Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

遂にこの日がやって来ました。最終話「全て遠き理想郷」の感想・考察を、本編シナリオと読み比べながら御紹介。
とその前に、まず大前提としてネタバレにならない程度の最終回の総論としての感想ですが……「(予想外に)感動した」といったところで。やはり自分自身「Fateという物語が好き」という事もありますが、上手く19話以前を脳内消去出来ている模様でw。ただこの最終回……二点ほど余計なことをしなければ、もっと上手く自分を騙せた筈なのに。。。
最終回と云うことで、部屋を真っ暗にヘッドホンを大音量にして気合いを入れて視聴に望んだのですが、いきなりのブルースクリーンに一瞬「放送事故!?」と大焦り。いきなりテロップ入れる最終回は別段珍しいことではないのですが、あの背景色でテロップ出したアニメを自分は寡聞ながら知りません。
>闇に飲まれた瞬間。
>脳裏に、地獄が印刷された。
アンリ・マユによる極大の呪いを如何に表現するか、まさか「始まりの刑罰は五種〜」以下を言峰の言葉で詠み上げるのか? と想像していたら、いきなり赤字で『死ね』の文字&怨嗟の表情で、前述のような視聴体勢だっので仰け反りました(汗)。
いずれにせよ、アニメでは表現しがたい部分を如何に表現するか注目でしたが、あの謎の「円形ドーム」以外は、アニメのみの視聴者にも分かりやすい展開だったかと。士郎の表情もなかなかセクシーでしたしw。しかし改めてシナリオ読み直してからの視聴ですが、一度目の呪いは士郎、本当に気合いだけで跳ね除けているんですよね。後のアヴァロンの有り難みが微妙に薄れる気がしないでもないような。


そしてタイトルコール開け。
>「――――馬鹿な。アレを振り払ったというのか、おまえが――――!?」
>「言峰綺礼――――!」
>全身に喝を入れて、ただ走った。片手は背中に。最後まで隠し持った短剣を握りしめる。
言峰の台詞が微妙に驚いていないっぽいのはさておき、士郎、折角ここまで隠し持ってたアゾット剣をみせびらか用に特攻というのは如何なモノかと。。。
この後の、二度目の極大の呪いの攻撃に関しても、
>闇が迫る。言峰の腕から、極大の呪いが放たれる。
>……体が、指先から、溶けていく。
>「――――――――!」
>目を逸らさない。これが俺の役割なら――――まだ、出来る事が残っている――――!
本来こんなシーンの筈にもかかわらず、本当にアニメの士郎は無策特攻にしか見えないのは如何なモノかと。呪いに囚われた後で
>>「これが俺の役目なら、まだ出来ることが残っている」
こう云われても、士郎が何をしたいのかちっとも分かりませんが。。。


一方セイバーVSギル様戦。いきなりセイバーが宝具対決で破れ「同じ内容の対決を3度?(最後の一回はアヴァロン発動時)」と勘違いしかけましたが、最初のシーンは前回のラストシーンからの続きですね。それにしても傷つきながら立ち上がったセイバーに「油断なく」エアを構えるギル様の表情が凛々しくて絵的には非常に好みです。
そして最大の見せ場たるアヴァロン発動シーン。シナリオですと、セイバー側に関して云えば「間合いを詰めながら放ったエクスカリバーに対して発動されたエヌマ・エリシュとの力のせめぎ合いの空間の境界線」において、士郎側は「アンリ・マユに飲まれ、その思考が闇に消え去りそうな瞬間」各々が発動させているわけですが。以下、長いですが、クライマックスシーンですので、引用を。
(セイバー側)
>「――――そうか、血迷ったかセイバー……!」
>エアを振り抜き、無謀にも走り寄ろうとした敵を見据え、黄金の騎士はなおエアに魔力を込める。
>もはやこの後はない。ここで完全に、全ての力を以ってセイバーを消滅させるのみ。
>エアの回転が臨界に達し、セイバーを包む閃光はエクスカリバーを薙ぎ伏せる。
>――――その直前。セイバーの体が駆けた。
>エクスカリバーによってわずかに圧した空間、もう一足だけ踏み込める位置。
>そこに、セイバーが到達した瞬間。彼女の宝具が、その姿を現した。
(士郎側)
>人の身でこの汚濁に抗う術はない。
>体はまだ動いている。何かを掴もうと突き出された腕も上がったまま。
>だが、既に心が壊れていた。
>思考は闇に塗り潰され、じき、その肉体も闇に消えるだろう。その、刹那。
>  “――――貴方が、私の”
>その声が、なぜ思い出されたのか。
>「――――――――」暗闇に光りが灯る。
> それが“あの光”なのだと眼球が捉えた時、全てが逆転した。
>「――――――――」撃鉄が落ちる。
>思考は円還状に速度を増し、火花を散らし軋みをあげて、そのカタチを、悪魔めいた速度で作り上げていく。
>「投影開始」


そして投影されたアヴァロンはと云えば、
> “――――貴方が、私の鞘だったのですね―――”
>懸命に伸ばした指先が、まだ動く。
>精神集中も呪文詠唱もすっ飛ばして作り上げたそのカタチを握りしめる。
>世界は一転し、闇は黄金の光に駆逐され、そして―――衛宮士郎の手には、完全に複製された、彼女の鞘が握られていた。
>――――そうして。
>エアの断層を前にして、彼女の“宝具”が展開された。
>「な――――に――――!?」
> 彼女の目前に放たれ、四散したものは、紛れもなく聖剣の鞘だった。
>如何なる神秘で編まれたものか、鞘はエアの光を悉く弾き返す。
>否、防御などというレベルではない。
>それは遮断。
>外界の汚れを寄せ付けない妖精郷の壁、この世とは隔離された、辿り着けぬ一つの世界。
>聖剣の鞘に守られたセイバーは、この一瞬のみ、この世の全ての理から断絶される。
>この世界における最強の守り。
>五つの魔法すら寄せ付けぬ、何者にも侵害されぬ究極の一。
>故に、鞘の名は“全て遠き理想郷”。
> アーサー王が死後に辿り着くとされる、彼の王が夢見た、はや辿り着けぬ理想郷――――
このように見比べますと、シナリオとの相違点が多く「全てを遮断する」というアヴァロンの設定的にもおかしいのですが、アニメの「士郎とセイバーの二人が、その手に共にアヴァロンを握る」というこのイメージ的シーンに関しては、物語の基軸が「士郎とセイバーの絆」ということを示すためにも、敢えてこの演出で良かったのだと、個人的には考えます。
……ただ、それならそれでその直後の言峰の「投影魔術だと!」の台詞は何とかして貰いたかったところですが。この『投影魔術――――貴様、何者――――!』の台詞自体は好きなのですが、言峰、士郎の手にしたアヴァロンを見てないですよね? しかも士郎の間合いがまだ異常に遠かったため「言峰の不意の一瞬をついて大逆転!」というカタルシスに欠けた演出となってしまっていて。
これはセイバーの方も同様であって、シナリオだとアヴァロンでエアの一撃を遮断した次の瞬間、
>「――――――――」
>背筋に走る死神を、ギルガメッシュは確かに見た。
>だが間に合わない。振り下げたエアは回転を止めず、ギルガメッシュ自身、跳び退く事すらままならない。
>当然である。よもや―――よもやこれほどの全力、これほどの魔力を放った一撃が防がれようなどと誰が思おう……!
>「ぬぅぅぅ……!! おのれ、そのような小細工で―――!」
>「――――――――」
>駆け抜ける青い衣。セイバーの体に防具はない。
>己を守る鎧を解除し、その分の魔力を彼女は手にした剣に籠め――――
ギルガメッシュにエアを再び構える暇さえ与えず、セイバーが神速で間合いに飛び込んできて最後のエクスカリバーの一撃、という折角の流れが、エヌマ・エリシュを弾き飛ばした後、ドタドタと鎧の擦れる音をさせながら、遠い間合いから駆けてくるシーンがあるから、妙にテンポが悪くなってしまってます。ここのシーンはバッサリと一足飛びにセイバーが間合いに飛び込んでくるように描くべきだったかと。折角この後の武装を解除しながら、その魔力を剣に注ぎ込むシーンの演出はなかなか良い出来だったのに。
総合的に見てアニメ放送当初の戦闘シーンに較べればかなり改善されてきたにもかかわらず、どうにもこのアニメの戦闘シーンの演出、妙なカットを挟んだり、一部だけ何故か「人間の動きに忠実に(?)」戦闘時の動作をさせようとする変な方針があるので、スピード感が削がれてしまっています。
ただ逆にこの戦闘シーンの良い点を云えば、セイバーがギル様に最後の一撃を浴びせたシーン、そして士郎がアゾット剣を発動させるシーン。特に後者はシナリオの表現より非常に分かりやすく、かつ士郎のトドメの一撃が格好良く描かれていたかと。
>立ち止まる事なく、報いの剣を胸に突き立てた。
>「っ――――」ゆらり、と神父が振り向く。
>その前に。片足で地面に杭を打ち、走り抜いた勢いのまま衛宮士郎は身を翻す。
>旋風が薙いだ。己が胸を刺した敵へと振り向いた神父。
>それとまったく同時に、衝撃が二度、言峰綺礼を貫いた。
>独楽のように反転させた体と、右手に籠めたありったけの魔力。
>それを、神父の胸の短剣めがけて殴りつけ――――
>「“läßt”――――!」
> 解放の意味を持つ言葉と共に、アゾット剣へと流し込んだ。
この戦闘の最後のシーンだけでなんとなく許せる気がしてしまったのは……いままで散々書いてきておきながら、やはり今回で最終回と云うことで、我ながら感傷的になっているのかもしれませんw。


そしてセイバーの前に破れたギル様はと云えば。
>>「アヴァロン。彼の王が死後に辿り着くとされる理想郷。
>> 五つの魔法すら寄せ付けぬ、何者にも侵害されぬ究極の守り。
>> それこそが貴様の真の宝具! 伝説に云う聖剣の力か……」
視聴者に分かりやすく、地の文の分を解説してくれた上に、最後にセイバーの頬を愛しそうに撫でるギル様。その妙に艶っぽい表情と共に、何やらスタッフの愛が感じられますw。ちなみにシナリオだともう少しあっさり目。
>「――――――――、」そうして、男は息を漏らした。
>だらりと下げた腕をあげ、目前の騎士を確かめるように、彼女の頬を指でなぞる。
>「―――憎らしい女だ。最後まで、この我(オレ)に刃向かうか」
>黄金の甲冑が薄れていく。血を流し、肉の感触を持っていた英雄王の存在が消えていく。
>「だが許そう。手に入らぬからこそ、美しいものもある」
>指が滑る。上がっていた腕が、力無く地に落ちる。
>「ふん―――ならばこそ、我(オレ)がおまえに敗れるは必定だったか」
>不機嫌に舌を鳴らす。そうして、最後に。
>「ではな騎士王。―――いや、中々に愉しかったぞ」
>口元に皮肉げな笑みを作り、黄金の騎士はかき消えた。
一方、士郎に破れた言峰。
>「――――なぜ、おまえがこの剣を持っている」何より耳に届く声で、言峰綺礼は呟いた。
>「それは俺のじゃない。遠坂から預かったものだ」
えーと、今更云うのもアレですが、確か一度も書いてないので最後に一言。士郎役の杉山さん、その熱演振りはなかなか頑張っていて、既にすっかり士郎の声としてインプットされましたが、演技にせよ、喋るテンポにせよ一本調子になりがちな点だけは否定出来ないかと。ここの台詞も典型的なそれで、確かにシナリオには何も付記的なことは書いてありませんが、言峰が淡々と呟くように吐き出しているのに、士郎だけ熱血なテンションで演じている点は、どうにも会話の流れというか空気を読んでいないというか。ゲームの収録にはもう間に合わないと思いますが、またアニメ化の機会があった際には、もう少し演技に際しては会話の前後の空気を読んで貰いたいと思わずにはいられません。
とりあえず、このシーンは子凛の2カットのサービスを楽しむべきところかとw。
言峰が敗れたことで『黒い孔』から開放されたイリヤ。しかし突然士郎が「投影開始」とシーツを投影してイリヤを包み込んだのは「……それはギャクで(ry」と。。。いえ、確かにイリヤを裸のまま放置しておく訳にはいかないですけれど、投影の大安売り過ぎでは? 確かに「オマル」が投影出来るなら、シーツくらい楽勝でしょうけれどw。


そしてギルガメッシュを倒して士郎のところへとやって来るセイバー。
>>「――――シロウ。貴方の声で聞かせてほしい」
万感の想いの籠もったセイバーの台詞。ここらあたりはセイバーの儚くも力強い表情と共に、流石は川澄さんの一言でした。
さて、このシーンでこれ以上のレビューは野暮ですから……と思いきや、突如士郎のモノローグの台詞が画面に現れ orz。この期に及んで何の冗談をやりますか、このスタッフは? 最終回のここまでのシーンは(散々上で批評しているモノの)それなりに評価出来る出来だったのに。士郎のモノローグが淡々と続くのは絵柄的にマズイのは分かりますが、まさか本当にモノローグをそのまま画面に垂れ流すとは。。。普通これまでのセイバーとの想いの籠もったシーンの総集編的編集をするものではないかと? 最初の数秒分だけで、スタッフの考える士郎とセイバーの絆を描いたシーンが種切れだと? いずれにせよ「斬新な演出」にも程があったかと。なんでこんな謎演出を最終回まで。。。


セイバーとの別れ経て、日常に戻ってきた士郎。そして相変わらず賑やかな日常の象徴たる藤ねえ。まさか「ロケットタイガーw」を本気でアニメで描くとは。この後のイリヤとの掛け合いも素敵で、ひょっとしたらアニメスタッフに一番愛されていたのは藤ねえじゃないかという想いがますます確固たるモノにw。
通学途中では後藤君だけが相変わらず絶好調で、三人娘まで一台詞だけとはいえ登場、というサービスまで。……で、美綴さんは何処に? 弓道部の大会シーンも一時停止して確認しましたがね何処にも映ってませんよね? アニメで一番酷い目にあったのは間違いなく彼女かと。ちなみに次点は、殺された後は士郎にも桜からも完全スルー状態と化した慎二でしょうが、なにやらアニメの第4巻の特典映像が『ライダーの慎二観察日記』というのは本当らしいので、十分すぎ以上に報われていると云ってよいでしょうw。
凛との会話はシナリオよりあっさり目でしたが、これはこれで正解かと。セイバーとの絆をメインで描くのなら、何故最初から凛との距離を適度に離れて描かなかったかと返す返すも不思議に思うわけですが。うちは元々「特化サイト」ですが、それでもFateルートを忠実に映像化して貰えるのなら、何の不満もなかったというのに。。。
それと士郎の『―――ああ。未練なんて、きっと無い』の台詞が本当に軽く流されすぎだったのは、この台詞とその台詞に籠もった士郎の想いが好きな自分としてはショックでした。もっとも「それ以上にショックなこと」がこの直後に控えていたので、その衝撃もあっさりと流れてしまいましたが。
……えーと、ぐだくだ書くのもアレですので一言だけ。「円卓の騎士は皆女性だった」ということでファイナルアンサー? 士郎達の日常とアーサー王の最期のシーンを絡める演出は綺麗に嵌っていただけに、なおのこと。。。
それでも士郎のこの台詞が聞けたから、自分的にはそれでよしとしますけれど。
>>「こんなに近くに感じるのに、手を伸ばしても掴めない。
>> それでも。届かなくとも、胸に残る物はあるだろう。
>> 同じ時間にいて、同じ物を見上げた。
>> それを覚えているのなら―――遠く離れていても、共に有ると信じられる。
>> 今は走り続ける。
>> 遠くを目指していれば、いつかは、目指していたものに、手が届く筈だから。」
EDはディーンが好きな全話スタッフの仮名順エンドロール。『ヤミと帽子と本の旅人』がこれと同じ形式だったかと。そして最後のシーンは、士郎の何もなかった部屋に、唯一セイバーとの確かな思い出の品となったライオンのヌイグルミ。これも感慨深いモノになったかと。。。


ともあれ「二つの問題点」否「問題外点」さえ目を瞑れば、水準点以上の最終回だったとは思います。
ただシリーズを通して見ると、返す返すも何故士郎とセイバーとの絆をメインに描かなかったのか? それなりに準備期間があった筈にもかかわらず何故矛盾、辻褄があってない脚本をそのまま通したのか? 何故素人目にも分かる妙な演出が連発されたのか? ……書き出すとキリがありませんが、今更詮無きことですのでここらでやめておきます。
第4回から毎週レビューを書いてきた身としては一抹の寂しさを覚えますし、散々文句を言いつつも、最後までレビューを書き切れたのは、まだまだ「Fate/stay night」という作品への愛情が残っている証明だったかと我ながら思ったり、とw。
ツッコミ&注文だらけのこのレビュー、最後まで読んで頂けた方々にも感謝して、このアニメレビューを終わらせて頂きます。このレビューを書くに際して色々お世話になりましたMr.ROMさん共々、どうも有り難うございましたm(_)m。