Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第97回−2

1879年11月13日 木曜
母は昨日横浜へ行って、ディクソン氏とジェイミーに会った。
ディクソン氏とアンガス氏は夜、家に来て一緒にドイツ語の勉強をした。
二人ともとても機嫌がよくて、本当に楽しかった。
今朝母と銀座に行き、亀屋やそのほかの店で買い物をし、家に帰ったのは一時近かった。
母がジェイミーと約束してあったので、私はすぐにテニスにでかけた。
とても楽しくて四時頃までやった。
それからドイツ語の授業に急いで戻ったが、門のところで近所の軍人の奥さんである高木さんにひきとめられた。
いくつですか、コートはいくらですか、アメリカまでどのくらいありますか、どこに行っていたのですか、いつ結婚なさるおつもりですか、等々。
そんな幾つか不躾な質問を浴びせかけられたが、なんとか答え「日曜日においでください」と云った。
奥さんは、ありがとうとは云ったが、いつかアメリカに行きたいということだった。
授業の後、母がディクソン氏に云った。
「この前の日曜に、藤島さんの言ったことについて、娘が書きましたよ」
「ああ、そうですか。是非見たいですね。
藤島氏が何を云っていたのか分かれば、今度答えることを考えておけますから」
でもその文章は私の日記に書いてある。そこで私は云った。
「別のものに書いて差し上げますから、しばらくお待ち下さい」
「いえ、是非すぐに聞いてみたいのです」
しかしすぐに聞きたいと仰っるので、私は少し考えてから云った。
「……少し残って下されば読み上げます」
正直なところ私はとても嫌だった。
私の日記に彼の名前がこんなに頻繁に出て来ることが、表紙からさえ分かってしまうのではないかとさえ思えたからだ。
私が取り出した日記を見て、ディクソン氏は「随分厚い日記ですね」と驚いたように云った。