Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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第18話「決戦」の感想・考察を、本編シナリオと読み比べながら御紹介。
……と思ったのですが、今回はオリジナル路線。ただオリジナルとは云っても、色んなルートから色んなシーンを切り貼りしているので、辻褄があわなくなってる部分が多々。
冒頭、桜を攫ったキャスターが、寺の廊下で過去を回想。操られたまま見知らぬ異国に連れ去られ、魔女の烙印を押され、唯一頼りになる相手に捨てられた悲しい王女の物語を、僅か3カットに凝縮……って、凝縮しすぎて原作プレイしていない視聴者は完全置き去り(汗)。そもそも一般的知名度から云って「メディアって誰?」と思うのが普通であって。このシーンは若キャス子さんのあどけない表情を楽しむだけのものと割りきりましょう。でもそれも演出上仕方ないとはいえ、予告のカラーからセピア色にされてしまったのが残念。
続いてキャスターがマスター殺しを犯し、柳洞寺前で倒れているところを葛木先生に救われるシーン……の筈ですが、マスター殺し云々をアニメ上で表現するのは諦めたようで「はぐれサーヴァント」として描いた模様。それはそれで良いのですけれど、魔力が枯渇しかかっていたキャスターをどのように救ったかはカット。と云うか、セイバーとのシーンを「3D竜で魔力回路をパックン(汗)」と描いてしまっている以上「そういう意味での」フォローは入れようもなく。PS2版では如何なる設定になっているのでしょうか? 甚だ不安です。。。とりあえずこのシーンも「葛木先生とキャスターとの間とやりとり」を楽しむ物だと思って割りきりましょう。そのように割りきりさえすれば、雰囲気のある良いシーンかと。


そしてAパート。突然布団で寝かされているイリヤとそれを看病する藤ねえ。……先週桜が攫われている間にイリヤの身に何が起こったのか、誰でもいいから説明して下さい、お願いします。。。
と云うわけで、何の説明もなくイリヤを都合良く退場させておいて、柳洞寺に乗り込む士郎たちご一行。山門の下で桜について語る凛たちですが、演出として「アーチャーの正体」同様あくまでも「直接的には」(表現を変えると「衛宮士郎には」)凛と桜が姉妹であることは明かさない演出方針のようで。士郎的にはもっと桜が囚われたことと凛の態度のおかしさをツッコンでも不思議はないのですけれど、士郎的には「桜は間桐家の人間だから魔術回路があっても不思議じゃない」ということで納得しているようで。……まあ、鈍感な士郎のことですからね(それで全て片付けるのもアレですが(汗)。ちなみに「魔術師又は魔術回路が必要なら何故同じ家にいたイリヤを捕らえなかったのか?」という点は最初から考慮に入れない方向で。


山門の途中で突如として脇の森に駆け込む遠坂さん。ここから突如舞台がHFの最終決戦の地、大空洞へと移ってしまいます。
>「いえ、柳洞寺に用はないわ。上で作られてる場は表向きの、ただ聖杯を欲しがるマスター用の門よ。
>……聖杯戦争の大聖杯(おおもと)に行こうっていうんなら、上じゃなくて下に行かないとね」
>階段から離れ、遠坂は森の中に入っていく。
    (中略)
>「む―――イリヤの話じゃこのあたりなんだけど……士郎、入り口らしきもの、見当たらない?」
>「らしきものって、なんだよ」
>「岩肌に人が入れそうな亀裂があるとか、あからさまに怪しい社とかよ」
    (中略)
>「―――――。士郎、振り向かないように」
> かちゃり、と小さな金属音がする。ライダーが目の拘束具を外したのだ。
>「……ありますね。天然の洞穴ですが、人間が入れない事もない。ここからでは一メートルほどで行き止まっているように見えますが、魔術による偽装が感じられます」
>「そっか、助かる。―――遠坂。それらしいもの、あったみたいだ」
>「――――当たり。この岩、簡単にすり抜けるわ」
シナリオではこう云う展開だったのですが、アニメでは時間の都合上あっさり発見。そして中に入るなり桜の悲鳴が。……静止画で見ると桜さん「見えちゃって」いるのですが、これは大丈夫?


そして凛たちが大空洞を抜けると……
「なんということでょう! そこには匠によって見違えるような神殿が広がっているではありませんか!」(CV.サザエさん)
>>「呆れた。やりたい放題ね」
……凛のこの台詞はアニメスタッフ自らに投げかけるべき台詞な気がしないでもないような。。。ひょっとして自虐ネタ? 折角集めた魔力をなんでこんな豪快に無駄使いしなければいけないので? いえ、HFのシナリオ通りですと確かに
>通路には生命力が満ち溢れている。それがあまりにも生々しい。
>活気に満ち、生を謳歌しようとする誕生の空気。
>それは夥しいまでの“生気”であり、視覚化できるほど垂れ流される魔力である。
とされていて、魔力が無駄にあるわけですから乱用しても構わないのですが「それならば何故冬木の町から魔力を吸い上げなければならなかったのか?」という問題が発生するわけで。
同じく無駄遣いと云えば、竜牙兵。「足止め」もしくは「魔力を浪費させるため」なら分かるのですが、この後の展開を見れば分かるようにキャスターとしては「凛を誘き寄せたい、セイバーは小次郎が足止めする、士郎には葛木先生で十分」と見込んでいる筈ですので、ここでも魔力の浪費が。これはスタッフが「王女様というのは本質的に浪費癖でもある」と判断しているのでしょう、きっと。。。
ただ戦闘シーン的に、凛の宝石魔術もガンドも最初の描写に較べれば随分進歩しているかと。……何故これが最初から出来ないのか、悲しいことです orz。しかし士郎が木刀を強化して戦闘しているのは「魔力の節約」と云うことで分かるとしても、セイバー、続く小次郎戦でもそうですが、何時の間に風王結界を止めたのでしょうか? 正体がバレたから意味がない、と判断している訳でしょうか? 不思議です。


竜牙兵を蹴散らしたところで、小次郎登場。門からの括りを外して貰えて良かったね、小次郎。……そんな設定、アニメではなかったことになっているようですが。これは展開上、仕方ないとは思うものの「それならそもそも舞台を大空洞にしなければ良かったのでは?」というツッコミはおいておいて。
士郎と凛をあっさり通させると告げる小次郎。今週一番ヤバかった作画が階段の上からのこのカット。凛もセイバーも首がない! にもかかわらず顔は正面。アングルを間違えてますね。ちなみにもう一つヤバかったカットは予告でも使われた竜牙兵を薙ぎ払うセイバーのシーンですね。
>「サーヴァントに召還されたこの身。与えられた魔力には限りがあるのだ。恐らく朝まで保つまい」
滔々と語る小次郎。ですがよくよく考えてみると、この瞬間まで「小次郎のマスターは誰?」という疑問を、凛も士郎もセイバーも抱いていないのは本来なら不自然なのです。普通に考えれば「柳洞寺にはキャスターとアサシンのマスターの二人いる」という結論を下す筈なのですが、何故かその点は故意に無視されているようで。。。
あと「恐らく朝まで保つまい」というのは、キャスターが存在する以上一見おかしそうで実は正しく、だけどよく考えればおかしい、という変な話。
と云うのは、そもそも小次郎は「キャスターが存在しているから現界している」のではなく「元々一定量の魔力を与えられた存在」だから存在しているのです。これはUBW11日目「魔女の思惑」での次の台詞で分かりますね。
>「――――黙りなさい。次に同じことを言わせるのなら、あと五日を待たずに消し去るだけよ」
その事はそれから5日後に当たるUBWの最終決戦直前にも再度語られるのですが「朝までしか保たない」という日数のことはさておいて、ここで矛盾が発生します。
>「……馬鹿な。何故ここにいるアサシン……! 貴方はキャスターが呼び出したサーヴァントだ。キャスターが消えた今、貴方が留まっている筈がない……!」
>「通常のサーヴァントならばそうであろう。だが私はちと特殊でな。この身を縛っているのは人ではなくこの土地なのだ。
> おまえたちがマスターと呼ぶ依り代。私にとっては、それがこの山門という事になる」
>「な――――土地が、依り代だと……?」
>「うむ。いかに魔術師と言えど、実体を持たぬサーヴァントにサーヴァントは維持できぬ。サーヴァントの依り代はこの時代のモノでなければならぬらしい。
>女狐は私を呼びだし、依り代にこの土地を選んだ。
>故に私はこの山門にのみ出現するサーヴァント。召喚者であるキャスターが滅びたところで、この山門がある限り消える事はない」
>「―――もっとも、それも日雇いにすぎんがな。
>女狐が私に与えた魔力はおよそ二十日分。その限度がいつか、おまえならば見て取れよう」
と云うことで、山門に括られていない段階でアサシンはキャスターの存在に依拠しない限り存在出来ず(本来なら「依拠していても」存在出来ない訳ですが)、だけどキャスターが健在である以上、朝までしか保たない、というのはおかしな話である、と。もっとも都合良くシナリオを切り貼りしている以上、このようなことを突き詰めて考えるだけ無駄だとは思うわけですが。。。


セイバーVS小次郎の開始直前の所で、Bパート突入。
大空洞の中心で士郎と凛が見つけたのは―――ボンテージ姿の桜さん。下からのパンでしたので一瞬「……スカート履いてない人?」と思ってしまったのは内緒ですw。というか、キャスター、セイバーを攫ったときに選んだ服とあまりにも懸け離れている訳ですが、何か桜に含むところが?
驚愕する士郎と凛の背後から襲いかかる葛木。……士郎、投影をますますノータイムで平然と行えるようになってきてます。しかもアニメ上では思い入れが大してあるとは思えない干将莫耶を。こういうのを「強さのインフレーション化」と云うのでしょうか? 強化が施されていると思われる葛木先生の拳にぶん殴られても平然と立ち上がりますし。ひょっとするとアニメは実はFateルートなどではなく「士郎のアーチャー化ルートじゃないの?」という疑惑さえ沸いたり。。。
でも、とりあえずここは士郎と凛の「良き戦友的掛け合い」を楽しむ場面と割り切りましょう。……色々と割り切りさえすれば、このシーンはうちの雑記的にもストライクゾーンなのですし。


それはこの後のセイバーVS小次郎戦も同様であって、この戦闘シーンのスピード感とセイバーと小次郎の掛け合いは十分に及第点以上のものかと。
少し閑話休題的に、今回の三木さんの演技に注目すると、登場シーンのAパート部分。相変わらず(ギャグ系は兎も角)シリアスな役所のナルシストな一人語り的シーンは完全には自己陶酔しきれていません。三木さんの演技については百本以上レビューを書いてきてて、演技のかなりアレな頃から知っていますが、他の点は尽く改善されたのに、この点だけは一向に改善されません。と云うか、ここだけは演技プラン的に変える気がないようなので、三木さんが演じる以上「そういうシーンはそういうもので」と考えるべきなのかと。
それでも戦闘シーンでのセイバーと語り合いは、川澄さんとはラジオを一緒にやっていたこともあって、掛け合いのタイミングもバッチリ。
>>「小次郎、と云いましたね」
>>「フッ、アサシンで良い。所詮偽りの名だ」
この後の掛け合いと斬り合いは、実はFateのアニメでの戦闘シーンとしては屈指の出来かと。……何故か階段上でなく、途中で踊り場での戦闘になっている点とか、更に後のシーンでエクスカリバーの大上段からの攻撃を「ただの刀で」マトモに受け止めているシーンは見なかったことにして。。。


一方、祭殿中央に進み出た凛。キャスター、完全に背後を取ったにもかかわらず、ここで襲いかからなかったのは……気まぐれか、桜の記憶を読んだ上で、姉妹同士生贄同士を争わせる意図があったのか。今回冒頭にキャスターの過去を持ってきた上で、この後、桜の耳元で囁きかけるシーンも含めて、キャスターが「家族」というものにそれなりに含むところがある、ということを象徴する演出なのでしょうか? 
この後の子凛と子桜のシーン。二人とも可愛いのですが、子桜がこれはホロウに出てきたミミちゃんそのもののように見えるのは……自分だけではないようで(汗)。あと細かいところですが、重要なところで抜けているのが凛の髪飾りの色とか。
そして黒化して凛に襲いかかる桜さん。桜の「実際の気持ちは兎も角」このアニメの描き方だと「キャスターに操られて攻撃している」と云うより「実は内心望んでいたから攻撃している」というようにしか見えないわけで。しかもこれは今回分だけではなく、これまでの放送で桜が時折見せた、凛に対する隔意とかで補強されてしまっている訳で。制作陣の意図がどうにも理解しかねます。。。
しかもそのままHFでの姉妹最終決戦シーンに突入。
>「――――Welt、Ende」
>大空洞は、一面の光に包まれた。
>爆散する。人の手では届かぬ奇跡を体現した宝石の剣は、崩壊の際において全ての影を打ち消していく。
本来宝石剣をぶっ壊すのと引き替えに黒い影を打ち払ったわけですが、ただの宝石で目眩ましした上で突貫。しかもここで本来短剣を先に持ち出したのは凛だった筈ですが、突然桜の手に現れて、そのまま突っ込んで来た凛をブスリ、と。キャスターの謀略、と云う意味合いの演出でしょうが……何か色々な物を台無しにしている気が。ただ、シナリオを全て忘れて、アニメそのままを楽しめるのならば「麗しい姉妹愛」に見えるのでしょう、きっと。。。
>>「忘れなさい、全部。もう悪い夢は終わりだから」
この台詞もスタッフの自虐? とか思ったりしたのは置いておいて。と云うことで、凛は桜の記憶を消した模様ですので、アニメでの桜の出番はここまででしょうか? そして引き続きキャスターが
>>「生贄は魔術回路を持つ魔術師一人いればいいのよ、お嬢さん」
と云っているところと、前回ラストシーンでのキャスターの台詞から云って、生贄は凛に変更かと。……随分まどろっこしい手順を踏んでいるようですが、それもキャスターさんの「魔女的様式美」の一環ということなのでしょう、きっと。。。


さて、我ながら摩耗が相当進んできた気がしますが、次回第19話「黄金の王」予告解説。
1コマ目−階段上で佇む小次郎、2コマ目−屋敷の中庭で士郎に振り返るセイバー、3コマ目−炎、4コマ目−橋をわたる士郎の後ろ姿、5コマ目−セイバーの攻撃を弾く小次郎、6コマ目−切嗣の遺影、7コマ目−戦闘中のセイバー、8コマ目−何かを語るキャスター、9コマ目−学園?を背景に振り返るセイバー、10コマ目−ギル様、11コマ目−身構えるセイバー、12コマ目−呆然と見上げるキャスター、13コマ目−セイバーを前に祭殿上に立つギル様。
と云うことで、遂にギル様登場! ……それは良いのですが、今後の展開を絡めると、いまいち解せません。「セイバーVS小次郎戦はUBW通りに決着。一方凛を生贄にして聖杯を呼び出そうとしたところにギル様が乱入し、キャスター、Fateルート通りに串刺し。恐らく葛木先生も同様の運命。そこに駆けつけたセイバーとの対面」という展開だとは思うのですけれど。
Fateルート通りですと、ギル様が一端引き上げた後に、凛も交えてその正体やら、セイバーの過去についてなど語り合う筈ですが、凛は重症、桜は記憶消去状態。そもそもどうやって二人を抱えて衛宮家までに辿り着くか(2コマ目)は……多分省略されるのでしょうね。
で、4コマ目の一人で橋を渡る士郎のシーンは、Fateルートのギル様襲来の晩のシナリオ通り、言峰教会に向かうところでしょう。尺的には言峰教会に向かったところで次週に続く、でしょうか? となると、更にその翌週の21回がセイバーとのデート?


その仮説に従って今後の展開を予測してみると、
21話Aパート−言峰教会。翌日、セイバーとのデート。
   Bパート−デート帰り。セイバーとの対立。ギル様、再襲来。
22話Aパート−士郎、再び言峰教会に。捕縛。
   Bパート−セイバー救出に。ランサー足止め。「貴方が私の鞘だったのですね」。
残り1話半でクライマッス、24話Bパートでエピローグと。
話数的にはギリギリ入りそうですが……凛が重症、桜は記憶消去、イリヤは床に伏せっている上に、藤ねえが看病している状態でセイバーとデート? ですが「セイバーとのデートイベント→セイバーとの対立」がなければ、Fateルートのテーマが全然描かれてないままに、ただ適当にシナリオのエピソードを摘み食い的に消化しただけで終わってしまいそうなんですが。。。
と云うより、既にその徴候がハッキリ現れていて「士郎にとってセイバーが、セイバーにっと士郎が」特別な存在だとアニメ見ているだけでは全然感じられないわけで。そこでエビローグでいきなり、
>「じゃあもう未練はないんだ。セイバーが、いなくなってもさ」
>「―――ああ。未練なんて、きっと無い」
と云われても「互いに繋がりも薄かったから未練もないんだなー」と全く反対の意味でしか通用しない畏れが。。。
恐らく今後の展開は火曜日売りのアニメ雑誌の粗筋でハッキリすると思いますので、もう2晩待つだけですが、ここから何とか持ち直してくれることを、春の雪ほどに淡い期待を持って観察したいと思います。。。