Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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異文化交流クイズ、新シリーズ。今までとガラリとテーマを変えまして、19世紀後半、ジャポニズム印象派を育くみ、そして現在のパリの礎となった「ナポレオン三世によるパリ大改造」から10週にわたって出題。パリ初心者の方にも分かり易く解説していくつもりですので、是非ご一読を。なお今シリーズでも5問以上正解の方には粗品進呈予定ですので積極的にご参加をお願いします(今回は五択ですのでお気軽に)。
凱旋門エッフェル塔に並ぶパリの観光名所として誰もが知っているノートルダム寺院は、セーヌ川に浮かぶ島、シテにあります。
二千年以上前、ケルト人の漁師がセーヌに浮かぶこの一番大きな島シテに小屋を建て定住を始めました。その都市名リュテティア――ケルト語で“沼地の中の都市”の意味――の住人を、ローマ帝国支配時代に「パリジ」と呼んだのがパリという名の都市の語源であると言語学者たちは結論づけています。
このシテという島から、パリという都市は始まり、そして拡大していきます。
初代フランク国王はキリスト教に改宗してパリを定住の地とし、以降カール大帝西ローマ皇帝もまたパリに居を定めますが、どうにかパリが城壁に囲まれた首都としての体裁を確立したのはフィリップ尊厳王(在位1180年〜1223年)の時代になってからで、旧市街(シテ)と、そこからそれぞれ橋を挟んで新市街(ヴィル)、大学街(ユニヴェル)の三街区からなる都パリの原型が生まれます。
(参考:この地図を拡大すると、セーヌ川に浮かぶ島が二つ見えますが、大きい方がシテ島、小さい方がサン・ルイ島です)


このような形として始まった都市としてのパリですが、次々と新しい建物は建てられるものの全てが場当たり的で、要するに都市計画もへったくれもなく、ただ自然膨脹に任せるだけの形となった結果、近世に入った頃には既に都市としての限界に達していました。
『通りは何処も狭く、袋小路になっていて、高すぎる建物は空気の流れをせき止めている。肉屋、魚屋、下水道、墓地などのお陰で空気は腐敗しきっている。』
『パリに住んでいると、さながら地下都市にでもいるような気分になる。それほど空気は、重く淀み、闇は深い。にもかかわらず、この真っ暗闇の液体の中に、無数の人々が、さながら沼の中の爬虫類のように蠢き、押し合いへし合いしている』
「花のパリ」と云うイメージで上京してきた人間が目の当たりにしたモノは、狭く曲がりくねり、暗い路地の両脇にびっしり建て込んだ陋屋。昼なお光の射さぬ建物の漆喰の壁は湿気を吸って波打ち、至る所に亀裂が。歩道もない敷石道の中央のドブに溜まった泥水。窓から投げ捨てられたまま腐って臭気を発する生ゴミ。その生ゴミが馬車の車輪に踏み潰され微粒子となり敷石の上に厚く堆積した真っ黒な泥濘……と、現在の姿からは想像を絶する環境が広がっていたりするわけで。
しかも恐るべきは世界的な巨大都市にもかかわらず、上下水道がろくに整備されていなかったこと。人々はセーヌ川から飲み水を汲み上げ、汚水をセーヌに流す、と云うことを平然と続け、それどころかトイレは建物の中庭にしかないのが普通だったので、住民は排泄物を携帯用おまるに溜め、夜になると窓から中身を捨てる、という信じがたい真似を「ごく普通に」行っていたり、当時のパリの台所とも云えるシャンポーの中央市場では、売れ残りや残骸が付近の道路に山積みされたまま腐敗し、その中央市場のすぐ隣にはイノサン墓地があって、大きな共同墓穴には土もかけないまま死体が放り込まれ死臭を放って……と既に書いているだけで気持ち悪くなるような環境で。


時の為政者たちも流石にこれはマズイと思ったものの、あまりに状況が錯綜しすぎた上に二の足を踏み、あのナポレオンでさえコンコルド広場からルーブル宮殿までのリヴォリ通りを開通させたのが精一杯なくらいで(ちなみに距離で云うと僅か1.5キロ程度)。
そんな状況下、1832年にヨーロッパに上陸したコレラはこのパリにおいて猛威を振るい(特にシテ島で)、ルイ・フィリップ治世下にようやく下水溝の改良、屎尿処理場の町中心部からの移転が始められますが、用地買収のための資金が調達できないまま、1848年に2月革命が勃発し、全ての工事は中断。パリ改造はまたもや振り出しに戻るかと思われましたが……その年の12月。初の普通選挙による大統領選挙で、亡命先の倫敦から帰国した男が初代大統領に選ばれたことで、全ての状況が変わることになるのです……というところで、今週のクエスチョン。
黎明期のパリには、四人の「大聖人」と云われる人物がおり、彼らへの信仰の一部は現在でも祝日などの形で残っていますが、この中に一人、女性がいます。彼女の名はジュヌヴィエーヴ。西暦451年。フン族の侵略に怯える民衆を叱咤し、シテ島を守り抜いた功績により「パリの守護聖女」としてパリの歴史に永劫に語り継がれる存在となっていますが、彼女の親の「職業」は一体なんでしょう? 今回は五択ということでノーヒントで。
1.王族 2.薬草売り 3.羊飼い 4.行商人 5.神父
回答は木曜日の22時まで、web拍手にてお待ちしています。
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