか? 「お菊が結婚するの」 お逸が突然そう云うので私はびっくりした。 「結婚ですって、いつです!?」 「今日よ」 お菊は勝家にずっといるものとば…
1879年11月27日 木曜 感謝祭 母はひどく腹を立てて図書クラブから戻ってきた。 私が辞めて母に仕事を譲ったのだけれど、例によってイギリス人の女の人たちがとても失礼だったのだ。 会長のケネディ夫人を知らないので名刺を渡したところ、ケネディ夫…
1879年11月26日 水曜 今朝、朝食後、母とウィリイと私は銀座まで行った。 が、その直前にウィリイは勝氏に会いに行って、長話をしてきた。 勝氏は現在の事態を厳しく批判されたそうだ。 「西郷隆盛氏の死後は日本には正直な人間は一人もいない」とま…
【クララの明治日記 超訳版解説第98回】 「………………………………………………」 「………………………………………………」 「…………お逸、貴女、クララの一番の親友なのでしょう? 何か云いなさいよ!」 「親友だからって、なんでも云えるわけないじゃないの! ……しかし、それにしても何の脈…
1879年11月24日 月曜 今朝、富田夫人と倉庫に預けてあるトランクにしまっておいた駝鳥の羽根をとりに行った。 夫人はとても愛想よくもてなしてくださり、茶の間の火鉢のそばに私たちを坐らせ、おいしいお菓子やお茶を出して下さった。 森夫人の出発…
1879年11月23日 日曜 今夜、ディクソン氏はいつもより早く、疲れた様子でいらっしゃった。 客間で長い間母と話をしておられたが、私はお目にかかりたくなかったので、食堂のストーブのそばにずっと座っていた。 今日、私ははからずも自分の心の底を…
1879年11月22日 土曜 今日は悲しいことが起こり、相反する二つの思いに胸が張り裂ける思いだ。 こんな個人的出来事を書くことが賢明であるとしたら、本当に悲劇的なシーンを描写できるのだが。 母は身体の調子がとても悪い。 そして私たちはアメリカ…
1879年11月21日 金曜 今日のお昼、松平おやおさんが、いつものお供であるおすみと小泉氏を連れずにみえたので驚いた。 昼食が終わるとすぐにみえ、四時までいらっしゃった。 村田夫人もみえ、富田夫人も朝からいらっしゃったので、お逸、疋田夫人も…
1879年11月20日 木曜 ウィリイが明日まで帰らない予定だったので、今日のYMCAの親睦会にはディクソン氏が連れて行って下さることになっていた。 けれども彼はとても早く行かなければならないので、代わりに弟さんが来て下さった。 ジェイミーは…
1879年11月19日 水曜 今朝起きると、真っ先に目に入ったのは、ベッドの足下に置いてあった一反の美しい絽。 添えてあったカードで、森夫人から母へのお別れのプレゼントと分かった。 とても幅が広くて、ドレスをつくるのに十分で嬉しい贈り物だ。 以…
【クララの明治日記 超訳版解説第97回】 「甥っ子さん、可愛いですわね、お逸」 「……うん、我が甥ながら可愛いとは思うわよ。クララに元々懐いていたし」 「まだ落ち込んでますわね、この娘は。 貴女とクララの悲しい別れのシーンはまだ少し先なんですから…
1879年11月13日 木曜 母は昨日横浜へ行って、ディクソン氏とジェイミーに会った。 ディクソン氏とアンガス氏は夜、家に来て一緒にドイツ語の勉強をした。 二人ともとても機嫌がよくて、本当に楽しかった。 今朝母と銀座に行き、亀屋やそのほかの店で…
1879年11月11日 火曜 今日はジェイミーとテニスをする約束をしたが、起きてみたらその段ではない。 滝のような雨で、晴れる気配はまったくない。 大山氏の赤ちゃんのおみつが昨晩死んだと今朝聞いた。 可哀想に、冷たい雨と風の中を旅立ったのだ。 …
【クララの明治日記 超訳版解説第96回】 「今回の主人公は“宗教問答”の藤島氏ですわね。 先週のお逸のお姉様とクララとの“宗教問答もどき”とは、全く次元が違いますわ。 それもその筈、この藤島氏。非常に“不思議”な経歴の持ち主ですの。 藤島氏は幕臣だと…
1879年11月9日 日曜 主の御心が今日も現わされ、祈りが聞き入れられ、救いの手が差し伸べられたことを、主の御名において感謝いたします。 今朝はディヴィッドソン氏が、真の光キリストについて説教なさり、私はありがたく聞いた。 午後の日曜学校に…
1879年11月8日 土曜 今朝アディを連れて、英国大使館まで歩き、図書館でアストン氏に会った。 背が高く、黒い縮れ毛に、精悍な口ひげ、黒くキラキラした目をしたハンサムな人で、まるでスペイン人のようだ。 私が入ってきたので戸のところにさっと立…
1879年11月6日 木曜 大山夫人の赤ちゃんの加減がとても悪く、今週はなかなか来られなかったので、寂しかった。 森有礼氏がイギリス公使として赴任されることは昨日聞いたばかりだ。 しかし今日、森氏はウィリイに「もしあなた方が倫敦に行くようなこ…
【クララの明治日記 超訳版解説第95回】 「綺羅星!」 「…………はいはい、その通りですわね。 今回紹介したディクソン氏の弟は事実、今日の日本の英語教育の礎を作った人物として、日本の英語教育史にその名を残していますわ」 「折角久々にオタネタでボケた…
1879年11月4日 火曜 今朝はとても疲れていたので、遅くまで寝ていた。 だがウィリイは鳥と一緒に起きて、面白い手術を見に本郷に出かけた。 あの人はおそろしい手術があると大喜びで、もう一人前の、切った張ったの外科医だ。 今晩はお逸の一番上のお…