Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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第6話「魔術師二人(後編)」の感想・考察を、本編シナリオと読み比べながら御紹介。シナリオからの引用が多く、益々長文化していますので、ご注意をば。
前回に引き続き、パニックソニックコースター。基本的にシナリオ通りなのですが、どうも微妙な台詞回しと表情だけで随分印象が違います。まずシナリオの方を関係分だけ抜粋すると以下の通りに。
>「―――ふん。ようやく出てきたわね、衛宮くん。」
> 大きく肩を上下させながら、遠坂が待ち受けていた。
>「勝負あったわ。ほら、そのヘンテコな武器を捨てなさいよ。
>こうなったら衛宮くんに勝ち目なんてないでしょう」
> ふふん、と勝ち誇る遠坂凛
>「………………」カチンときた。
> 正直、無謀だなって分かってはいるが、なんだかともかくカチンときてしまったのだ。
>「……そんなのやってみなくちゃわからないだろ。
> 肩で息してるクセに偉そうなコト言うな、ばか」
> てっていこうせんだ、とばかりに椅子の足を遠坂に突きつける。
>「―――ふうん、そう。
> わかったわ、大人しくするなら優しくしてあげようって思ったけど、そんなのは
>いらないお節介だったみたいね。ええ、だから初めに謝っておくわ、衛宮くん」
> にたりと。
> なにか、とんでもなく不吉な笑みを浮かべるのは止めて欲しい。
>「? 謝るって、なんでさ。というか、いまさら謝られてもこの恨みは忘れないぞ」
>「ええ、わたしが謝るのはこれからの事よ衛宮くん。
> だって下手に抵抗されたら手加減は出来なくなるでしょう?
> 手元が狂って貴方を殺しちゃったら、もう謝罪はできないじゃない」
>「――――…………!」うわ、こいつ本気だ……!
>「―――これが最後の忠告よ。
> そのヘンテコな武器を捨てて、令呪を出しなさい。最悪腕の神経を剥がす事になる
> けど、命を獲られるよりはいいでしょう?」
これがアニメだと、どういう感じになるかと云えば。。。
>「勝負あったわ。ほら、そのヘンテコな武器を捨てなさい。
> どうせ衛宮くんに、勝ち目なんてないんだから」
 ↑断定系に変更。かつ勝ち誇るというより、冷酷に事実を告げる感じに言い捨て。
>「………………」 カチンときた。
>「……やってみなくちゃわからないだろ。
> 肩で息してるクセに偉そうなコト言うな、ばか」
 ここで士郎ではなく、露骨に怒りの表情を浮かべる凛の方をインサート。
>「―――ふうん、そう。
> わかったわ、なるべく優しくしてあげようって思ったけどいらないお節介だったかな。
> 先に謝っとくわ。手元が狂って殺しちゃったらごめんなさいね」
>「なっ!? おまえ、それ、本気か?」 
>「本気よ。やって分かってくれた?
> 最悪腕の神経を剥がす事になるけど、命を獲られるよりはいいでしょう?
> これが最後の忠告。令呪を渡しなさい」
つまるところ、凛の言動と表情が、シナリオより相当きつくなっているんですね。たとえばシナリオ上のこの描写。
> にたりと。なにか、とんでもなく不吉な笑みを浮かべるのは止めて欲しい。
この辺りに戦いの中でも何処かしら、「ふふん」と勝ち誇るシーンにも共通する、士郎に対する親しみに似た感情が読み取れるわけですが、アニメの描写では何処までも冷徹です。もっともこの辺はエンディングはFateルート準拠だと考えれば、敢えて削っているのだとも思えますけれどね。加えて女子生徒の悲鳴が聞こえてからの次のシーンもそうですね。
>「待ってったら! 一人で先走ったら危ないわよ!」
>「そんな場合か! さっきの悲鳴、どう聞いても普通じゃなかったぞ!」
>「わかってるわよ! だから危ないって言ってるんじゃない、ばか!」
シナリオだと上の通りで、士郎のことを案じているわけですが、テレビだと、
>「待ちなさいよ、ばか。一人じゃ……!」
殆ど反射的に引き留めているだけにしか聞こえません。あとこれはシナリオ上、明確には描写はされていないんですが、倒れている女子生徒を見下ろしている点もマイナス。シナリオの状況的には駆け寄って、寄り添っていると思われるのに、士郎に「どいて」と云うくらい場所的に離れたところに、しかも見下すように立っている。絵コンテの問題だと思うのですが、人の命の危機にこの反応はおかしいのではないかと。あと更に云えば、介護している凛の表情が真剣に見えない、というのは致命的かと(汗)。
で、引き続き士郎VSライダー戦。で、いきなりおかしな点が。
>クン、と体が前のめりに倒れそうになった瞬間、
>喉もとを狙って、釘のような短剣が突き出された。
>「っ…………!」とっさに躱した。
>後ろでも横でもなく、つんのめる体に逆らわず、思いっきり地面に前転してやりすごした。
の筈が、アニメでは棒立ちでアッサリ斬られている士郎。これではライダーの完全なポカか、意図的に外したようにしか思えません。更に士郎が間抜けに見えてしまうのが、次の台詞。
>「は、大した事ないな、他のサーヴァントに比べたら迫力不足だ――――!」
シナリオでは数度にわたる攻撃を塞いだ後の言葉なのですが、アニメではただ一撃、正面から放たれたものを躱しただけで、いきなり増長。困ったものです……。
あとライダーの鎖から士郎を開放した凛の攻撃。シナリオでは『無数の光弾』と描かれていて恐らく宝石によるものだと思われるのですが、アニメではガンドに。……ガンド、早くも「素敵便利ツールw」と化している気が。。。
その後の治療シーンもシオリオ通りに見えますが微妙にアレンジが加わってます。アニメでは腕の治療をした後、凛はさっさと立ち上がりますが、シナリオ上では士郎が横顔に見とれて、そしてライダーとの戦闘経過、そして「先程の続き」をするかに関しても、治療したその間近な状態のまま、告げています。その辺を全て告げ終わった上で、
>「やらない。今日はここまでにする。なんだかしらけちゃったし、また借りができちゃったし」
> 立ち上がって、パンパンと膝を払う。
>「じゃ行くわよ。辛いだろうけど、うちに着くまで我慢して」
> ほら、と手を差し出してくる遠坂。
という流れなのですね。勿論コンテのカット数の問題で変更しているのならば別なのですが、どちらを選択してもこの場合はカット数は同じに出来ます。という事は、恐らく意図的にやっていると考えるのが妥当かと。つまりあくまで凛とは「同盟関係」のラインで行くのでしょう。つまりルート自体もやはりFateルート準拠なのかと。続く遠坂邸での同盟成立のシーンでもそれが裏付けられますね。
>「わかってるわよ。それより衛宮くん、とりあえず休戦しない?」
> ―――と。
> ドキッとするぐらい軽やかな笑顔で、とんでもない奇襲をされた。
このシーンも本来凛のアップ絵でコンテ切っても良いはずなのに、何故か遠景ですし。制作側は演出意図としてやっている(と思われる)のでしょうが、このシーンのシナリオを脳内で絵コンテに起こして視聴した者としては些か残念なのは否定できないかな、と。
この後の凛による士郎の素性についての問いのシーンでも基本的に同じ傾向が見られますが、一点だけ疑問が。シナリオに余裕があるわけではないだろうに、何故ここで切嗣の魔術師としての態度に、凛が怒るシーンが組み込まれるのかと。Fateルート本編だけ描くのならばこのシーンは蛇足だと思うのですけれど、果たして意図があるのか、それとも単純に「士郎が夜遅く帰る」というシーンを作るためだけなのか(だったら相当間抜けだけど)、イマイチ意図が掴み切れません。敢えて云えば凛の「魔術師である前に、貴方の父親であることを選んだのよ」の所でしょうか? 後にセイバーの切嗣との過去に絡めるにしても、必須とは思えませんし、はて?
さて、そのセイバーさんですが、衛宮邸の縁側に一人佇み士郎の帰りを心配して待ちますが……藤ねえの「晩ご飯はなんだ?」の問いにあっさり「揚げだし豆腐」と看破。……いや、コミカルで楽しいと云えば楽しいのですが、色んな大切なものを置き去りにしてしまっている気がしないでもないような……。
更に続く間桐邸では、薄闇の中でニヤつく慎二。まあそっちはいいとしても、何故そこで完全に目の焦点が飛んでいる美綴のシーンを入れるのかと。いえ、シナリオでは発見されたのが「路上」だっただけで「その前」がどうだったのかは描かれていませんけれど、なんか蛇足、というか美綴ファン的には少し複雑な心境に。
そして今回分で、Fateルート準拠の有力な論拠となり得そうなのが、遠坂邸からの帰りのアーチャーとの対峙。一見シナリオ通りに見えるかも知れませんが、ここでは全く中身が別物になっています。ここのシーンは、Fateルート7日目(2月6日)の「深夜〜就寝/異なる者」のチャプターに、アレンジを加えたバージョンです。
>「おまえ、セイバーには戦わせないらしいな」
>「悪いかよ」
>「……やはりな。小僧の考えそうな事だ。他人の助けはいらない。出来る事は全て自分でやる。
>加えて犠牲者は一人も出したくない、か―――虫酸が走るな、その思考」
>「なっ……! おまえに言われる筋合いなんかないぞ!
> 俺は俺が正しいと思う事をするだけだ、文句を言われる謂われはないっ……!」
 (中略)
>「ふざけるな……! 俺はセイバーに負担なんてかけていないっ!
> あいつの代わりに俺が戦うんだから、それでいいじゃないか!」
>「ふん、戦わなければ傷つかないとでも? サーヴァントは戦う為だけの存在だ。
>それから戦いを奪う事こそ冒涜だが―――まあ、おまえに言っても始まるまい」
 (中略)
>「おまえは本気で、戦わずにこの争いを終わらせるつもりか。
>誰とも争わず、誰も殺さず、誰をも殺させないと?」
>「……争わないとは言ってないだろ。戦う時は戦う」
>「なるほど。それで戦っても誰も殺さない、と」
>「そうだよ。なんか文句あるか」
>「おまえの甘ったるい考えに邪魔などせんよ。そんな余裕はないし、そこまで酔狂ではない」
>「理想論はあくまで理想にすぎない。おまえが理想を抱き続ける限り、現実との摩擦は
>増え続ける。おまえが取ろうとしている道はそういうものだ。
> ならばいつか現実に直面し、その折り合いのツケを支払う時がくる。
>おまえのその選択が、多くの命を奪う事もあるだろうよ」
この辺りとテレビ版を聞き比べてみると、よく分かります。このシーンに関してはテレビ版のシナリオアレンジの方が、確かに分かりやすく、かつ格好よく映りますね。
ともあれ、UBWルートの要素を取り入れるならば必須である、以下のやりとりなどが微塵も存在しない以上、やはりFateルート準拠と云うことでファイナルアンサーかと。
>「その―――そうだ。アーチャー、おまえも聖杯が欲しいのか?」
>「聖杯―――? ああ、人間の望みを叶えるという悪質な宝箱か。そんな物は要らん。
>私の望みは、そんな物では叶えられまい」
>「幸せな男だ。本当に考えた事はなかったのか?
> いいか、サーヴァントとは呼び出される者だ。
> 否、英霊とは全て自らの意思ではなく、他者の意思によって呼び出される。
> 過去の功績によって英霊となり、以後は人々の間で語り継がれ、その支えになるもの」
>「―――だが。その、当の英霊自身が心の底から、“人間の助けになりたい”などと思っていると?」
そうして士郎、帰宅。ですが遠坂邸を夜8時に出たにもかかわらず、既に寝床に入っているセイバーさんは如何に魔力を抑えるためとはいえ、如何なものでしょうか?(汗) 心配していたようには微塵も見えないわけですが。。。
さて、異常に長くなった上に次回は珍しくオリジナル要素が増えそうですので、次回予告に関する考察はまた後日、ということで失礼致します。