Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

第20話「遠い夢跡」の感想・考察を、本編シナリオと読み比べながら御紹介。
なお唐突ですが、前もってお断りを。今回より当ブログのアニメレビューは「ここまでアニメは普通にFateルートのシナリオを通ってきた」と云う前提の下で進めさせて頂きます。その方が「精神衛生上も健康的」と判断致しましたので、どうか御容赦をばm(_)m。
冒頭。教会からの帰り道で言峰との会話を思い出す士郎。第八のサーヴァントについては「調べておく」という言峰の言葉をあっさり信じます。シナリオでも「それでいいのか?」と思いましたが、教会に来た理由のメインはセイバーのことですのでそれも当たり前かと。ただ切嗣さんのことやら、アインツベルン家が聖杯を準備することなどの話をアニメはスルーしたため、後で展開が唐突になる気がしますけど。
>>「聖杯を手に入れればセイバーは死ぬ」
>>「凛から聞かなかったか? サーヴァントは杯に満ちた水を飲むコトによって、現世で二度目の生を授けられることを」
>>「――――けど、アイツは二度目の生なんて望んでない」
>>「お前のサーヴァントは望んでいなくても令呪を一つ残しておけばいい。お前の望みはそれで叶う」
>>「セイバーは聖杯を手に入れてはいけない。なのにアイツを救えるのは聖杯の力だけ」
>>「俺は何がしたくて、何のために戦おうとしたのか」
>>「聖杯戦争を終わらせるため。それがいつの間にか二の次になっていた。俺は――」
そして月明かりの下、召還されたセイバーの姿と士郎の内心の告白が描かれることによって、やっと散々評判の悪かった「女の子は戦ってはいけない」と士郎の台詞の、本当の意味が明らかになります。そしてFateという物語の主軸についても。


Aパート。帰ってきた士郎にお茶を入れてあげる遠坂さん。姉御的な程よいフォロー加減で良い感じなのですが、はて? 横顔の描き方に微妙な違和感。
>>「そうだな。セイバーはサーヴァントになんてならなければ良かったんだ」
>>「ふーん、士郎、アーチャーと同じこと言うんだ」
少々前後の台詞がはしょられていますが、ここでも士郎=アーチャーが仄めかされています。今から思えば、シナリオ上でもここが伏線だったんですね。だとすると、やはりアーチャーとなった士郎の生前はFateルートそのものの形ではないのでしょうね。
そして凛に「明日はセイバーとデートする」と宣言する士郎。このシーンも今から考えると、士郎が自分自身に言い聞かせるための台詞だったのかと。そして大笑いする遠坂さん。ここの笑い方について評価が分かれるところでしょうが、これはこれでハマッていたと思います。その後の「がんばりなさい。わたし、貴方たちのこと好きよ」のシーンとデートの戦略を授ける姉御的シーンと、上手い具合に対照的で。
で、翌朝。セイバーにデートの話を切り出す士郎。なんか噛み合ってない士郎とセイバーのやりとりのシーンのカメラワークはちょっぴり楽しいですw。ですが、何時までも噛み合わない会話に焦りだした遠坂さんが割って入って曰く。
>>「いい、セイバー? デートって云うのは、要するに逢い引きのことなの。
>>男の子が好きな女の子にアピールするチャンス、って云うわけだから……」
>>「はいはーい!! イリヤも士郎が好きーーーっ!!」
と元気一杯なイリヤさんがフライングボディーアタックとともにw割って入ってきます。シナリオですと、前日ギル様を見てから昏々と眠り続けていたのですが、アニメ版では「それから一夜明ければ」元気一杯ですねー。猫嫌いの筈なのに、猫科な表情で士郎に抱きつくイリヤの延髄に遠坂さんチョップ。前回予告の遠坂さんの変なポーズの正体はこれでしたw。
>>「早く! コイツの生命力は半端じゃないんだから、すぐに起きあがるわよ」
さりげなーく凛の言い分が酷いですがw、久々のほのぼのシーンはオリジナルながらもイリヤの可愛らしいところも、凛の凛なりの気遣いも見られて宜しかったのではないかと。


そしてバスで新都に向かう士郎とセイバー。シナリオでは更にデート行きにも、デートが始まってもセイバーのお説教モードが入るわけですが、アニメでは程程のところで上手くデートシーンに入ったのかと。しかしバックが士郎らしいと云えば士郎らしく質実剛健っぽいですねw。
そして始まったデート。昼食以外は士郎が選んだ、シナリオ上のデートコースは以下の感じ。
>一言で表すと、嵐のような二時間だった。
>普段いかないブティックにも足を運んだし、ルールを教えながらボウリングを嗜んだりもした。
>水族館は見つからなかったが公園で鳥に餌をやったりもした。
>趣味で骨董品屋に立ち寄ったのはご愛敬だし、映画を避けたのは賢明だったと今でも確信している。
>ともかく、とことん女の子が喜ぶような場所へアタックを繰り返し、撃沈したり玉砕したりした二時間だった。
(中略)
>“昼食なら川沿いの喫茶店がお薦めよ”それが昨夜、遠坂が俺にした唯一のアドバイスである。
それがアニメだと、ブティック→映画館→水族館→川沿いの喫茶店の順。映画と水族館がオリジナルですね。これが前夜の凛のアドバイスの結果だとすると、凛にしては意外と穏当なところを選んでいるようなw。映画はスターウォーズっぽい映画で、ベタですが「ライトセイバー」と掛けているのかと。士郎がセイバーの手を握ろうとして失敗するシーンもまたベタですが「お約束」ということでw。
続く水族館のシーンは完全オリジナルで……次の台詞が恐らく、監督、脚本家さんたちの考えるところの、セイバーの考え方と在り方なのかと。
>>「不自然ですね。自らの意志で泳いでいる筈の魚たちが、自由を奪われ、時に閉じ込められている。
>>ですが……何故でしょう? その不自然さを美しいと感じるのは」
そしてお待ちかね「ぬいぐるみ屋」のシーン。獅子と睨めっこするセイバー、そして「獅子が愛らしいと思っている自分がおかしいと思っているセイバー」のシーンは予想通り可愛らしく、このシーンだけでもデートシーンの意味はあるのかと。ただアニメではそこでセイバーが機嫌を損ね、出て行ってしまったのは残念でしたけれど。


そしてBパートは、夕焼けの中、海の中の瓦礫の山を見つけるセイバーのシーンから。
一応シナリオでは川の中州ですが、これだと撤去されないのが不自然ですので、こちらが正解かと。ただこのシーン「そう怒らなくともいいではありませんか。……私だって、その、反省しているのですから」というセイバーの表情の作画がちょっとおかしい気が。ここはもう少し子供が叱られたような表情でも良かった気がします。しかしこのシーン、シナリオ読み直すと、切嗣パパ、随分大掛かりな仕掛けをしているようで無茶な人だったのがよく分かりますw。Fate/Zero、いつかは公開されると思いますが、どのように描かれるか、ちょっぴり期待と不安がw。
>「それはご安心を。船の持ち主には保険が下りたと切嗣が言っていましたし、もともと緩衝材にするつもりで船を止めさせたのですから。
>船体を壁にみたてて、宝具の威力を削いだのですね」
>「……なんだ。じゃあ初めから承知で船を壊したってコトか」
>「承知していた訳ではありませんっ。アレは切嗣が私に黙って用意していた物です。
>……そうですね。切嗣には初めから戦いがどう流れるか読めていたのでしょう。
>船を用意する前もその後も、一言も口にしなかったので気が付きませんでしたが」
……しかし緩衝材にした船舶の保険の有無にまで精通している切嗣さんってw。


そして夕日を反射させる水面を見つめながら、どうしても最後の一線で心を通わせ切れない士郎とセイバー。少々長いですが、幾つかの台詞を抜粋。
>>「セイバー。今日は楽しかったか」
>>「ええ、新鮮ではありました」
>>「そうかならまた行こう。こんなの、別に今回限りってワケじゃないんだから」
>>「―――サーヴァントは戦う為に存在する者です。今日のような行為は、自らの存在を否定する事になる。
>> 残る敵は少ない。シロウが命じてくれるのなら、今すぐにでも」
>>「そんなに戦いたいのか、おまえは」
>>「当然でしょう。戦えば戦うほど聖杯に近づくのです」
>>「前から言いたかったんだけどな、矛盾してるぞおまえ。戦いが大事だっていうわりに、自分から戦いたいなんて思ってないだろ」
(中略)
>>「―――つまりさ。おまえは、犠牲者が出る戦いってヤツが、たまらなく怖いんだ」
  (中略)
>>「ばか、そんなコトあるか! 道なんていくらでもある! おまえはここにいるんだ、昔のおまえとは違う……!
>>―――これからは自分の為に生きなきゃダメだ。間違っても、聖杯を。
>>どうでもいい、他人の為なんかには使うな。セイバーはここで幸せになるんだ」
  (中略)
>>「―――なら言ってやる。
>> たとえどんなに酷い結末だろうと、起きてしまった事を変えるなんて出来ない。
>> 出来なかったからやり直しがしたいなんて、そんなのは子供の我が儘と同じじゃないか……!」
>>「―――シロウなら、解ってくれると思っていた。
>> 今日一日無意に過ごし、言いたかった事はそれだけですか」
  (中略)
>>「自分の事を考えろ、ですって? それはシロウとて同じではありませんか。
>> ……自分より他人を優先するなど死者の考えだ。
>> 自身の命の重みも知らない大馬鹿者が、よくもそんな事を言えたものです」
このシーンは原作同様、重く、せつなく、悲しいシーンで、作画も、背景も、演じるお二人の息もイメージ通り再現されていたかと。こういう動きの少ないシーンに関しては、特に良い感じで描写されていますね。あとシナリオ的側面から云うと、このシーンは「ある意味で次のUBWルートでのテーマを暗示するものでもある」というのが再確認出来るシーンでした。
そして結局心を通じあわせることが出来ず喧嘩別れしてしまう士郎とセイバー。
>>「……俺が間違えていて、セイバーが正しかったとしても。
>> あいつが本当に大切なら、謝ってなんてやれないんだ――――」
この台詞、改めてアニメで見ると、士郎が本当に士郎らしい台詞だと云うことも再確認。


そのまま眠ってしまった士郎を起こしに来る遠坂さん。シナリオ通りなのですが、改めて考えてみれば、士郎は仕方ないとは云え、凛も物凄く警戒心が落ちている気が。。。
そして慌てて依然として橋のところに佇んでいたセイバーの所にやってくる士郎。
>>「行き先が……決まらなかったのです」
このシーンのセイバーの表情は、悲しいシーンですが、今回のベストショットだったかと。
そしてそれの対となるべき、士郎に手を取られて頬を染めるセイバーの表情も勿論。
やっと二人が仲直りしたと思ったところで、我様登場にて次回への引き。ちなみに背景には怪しげな中東風音楽を背負ってw。
>>「―――何処に行く。勝手に人の物を持っていくな、小僧」
あれ? 「雑種」じゃないんだ、と思ったらシナリオでも確かに小僧でした。なんか「我様=雑種呼び捨て」が脳内デフォになってしまっていたようでw。


さて、次回第話「天地乖離す開闢の星」予告解説。まさか「エヌマ・エリシュ」でなく日本語読みするとは思ってませんでしたがw。
1コマ目−大出血を起こして横たわるセイバー、2コマ目−挑みかかる士郎、3コマ目−エクスカリバーを止めるギル様、4コマ目−倒れた士郎を庇って我様の攻撃の前に立ち塞がるセイバー、5コマ目−血を零しながら立ち上がる士郎、6コマ目−金ぴかモードで言い捨てるギル様、7コマ目−エクスカリバーを発動させようとするセイバー、8コマ目−我様の前?で倒れ伏す士郎、9コマ目−目を見開くセイバー、10コマ目−迸る鮮血、11コマ目−士郎を庇いエクスカリバーを発動させようとするセイバー、12コマ目−台所?で、後からセイバーを抱きしめる士郎、13コマ目−血塗れのまま振り返るセイバー、以上です。
普通にギル様との最初の戦いを描き……その後に来るであろう12コマ目は意味深です。本来のシナリオですと「傷を負った士郎をセイバーが看病していて、目覚めた士郎がそのまま……」という展開なのですが、流石にこのままでは放送出来ないと思われますのでシーン変更ありかな、と。
とりあえず次回こそは戦闘シーンに期待したいところですが……とりあえず最低限、最後のカットのセイバーの目と表情が少し怖いですので、放送までに直っていますように。。。
以上にて、精神衛生的に、少し宜しくなった気分のw今回のレビューを終わります。