Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

第19話「黄金の王」の感想・考察を、本編シナリオと読み比べながら御紹介。……我ながら相当摩耗が進んできた感じが致しますので、少々毒舌入っている点は御容赦m(_)m。
いきなり冒頭。桜を抱きしめている凛。比較的元気そう。あれ? 凛は敢えて刺されて、桜に正気を取り戻させたのでは? ……と思って前回のラストを見直すと、HFの姉妹決戦とは違い、確かに血は凛の腹ではなく、腕から流れている訳で(桜のあの体勢からどうやったら腕を? という疑念は放置するとして)。ひょっとしたらキャスターのこの台詞は、原作プレイしている人間を見事にミスリードさせた凛への賞賛の台詞かも知れませんねー……そんな訳はありませんが。。。
>>「見事、と褒めるべきかしらね。甘く見ていたわ、お嬢さん。
>> 相手が誰であろうと己が目的を優先させる。貴女は立派な魔術師よ」


Aパート。依然として激闘を繰り広げるセイバーと小次郎。
>>「ほお、流石はセイバー。一撃で私の剣を曲げるとは」
って、小次郎さん。日本刀で散々西洋の大剣、しかも宝具である剣と真正面から打ち合って云う台詞ではないと思うのですが……。このセイバーと小次郎の対決シーンが原作プレイしている人間にとって根本的におかしなモノに映るのは、次の前提を元として戦闘シーンが描かれていないからであって。
>もとより力で勝る相手だ。魔力と剣の威力を盾にすれば押し切れない相手ではない。
>一撃だけ。一撃だけ受ける事を前提にすれば、容易く組み伏せられる。
     (中略)
>だが。その一撃が確実に首を刎ねる物だとしたら、力押しなど出来よう筈がない。
>目前のサーヴァントの一撃とはそういう一撃だ。
>牽制などなく、常に命を奪いにくる。それを防ぐ手段は後退しかありえない。
>横に回り込めぬ地形の不利と、敵の技量が彼女の前進を許さぬ為に。
>故に踏み込めない。
つまるところ、この二人の闘いが成立するのは「山門の守護者」というイメージとは裏腹に「小次郎は常に攻めであり、その攻めは常に一撃必殺」という構図を維持しているからである訳で、決して聖剣の一撃を真正面から受け止めたりは……。
そして更に致命的なのは先程の台詞の後、更にセイバーと小次郎が真正面から斬り結び、後のシーンに繋がっていないことで。小次郎がセイバーの剣を敢えて真正面から、しかも己が長刀が曲がることを承知で受け止めたのは
>>「しまった!」
>>「そうだ。足場が水平ならば燕返しを放つことが出来る」
からなのです。ですがここでもアニメでは描写がおかしく(前回階段の踊り場で散々戦っていたことは見なかったことにして)、小次郎はわざわざセイバーと距離を取ってしまいます。……何のために小次郎は長刀を犠牲にしたのでしょう?
>ぞくり、と。彼女は、自らの首筋に走る悪寒に身震いした。
>「アサシン、貴様……!」セイバーの力が弱まる。このまま押し倒す事はできる。
>力で勝る彼女ならばアサシンを弾き跳ばし、トドメを刺しに走り寄るか、山門まで駆け上がる事もできる。
>だが―――そのどちらも、結果は同じだ。離れればアレが来る。
>突き飛ばした後、トドメを刺しに踏み込もうと、背中を見せて駆け上がろうと、あの魔剣を放たれればそれで終わる。
>ならば押せない。力を弱め、アサシンに合わせて睨み合うしか手段がない
ようやくカットが代わって、力押しの体勢になったかと思えば、突然小次郎が前回とはまるで逆のことを、しかも自己完結気味に語り出します。
>「もとより、我らは役割を果たす為だけに呼び出された。
>私がこの門を守るように、おまえにも守る物がある。ならば迷う隙などあるまい。」
こちらはUBWでのシナリオ通りの台詞なのですが、それならば前回『むしろ解せんのはオマエだ、セイバー! 何を望んでこの戦いに挑む? 何が、お前にその剣を握らせる?』と云わせる必要が何処にあったのかと。。。
……突っ込みどころ満載の戦いでしたが、とりあえず最後に燕返しをセイバーが破り決着。ここでぐだぐた「長刀が曲がっていたから云々」解説しても仕方ありませんので、これはこれで良いのかと。散々文句を書きましたけれど、アニメでの戦闘描写の中では、このセイバーVS小次郎戦は迫力があったと思います。もう少し描写に気を使ってくれさえすればもっと良いシーンになった筈なのですが。。。


一方、士郎は干将莫耶で葛木先生と激闘中。戦闘スタイルが殆どアーチャーのものになっている気がしますが、繰り返しますがアニメの士郎がアーチャーの戦い振りを実際に目の当たりにしたのは、開幕の夜の対ランサー戦だけなのは気にしない方向で。。。あと巨柱をも砕く葛木先生の一撃を受けても、十メートル以上の高さを真っ逆さまに墜落しても平然と立ち上がれる士郎は……「身体は剣で出来ている」と云うことで。。。あとアニメの描写だけだと葛木先生>士郎>セイバーという力関係に見えるのも気にしない方向で。。。
そして遠坂姉妹に迫るキャスターさんは何故かその手にルールブレイカーを。一般的な攻撃力のないソレを一体何に使うつもりだったのでしょう? その謎は我様の登場によって永遠の謎として葬り去られてしまいますが……永遠の謎のままで十分な気も。。。
追い詰められた士郎と凛を救うべく、小次郎を破ったその足で駆けつけるセイバー。ここでのキャスターへの攻撃はセイバーらしい攻めとも云えますが、未だにルールブレイカーがどう作用したのか、イマイチ仕組みが分かりません。エクスカリバーが放てないだけ、とか?
そして勝利を確信したキャスターさん。趣味に走って「セイバーさん下僕化計画」を語り出します。きっと頭の中では「どんな可愛らしい衣裳を着せようかしら?」と薔薇色の未来図が広がっていたに違いありませんが、そのささやかな願いが我様の逆鱗に触れてしまったのは……哀れと云うしかありません。


そして遂に我様登場! 我様が登場してくれると、細かい設定がどうでもよくなってくれるのが有り難いですw。
>>「たわけ! 身の程を違えたな、雑種!」
>>「この魔術師風情がっ! 騎士王を捕えるなどと、口にするのも大罪よ。
>>アレは王である我の物だ。王の宝に手を出す輩は、失せろ、雑種!」
「血統的にはギル様自身、雑種なんじゃ?」というシナリオ段階で指摘されている点とかもどうでも良くw。きっとライダー相手でも「雑種」って呼ぶんでしょうねぇ、我様のことですから!w
いきなり全開のゲート・オブ・バビロン。イメージ的には「何もない空間から湧き出してくる」という感じでしたが、とりあえず今回の所は「今後どう表現されるのか注目」と云うことで。指パチンなシーンは欲しいところですが。
……しかし我様の登場に葛木先生、全く反応を示さないのは如何なモノかと。葛木先生、自己防衛本能だけは人並み外れて強そうなのに。あとキャスター目掛けて降り注ぐ宝具のシーン、静止画で見るとセイバーも士郎も凛も、何故かずっと我様の方を見てます。。。
葛木を庇い無数の宝具に刺し貫かれるキャスター。放送コードの関係でしょうけれど、宝具形態ではなく、光線に貫かれているイメージなのはバビロンの攻撃力と迫力が格段に落ちる感じでショボーン。。。それだけならまだしも、キャスターが葛木にしだれかかった後も雨霰と降り注ぐ光弾、アレは必要がなかったような気がします。
キャスターと葛木先生のシーン。アニメでは強引にねじ込んだ格好になってしまい、描写不足の点もありましたが、それ自体はファンサービスとしては有り難かったかと。ただ惜しむらくは……もう少し前後の整合性を付けて登場させて貰いたかった、と思うだけで。。。

そしてあっさりキャスターと葛木を片付けた我様。
>>「このような穴蔵では再会も色褪せる。いずれ逢うぞ、セイバー!」。
この台詞なんかは我様らしくて素敵なのですが、本来Fateルートではここでイリヤとの短い邂逅があり、それが「イリヤ=聖杯」の伏線となるわけですが……多分回収されないんでしょうねぇ。伏線と云えば、Fateルートだとここでキャスターに士郎が重傷を負わされ、凛とセイバーとの間で士郎の治癒能力の話題となり、そこで初めてセイバーが「ある可能性」に思い至り……という伏線があるのですが、こちらもスルー濃厚な気が。。。
あとセイバーの瞳に映るギル様がクルクル回る謎演出。今回は何故かこのクルクル回る謎演出が多用されてましたが、何か特別な意味があるとは思えないわけですが、さて。。。。


そして大空洞崩壊から逃れて戻ってきた衛宮邸からBパート。
我様が「聖杯戦争の仕組みからは本来ありえない八騎目のサーヴァント」であることにあまり驚かない凛と士郎。ついでに云うと、バビロンの正体についてシナリオ上だと士郎は既にある程度のヒントを得ているのに、その辺、軽くスルーされてしまっているとか、ここで問題とされるべきはそんな「些細なこと」ではなくて……
三人の作戦会議&その後の士郎とセイバーとの会話について、アニメでの描写から抜けているシナリオの「大前提」をとりあえず羅列。
Fateルート4日目「午後/セイバーの事情」
>>「待ってくれセイバー。その、以前もセイバーだったのか?
>> いや、そうじゃなくて前回も聖杯戦争に参加してたっていうのか……!?」
>>「私がこの聖杯の争いに参加するのは二度目です。
>> その時も私はセイバーでした。中には複数のクラス属性を持つ英霊もいるようですが、私はセイバーにしか該当しません」
Fateルート14日目「夜、聖杯の使い道について」
>>「はい。私が生きている内に、聖杯探索は為し得なかった。
>>私は―――アーサー王は、最期まで聖杯を手に入れる事が出来なかったのです。
>>ですが、それでは契約が成り立ちません。
>>世界が私を英霊にするには、アーサー王が生きているうちに聖杯を与えねばならない。ですから―――」
>>「――――アーサー王は、聖杯を手に入れるまで死なない。いえ、死ぬ事ができない。それじゃ、貴女」
>>「……はい。アーサー王と呼ばれていた私は、死を迎える一瞬で止まっている筈です」
同上
>>だが、今のはヘンだ。聖杯を使って望みを叶えるのはいい。
>>けど、なんだってその結果に、アルトリアが消え去るなんて言葉が出てくるのか。
>>「……なんだよそれ。聖杯を使う事でアルトリアが消える……? ふざけるなよ、そんなの。
>> セイバー。おまえは自分を―――」あの丘で、独り静かに死を迎えようとしている少女を。
>>「―――自分を救う為に、聖杯を使うんじゃないのかよ」
>>「……? 何故そのような事を言うのです、シロウ。
>> 私の望みは、国を滅びから救う事だけなのですが……」


Fateルートとしての肝心要の説明を見事にスルーしておいて、いつの間にか士郎は全部セイバーの事情を理解済み。特に前回の聖杯戦争にセイバーが参加していたことを伏せていた点については、このレビューでも第8話「不協の旋律」のところで『セイバーが柳洞寺について知っているのは前回の聖杯戦争の経験故なのですが、それをアニメ上ではまだ一切明かしていません。にもかかわらず、あっさりと柳洞寺の特殊性を指摘してるのは……』『「セイバーが前回の聖杯戦争に参加しており、マスターは切嗣だった」という欠くべからざる前提を今後のアニメの展開でどう組み込むのかと』と指摘したまま、そのままアニメ本編では見事なスルーパス状態。『勿論何処かでは説明される筈ですが』と書いた自分の読みの無さを呪いたくなる心境です。ですが、そんな大前提、普通何処かで説明しますよね。。。
そんな馬鹿なことはあり得ない、と思うのですが、まさかアニメスタッフ的には、第1話冒頭でセイバーVSギル様を描き、たびたび回想シーンも入れている以上、当然説明したモノと思いこんでいた……とかはありませんよねぇ。。。
一応の解決策として「セイバーの過去の記憶の一端として」士郎が夢で見た、という解釈も出来ないではありませんが、最後の第三点目に関しては兎も角、セイバーのサーヴァントとしての契約に関しては勿論、セイバーの夢を遠坂さんが見ているわけもなく。。。
意図的にこんな重大な抜けをしたとは思えないので、構成をした監督、脚本家が見落としたとしか。本来は「バーサーカー戦後、キャスター戦前」に脚本に組み込む予定だった、と想像されるわけですが、ルートの展開を混ぜるのは良いのですが、それならばせめてFateという物語の、アルトリアという少女に関わるストーリーの、肝心要の骨組み部分のの説明手順をちゃんと構成した上で展開して貰いたかったと。今更言っても詮無きことですけれど。。。
でもせめて、この次のシーンはFateルートの物語を展開する上で――士郎のモノローグ部分ですので映像化するのは難しいとは思いますけれど――入れて欲しかった。でないと、Fateという物語も、そしてそれの対となるべき(アニメでは描かれないものの)UBWの物語も、言い換えればアルトリアの物語も、士郎の物語も……。
長いですが、敢えて今回はこの部分を丸ごと引用して、本編の感想・考察に替えます。


>「……今の、夢は――――」
> いや、確認するまでもない。アレはセイバーの過去だ。
> とうの昔に起きて、もう変える事の出来ない、あいつの人生の顛末だった。
>「――――――――」気が付くと、奥歯を噛みしめていた。ギリギリという音。
> どうしてか無性に頭にきている。このまま歯が砕けても構わないっていうぐらい歯を鳴らして、暴れ出しくなる感情を抑えつける。
>「―――くそ。なんだよ、それ」思い返すだけで気がヘンになる。
> あいつの過去も、それをなんとも思っていないあいつにも、今までなんでもない夢だと思って眺めていた自分にも。
>「…………………っ」気にくわない。
> 何が気にくわないのか判らないけど、とにかく気にくわない。
> ……イヤだ。そんなのは、イヤなんだ。あれは誰が見ても不当な人生だった。
> そんなのは間違ってる。
> 望んだものは他人の事だけ。自らに返るものなど、あいつは望みもしなかった。
> それなのに、あんなにも頑張ったのに、最後まで理解されなかったなんて、そんなのは頭にくる。
> そんなのは、あまりにも報われないじゃないか―――
>「――――――――」……そうだ。
> 誰よりも頑張ったのなら、誰よりも報われなければ嘘だ。
> あいつは、ちゃんと―――自分がやった事の報酬を、受け取らなくてはいけない筈だ。
>「――――――――」
>……けど、そんなコト。今更、どうやって叶えられるのか。
> 良くやった、なんて声をかければいいのか。おまえは立派だったって讃えてやれというのか。
>まさか。そんな簡単な言葉で、埋められる物などない。
>「……分かってる。答えなんて一つだけだ」
> ……そうだ。彼女が報われるとしたら、その人生を清算させるだけではないのか。
> アルトリアという少女は、かつて戦い抜いた分だけ、きちんと幸せにならなければ間違っている。
>「―――――けど、それで何を」
> 思考はそこで停止する。人を幸せにするなんて、そんな方法は知らない。
> ……こんな事で、自らの歪さを思い知った。
> 今まで正義の味方になると生きてきたクセに、やってきたのは手を貸すだけ。
> そうやって誰かの為になっていれば、いつかは周りが幸福になれるのだと信じていた。
> いや。それを信じて走らなければ、胸を張って進めなかった。
>「――――――――っ」
> ……人を助ける事と救う事は本質が異なる。
> その違いが分からない俺に、セイバーに報いてやれる手段なんて、思いつく筈がなかったのだ―――


さて、最後に次回第20話「遠い夢跡」予告解説。
1コマ目−映画を見ているらしい士郎とセイバー、2コマ目−士郎の前で謎のポーズを取る凛、3コマ目−士郎に飛びつくイリヤ、4コマ目−ライオンさんヌイグルミ、5コマ目−ライオンヌイグルミと睨めっこのセイバー、6コマ目−食卓で照れてる士郎と面白そうに身を乗り出す凛、7コマ目−走る士郎、8コマ目−士郎を値踏みするように近付く凛、9コマ目−楽しそうな士郎と抗議するセイバー、10コマ目−夕暮れの中の言峰、11コマ目−アップでこちらを見る凛、12コマ目−振り返りセイバーさん。
と云うわけで、言峰教会から帰ってきた後、凛に相談、そして翌日セイバーとのデート、とここで普通にFateルートに戻る模様。何故でしょう? 当初はセイバーとのデートシーンが楽しみだったのに、不安の方がいや増すのは。。。兎も角、日常描写の出来がウリのこのアニメですので、次回こそは期待して見たいと思います。と云うより、ここでセイバーとの絆をしっかり描かないと、Fateルートのラストシーンを見ても全然感慨が湧かないわけですし。。。