Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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第21話「天地乖離す開闢の星」の感想・考察を、本編シナリオと読み比べながら御紹介。
なお改めまして事前にお断りを。当ブログのアニメレビューは「第19話終了まで普通にFateルートのシナリオを通ってきた」と云う前提の下で進めさせて頂きます。
「(第19話以前は)振り返らないと決めた。それが当ブログの誓い!」w
冒頭。前回の「セイバーを失いたくない。俺、アイツが好きだ」と云う士郎の独白を挟み、ギル様戦開幕。
>>「……シロウ、なんとしても初撃だけは防ぎます。その隙に」
>>「―――いけ! 逃げるのはおまえだ、セイバー」
そう云って、いきなりギル様に吶喊し……当然の如く一撃で倒れる士郎。元々シナリオ上でも散々云われている士郎の無鉄砲さですが、アニメでは相変わらずフォローがありません。自分が殺される=セイバー消滅という大前提が吹っ飛んでいる点も。
ですが、敢えて云いますが、今回の話に関しては、シナリオをただベタに脚本に落とすのではなく、程よく分かりやすく、かつビジュアル的にも分かりやすい表現で描かれていたと、素直に褒めるべきだと思われます。


そしてAパート開始。我様の言い分に、きりきりと歯を食いしばり、遂に堪えきれなくなりセイバーもまた吶喊。シナリオですと、ここで聖杯について語るシーンが挿入されるわけですが、アニメのセイバーは怒りの感情に任せてギル様に斬りかかります。このシーンの改変は、よりストレートにセイバーの士郎に対する感情が現れる演出として非常に分かりやすいです。
さてそれに対するギル様ですが、実はシナリオでは防衛態勢を殆どとっていません。
> 白光が奔る。躊躇する事なく黄金の騎士へと跳びこんだセイバーの剣が、雷光を帯びて打ち下ろされる――――
> 一撃。二撃。三撃。四撃――――!
> セイバーの剣が敵を捉える度、目を潰すほどの光が炸裂する。閃光装置を見るかのような連撃。
>剣と鎧がぶつかる音。男は帯剣していない。セイバーの剣を前にして、その両手でかろうじて頭を守っているだけだ。
   (中略)
> にも関わらず、黄金の甲冑は未だ原型を留めている。
> セイバーの剣戟をあれほど受け、なお無傷だというのなら。
> ヤツの“宝具”は、あの黄金の甲冑に他ならないのではないか―――
>「……ふん。流石にこれ以上はまずいか。相変わらず底なしの魔力よな。我の鎧が軋みをあげるなど、そうあり得る事ではないのだが――――」
この後、復讐の呪詛を含んだ宝具でセイバーの一撃を弾き返すわけですが、この点アニメは非常に分かりやすく、突如現れた宝具が自動防衛を果たします。
>>「相変わらずの魔力よな。それでこそ獅子。流石は俺の見込んだ女よ。
>> その剣に免じ、我(オレ)の全てを見せてやる」」
非常に上手くコンパクトに我様に言い捨てさせた上で、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)展開。以前登場の際はいきなり虚空に宝具が浮かんでいて違和感があったのですが、今回はまずはアーチャーの如く突如その手に宝具が、そして中東風な音楽と共に背後から、ワープアウトでもしてきた船体のように無数の宝具が現れ、自分の中の、シナリオでのイメージ通りにほぼ表現されていました。
この「王の財宝」から得た我様の正体については、シナリオでは士郎がセイバーより先に気が付くわけですが、セイバーとの会話の流れを優先する形で我様が自ら語り出します。
>>「我が真名は人類最古の王、古代ウルクの英雄王、ギルガメッシュ!」
この点は「古代ウルクの」とフォローを入れた上で、朽ち果てたバビロニア風の神殿に刻まれた彫刻のカットを入れることにより、ゲーム未プレイ者にもギル様の正体を分かりやすく伝えています。……ただ敢えて云えば、遺跡跡がバビロニア風というより、アステカ系の遺跡の様式っぽかったところとか、我様が名乗った後の後光っぽい光wが残念でしたけれど。
>>「覚悟を決めよ、セイバー。この身は貴様らでは敵うべくもなき、英霊よ」
>>「そんなことは――――やってみなければ判りらない!」
そしてエクスカリバーを放とうとするセイバーに対して、我様が取り出したのは乖離剣エア。ちなみにシナリオだとエアの姿形と云えば……
>円柱のような剣。三つのパーツで作られた刃は、それぞれ別方向にゆっくりと回転している。
>その様は、固い岩盤を貫いていく削岩機のようでもあった。
こんな具合に正直微妙と云えば微妙で、アニメだと如何様に表現されるかと思いきや……本当にそのまんま、三つの部分に分かれて稼働していました。まさにマテリアルに描いてある通りの不思議剣w。
そして真正面からぶつかり合うエクスカリバーVSエア。
> セイバーのエクスカリバーが、風を払う事によって旋風を呼ぶのなら。
> ギルガメッシュのエアは、風を巻き込む事によって暴風を作り出す――――
この激突シーン、確かにシナリオ通りと云えばシナリオ通り、剣の性能通りと云えば、ほぼ忠実に性能通り描かれていたとは思いましたが、もう少し捻りというか、迫力が欲しかった、と云うのが正直なところ。このシーンのBGMに関しても同様ですけれど。


そして激突の果てに士郎が見いだしたのは、ズタズタにされたセイバーの姿。ゲーム同様の凄惨なその姿を、呆然と見つめる士郎のカットと、その遙か後ろでその姿を見て高笑いするギル様の姿が挿入されていた点は上手い演出かと。
>>「人類最強の剣がこの程度とは。相殺すら出来んのか?
>>ああ、そうか。少しは手加減してやるべきだったな。なにしろ相手は女子供であったわ」
そう云って延々と、セイバーと士郎の会話などお構いなしに、きっかり丸30秒間笑い続ける我様。空気の読めて無さは最強ですw。
そして再びカリバーンを投影してギル様に挑む士郎。「対バーサーカー戦以来の」投影です。
>>「おまえの持つ“王を選定する岩に刺さった剣”は、北欧の“支配を与える樹に刺された剣”が流れた物。
>>これは更にその源流。どう足掻こうと、複製は原典には勝てぬ」
しかし再び瞬殺。倒れているセイバーの身体を超え、グシャリと鈍い音を立てて墜落する士郎。このシーン、セイバーの顔と身体の半身のカット割りも非常に印象的で、なおかつ士郎が敗れたことに気が付いたセイバーにフォーカスするところなど、演出の妙が際だちます。このシーン以外にも、俯瞰からの倒れ伏したセイバーと士郎の描写、互いに叫び合う士郎とセイバーの距離感、そして士郎の魂からの叫び。
>>「俺には、セイバー以上に欲しいものなんてない!」
そしてBGMとして流れてくるエミヤ。
実に上手い展開で、この一連の流れに関しては、絵コンテと演出の勝利と云えるでしょう。そもそも考えると実はこのシーン、戦闘シーンと云うよりも、士郎のセイバーに対する告白シーンがメインでもあるわけです。そしてこのアニメのスタッフ、これまでも何度も書いてきましたが、対人関係の描写に関しては非常に優秀なのです。……もう少し戦闘シーンの上手い演出家がいれば、とこの点だけは返す返すも残念なわけですけれど。


>>「失せろ。英雄王!」
>>「雑種が!!」
そして再び、アーチャーの言葉を脳裏に思い出しながら英雄王に挑みかかる士郎。「最強の物を」と無意識の裡に投影したのは……剣ではなく。。。
このシーン、実はシナリオではギル様が手にしていたのは、エアではなくグラム(の原典)であり、最終決戦で劇的に表現すべく、かなりぼかして表現しているのですね。
> ―――と。気が付けば、右手には、剣のようなものが握られていた。
>「な――――に?」それは誰の声だったか。
> 躊躇は一瞬。絶対の勝利者である黄金の騎士がわずかに後退したのと同時に、
>「シロウ、それを――――!」セイバーが、俺の手を取っていた。
> ―――巻き起こった光が止む。
> 傍らには寄り添ったセイバーの姿。目前には目を見開き、わずかに血を流すギルガメッシュの姿があった。
それをアニメではハッキリと「エクスカリバーの鞘として」、ギル様のエアでの攻撃を跳ね返したのは「エクスカリバーを収めた鞘である」と明確に表現しています。
シナリオ的には最終決戦のシーンの先取りとなっていますし、これを知っていたならば何故ギル様は対抗手段を最終決戦で取らなかったのか? という疑問も湧くわけですが、そこれそれ、ギル様のことですしw、あと実はアニメのシナリオではセイバーが士郎の身体の中にある鞘についての、予備知識を得るシーンがカットされていたため、丁度良い補完になったとも云えるでしょう。
そしてギル様を一時撤退に追い込み、倒れこみかけた士郎を支えるように抱きしめるセイバー。
>>「―――やっと気付いた。シロウは私の鞘だったのですね」
本来ここで士郎の体中の骨という骨、筋肉という筋肉が剣で出来ているようなカットが入るべきなのでしょうが、敢えてそれをBパートの夢の後に持ってくることによって、このシーンを物語の流れ的にもスムーズな、非常に美しく、印象的なカットにすることに成功したのかと思われます。


Bパートは、アーサー王最後の戦いである、義理の息子モードレッドとの決戦シーンで開幕。長々と状況説明する訳にもいかないのでアニメのみの視聴者にも分かりやすく表現すべくアレンジしたと思われるこのシーンですが、いきなりモードレッドが桑島嬢の声でしゃべり出したのには吃驚。いえ、確かにシナリオには
>彼女の分身として作られたモードレットは、父を明かせぬ騎士として王に仕え、
>その座を簒奪する日を待ち、ついに反旗を翻した。
とありますが、まさかその姿までそのまんまセイバーと同じだとは。この大胆な表現は、想像するに、きのこ氏公認のアレンジだと思われますが、一見の視聴者さんは更に驚きの展開だったような気がします。アーサー王伝説自体、以前より更にマイナーになっていると思いますし。
そして意識を取り戻した士郎の枕元に現れるセイバー。
この後のオリジナルの料理シーン、縁側のシーン、そして……のシーンは野暮ですので、敢えて解説を入れるのはやめておきます。このように描けるのならば、最初から士郎とセイバーの絆を主軸にFateルートを忠実に描いていれば……と思わないではいられません。あ、すいません。「第19話終了まで普通にFateルートのシナリオを通ってきた」のでしたね。我ながら何という勘違いを。。。


昨晩の事を思い出しながら、教会へと向かう士郎。細かな描写やカットにも注意が払われた、さりげない良いシーンであるかと思われます。
そして運命の教会のシーン。「教会の地下に収められたモノ」について来週は真正面から描かれそうな模様ですが、果たしてどのように表現するのか、テレビのコード的にも興味があります。さして本当に久々登場ランサー兄貴。セイバーVS小次郎戦で、1秒だけの1カットだけ登場して以来の登場ですので、アニメのみの視聴者に忘れられていないか心配ですw。果たして次週、ギル様との戦いは描かれる事になるのでしょうか? こちらも期待です。

と云うところで、次回第22話「願いの果て」予告解説。
1コマ目−ギル様の横顔、2コマ目−口から血を零しながら視線をやる士郎、3コマ目−慌てたように叫ぶセイバー、4コマ目−滔々と語る言峰、5コマ目−面白くなさそうな表情のランサー、6コマ目−倒れ伏す士郎、7コマ目−セイバー表情アップ、8コマ目−閉じられる扉、9コマ目−ゲイボルクを担いで仁王立ちのランサー、10コマ目−真剣な表情のセイバー、11コマ目−怖いw言峰のアップ、12コマ目−最後の戦いの後、大樹に座りもたれかかるセイバー。
と云うことで普通にセイバールート一直線の模様ですが、予告カットからだけではイマイチ何処まで描かれるかの判断が難しいです。残り3話。最終回のBパートをエピローグだと考えれば残り2話半。
普通に行けば次回はセイバーが士郎に、身体の中の鞘について話すシーン、もしくは衛宮邸に帰ってきたところで瀕死の凛を見つけるところまで、といったところでしょうか? それで23話のAパートが凛からのアドバイスとセイバーとの最後の作戦会議。Bパートから最終決戦開幕でラストは士郎、セイバー共に絶体絶命シーン、と。そして最終回Aパートで決着。そんなところでしょうか?、
ともあれ、これまでのアニメで屈指だったと思われる今回同様のクオリティを、残る3話でも期待したいと思います。