Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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第7話「蠢動」の感想・考察を、本編シナリオと読み比べながら御紹介。
まず総論として「1話単体で見ると」という条件ですが、個人的には今回がこれまでの一番良い出来だったかと。前回までは物語を追うのに必死で、本編シナリオの切り貼りをしていただけの印象でしたが、今回は程よくシナリオとアニメがアレンジ。ただ1話丸々使って「セイバーとの揉めごと&凛と結界潰し」では全然物語が進んでないわけで、これが終盤になって響かなければいいのですけれど。
あと、セイバーの腹ぺこ王振りが流石にちと行き過ぎかと気懸かりではありますが、一応アレはセイバーなりの士郎に対する心配と怒りの現れ、と理解すればいいのでしょう。士郎を正座させての昨日の出来事に対する説教も、凛との協力関係の報告に対する反応も(シナリオ上の台詞を上手く組み合わせ)その指摘は的確この上ありません。
そして玄関先でのプチ修羅場。このシーンてっきりFateルート五日目の「朝/薔薇と紫陽花」での凛と桜のシーンをそのまま持ってくるのかと思いきや、殆どオリジナルと言って良く、かつそれが非常に上手くセイバーと凛のキャラクターの個性を出しています。
前日の士郎の行動に対しての抗議の意味もあって一緒に登校するように主張して、即座に実行しようとするセイバー。そのセイバーの反応を予測、セイバーが理に重きを置くことを看破して納得する理論を構築するも、弓道部の部活が休みな事を失念していて桜とバッタリなうっかりをかます凛。
ただ桜の反応だけは、凛との口論シーンが消えてしまったため、明らかに印象が弱くなっています(昼休みの士郎との会話シーン、そしてその後、桜の名前を聞いて微妙な反応をする凛で補完されてはいますが)。なお「桜の反応が黒っぽい」と思われる節もあるかも知れませんが、実際シナリオでも最初の遭遇シーンはそんな反応です。
>「――――遠坂、先輩」
> どうして、という顔。桜は怯えを含んだ目で遠坂を見上げている。
つまり、全く原作を知らない視聴者にとっては、ここと昼休みの凛の桜に対する反応で、第4話での街角での凛と桜の邂逅シーンとその微妙な二人の関係が、何らかの意味を持ってくるように思われるよう、脚本構成されているわけで、今後まだまだ桜が本編に関わってくる可能性はあり得そうです。ただ桜が全面的に表に出てくるとイリヤの出番が、イリヤが表に出てくると桜の出番が減りそうなのは、痛し痒しでしょうか?(最終決戦で桜が聖杯になればイリヤがその前に退場してしまいそうですし、イリヤが聖杯になればこの流れだとFateルート通りの流れでしょうし)。
そして士郎と凛の登校シーン。Fateルート5日目の朝だと、ここで桜も一緒に登校していて慎二と揉め事を起こすわけですが、そちらが前日の話の流れ上カットされ、本来5日目の昼休み&6日目の朝で語られている結界に関する情報を細かくコンパクトに纏めています。そこに一成が登場、士郎を赤いあくまの魔手から救いだそうとw。今回の屈指のコミカルシーンですね。その後の昼休み共々、あまりにもナチュラルな一成の反応なので、シナリオの何処かに見落としたシーンがあるのかと捜してしまったり。その昼休みの反応もそうで、士郎に待ちぼうけを喰わされ、ご立腹の遠坂さん。段々“あかいあくま”っぽくなっていきますw。
ただこの昼休みのシーンですが、やはり衝撃的だったのは保護された美綴の描写。シナリオ通りの描写と云えば描写なのですが、絵にしてみるとやはり酷いシーンです。UBWではそのまま退場となってしまいますが、アニメでは何処かで補完して頂きたいものです……って、来週の回では慎二が士郎に同盟を持ちかけてくるわけですが、士郎と美綴が友人であることを知っていて、かつその美綴にそんな酷い仕打ちをしておいて、士郎がごく当然のように自分の仲間になると確信している(であろうと思われる)慎二の精神構造、今更ながら如何なものかと(汗)。ちなみに微妙な変更点ですが、UBWの日付で言うと2月3日(4日目)で慎二と共に行方不明になった美綴は、翌2月4日(5日目)、士郎VSライダーの戦いがあったその日の夕方には保護されていますが、今回は更に一晩過ぎていますね。だから更に惨さが目立ちやすいのですけれど。
それに引き続く、凛による結界の説明シーンと、かつ士郎の探知能力の描写、放課後の呪刻探しはアニメらしくては非常に分かりやすい描写だったかと。特に男子トイレに肩を怒らせながらドカドカ入っていく凛とか、脚立の上の凛にドキドキの士郎とか。
そして放課後の屋上。既にこの頃には凛の性格を把握している士郎。その笑顔の意味まで身に染みて分かってそうですw。ここで再びFateルート5日目の昼休みのシーンより、缶コーヒーのエピソードと、父親に関するエピソードが。前者は士郎のこまめさを、後者は後々描かれるであろう切嗣と士郎のエピソードの遠い伏線となり、ほぼシナリオ通り。ですが、昼休みではなく、このシーンを敢えて放課後に持ってきたお陰で、沈みゆく夕焼けを背景に、絵的に非常に美しいシーンとなっています。これは脚本の組み立ての妙と、コンテの勝利でしょう。基本的にFateのアニメは、派手な戦闘のない静かな回は良作傾向なのですが、今回は特に素晴らしかったかと。是非この回のコンテ担当の方に、今後の重要な回での再登場に期待したいところです。シナリオで云えば、セイバーとのデートの回である「デート/ハリー・ゴー・ランド」あたりを特に期待です。


さて……ここまでなら手放しで褒めるところでしたが、凛と別れた直後の士郎。あれだけセイバーにも凛にも注意されたのに、それでも徒手空拳で一番ヤパケなところに単身乗り込んでいくのは流石にどうかと。……いえ、そういうキャラと云えばそう云うキャラなんですが、行動自体無鉄砲だと云われたFateルートでの士郎より、更に無防備で無鉄砲なのは……アニメの構成上仕方ないとはいえ、アニメだけしか知らない視聴者にとってみると、とんでもなくアレな主人公だと思われそうです……しかも全面否定できないですし(汗)。
そもそもシナリオのFateルートでの士郎は、何も出来ないなりに、そしてやり方は全然間違っていたにせよ、毎日死とギリギリのところの修行をしていたわけで、その辺の描写が全部すっ飛ばされているから、余計にそう感じるわけですね。
それと敢えてもう一つ云えば、UBWルートでのエピソードを一つ挟みはしましたが、基本はやはりFateルートである筈なのに、それにしてはヒロインとしてのセイバーの印象が薄過ぎます。その理由を改めて確認すべく、Fateルート序盤を読み直してみたところ、気が付いた点を何点か。①士郎がセイバーの真名を聞き出そうとしておらず、それ故のセイバーの欠落に気が付いていない、逆もまた真でセイバーもまた士郎の「欠落」を指摘していない(4日目「夜/マスター適性、低めでしょうか?」 参照)、②セイバーがいつも寝て士郎を待っているイメージで、帰宅時に出迎えたセイバーに士郎ドキドキのシーンもなく(5日目「下校〜夕方/セイバーへの質問」参照)、そしてこれが決定的だと思われるのが、③セイバーを「放っておけない」と云う士郎の気持ちがハッキリ見えてこないところですね。 一番分かりやすいと思われるのが、5日目「夕食〜就寝/激突、ライオン対トラ」のラストシーン。
>確かに、俺は矛盾している。
>セイバーの眠る部屋を避けて、土蔵に行こうとしている自分。
>反面、セイバーを一人にしておくのがたまらなくイヤだったさっきの自分。
>異性としてセイバーは苦手なクセに、人間としては放っておけないっていうのか。
勿論アニメではこのシーンの意味も籠める格好で、士郎がセイバーを桜と藤ねえに紹介するシーンが描かれているわけですが、それ以外の具体的なシーンがない。これはシナリオ上も実際にそうなのですが、シナリオの場合は士郎のモノローグで補完しているためプレイヤーは士郎の気持ちの変遷が判るのですが、アニメではその点が非常に判りにくくなっているのかと。
ただシナリオ上も、実際士郎とセイバーの対立と絆がハッキリしてくるのは、6日目夜の小次郎戦以降ですから、今後に期待、と云うところですね。


で、その小次郎戦にも繋がる次回第8回「不協の旋律」予告編解説。
1コマ目−伸びる小次郎の影、2コマ目−ジリジリするような士郎の表情、3コマ目−間桐邸でライダーを従える慎二、4コマ目−夜遅く帰還した士郎を玄関で怒りの表情で迎えるセイバー、5コマ目−調理中に振り向く桜、6コマ目−凛、バックを持って衛宮家襲来、7コマ目−得意そうに語る慎二、8コマ目−夜の闇を背景に怒りを露わにするセイバー、9コマ目−驚く桜、10コマ目−開け放たれた門を見つめる?士郎、11コマ目−凛のいる食卓風景。藤ねえ、士郎の襟首掴んで問い詰め開始w、12コマ目−8コマ目の続き?のセイバー、13コマ目−ライダーを従える慎二、14コマ目−士郎とエプロン凛の前に、玄関の扉を派手に開けて潜入の藤ねえ、15コマ目−士郎の部屋の前で何やら告げるようなセイバー、という具合。
凛が引っ越してくるタイミングがズレただけで、基本的にFateルート通りに、慎二との同盟関係を拒否して、そのまま士郎とセイバーの摩擦、考え方の違いの積み重ねの象徴としてのセイバーの単独柳洞寺突入、と云う流れになる模様。時間の尺的にも大体シナリオ通り+凛の引っ越しエピソードを加えれば、丁度小次郎登場でラストシーンになるのかと。
で、その小次郎ですが、どうやらCVは三木眞一郎さんが濃厚の模様で、こちらは個人的に嬉しい限り。Fate本編プレイし終わって最初に浮かんだ小次郎orランサーのイメージCVが三木さんでしたし、昔ちょっとしたご縁もありましたので(うちの本館参照)。それに川澄さんと三木さん、昔一緒にラジオ番組を持っていらして気心も知れているでしょうから、声優陣の演技的にもセイバーVS小次郎は注目したいところです。