Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第96回−1

1879年11月6日 木曜
大山夫人の赤ちゃんの加減がとても悪く、今週はなかなか来られなかったので、寂しかった。
森有礼氏がイギリス公使として赴任されることは昨日聞いたばかりだ。
しかし今日、森氏はウィリイに「もしあなた方が倫敦に行くようなことがあったらどうぞ来て下さい」と仰ったそうだ。
母も倫敦の富田氏からお手紙を頂いたが、手紙の中で富田氏はディクソン氏の弟さんに会ったばかりですと書いていた。
その当の弟さんが今日本にいるのだから不思議な感じだ。
ドイツ語の授業の後、ディクソン氏はお茶に残った。
ウィリイは横浜に行ってしまっていたので、とても静かで楽しい夕べだった。
ディクソン氏はオルガンを弾き、私は洒落たレースを編んだ。
それから私がオルガンの弾き歌いをし、ディクソン氏はかたわらの椅子に坐って、とてもくつろいだ様子でアメリカの新聞を読んだ。
そのうち、私たちは出発のことについて話し出した。
「私たちは三月に帰国予定ですの」
母がそう云うと、ディクソン氏は「どのルートですか?」と聞いた。
「ロンドンとパリに寄ってみたいですので、ヨーロッパ周りのルートにしたいと思っています」
「もしロンドンに行かれたら絶対スコットランドまで行って、私の母と会って下さい」
「でも時間がないのではないかと思います。
ウィリイが六月までに帰国しなければならないものですから」
「ロンドンまでいらしておきながら、私たちを飛ばすなんてひどいですよ。本当にあんまりです。
それにエジンバラはロンドンと同じく由緒ある場所なんですよ」。
そしてディクソン氏はスコットランドの風景を鮮やかに描写しだした。