Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

クララの明治日記 超訳版第99回−3

1879年11月28日 金曜
お逸は今日徳川家へ行った。毎月八の月に行くのだ。
一体なんに惹かれてだろうか?
「お菊が結婚するの」
お逸が突然そう云うので私はびっくりした。
「結婚ですって、いつです!?」
「今日よ」
お菊は勝家にずっといるものとばかり思っていたので、私はひどく驚いた。
食事の後、花の刺繍をした美しい縮緬の着物に、白い紋織の半衿をしてお菊が別れを告げに来た。
驚くほど美しい帯を締めて、白粉を濃く掃いていた。
悲しさに胸がいっぱいという風に泣いていたが、無理もない。
長い間育んでくれた家を出て、見ず知らずの人たちと一緒に住むのだ。
可哀想に、花婿は桜川町に住んでいる経師屋で、お菊を一度しか見たことがない。
当然の事ながら、お菊の方は全然知らない。
別当が知っていて、お菊がよいとこの男に推薦したという。
今日は裁縫日だったので十一時に富田夫人、およしさん、三浦夫人が来たが、その上にグレイ夫人とビンガム夫人がジェシーを連れてみえたので、お昼は大勢だった。
ミシンを持ち出し、グレイ夫人がすぐ縫えるようにしてくださった。
四時まで縫物、編物、お喋りをして、とても楽しかった。
午後にはリーランド夫人もおいでになった。
ビンガム夫人は図書クラブで母の受けた仕打ちにひどく怒っていらっしゃった。
そしてハリー・パークス卿について長い話をしてくださった。
ある会合で、パークス卿は出席していた公使たちを全員侮辱したそうだ。
更にビンガム公使には面と向かって「自分の云っていることが分かっていない」と云ったそうだ。
しかしビンガム公使は、パークス卿がシェリー酒を飲み過ぎていたことを知っておられたので、取り合わなかった。
またパークス卿夫人が「早く戻ってほしい」と云って寄越したのに「重要な条約の調印が終わるまで待たなくては」と云って、夫人の死に目に会えなかったということだ。