Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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異文化交流クイズ「ナポレオン三世によるパリ大改造」第5回。今回は三世のパリ改造に伴う「光の側面」を見ていきましょう。女性の方、今回は必読! でしょうか?
三世の改造のお陰でパリという都市は刷新され、人口が飛躍的に増大し、交通機関が革命的に発展します。そんな刷新されたパリに1852年、天才的商人アリスティッド・ブシコーが「ボン・マルシェ」という名の店を開きます。
教会のポーチのように天井の高い正面玄関。一階から三階までの吹き抜けとなった正面ホールは、全面ガラス張りのお陰で戸外の光を一杯に凝縮し、まさに光の神殿の様相。
天井からは巨大なシャンデリアが吊り下げられ、店のボーイは明るいグリーンの上下に黄色と赤の縞のチョッキを着て、慇懃な態度で客たちを迎え入れる。絢爛豪華な階段はオペラ座の階段にも勝るとも劣らず、入ってきた人々を異次元の空間に導き入れる。
ノートルダムが神に捧げる神殿ならば、さしずめここは消費に捧げるための殿堂。
つまり、ここに世界で初めて誕生したわけです、消費の殿堂「百貨店」が!


驚くべき事に、既にパリにおいて誕生した時点で「現在の百貨店」の原型が殆ど出来上がっていました。ブシコーはそれまでの常識を覆し「薄利多売、現金正価、入店自由、返品可」と云う、現代の商売と同様の基本原則を確立。勿論それだけでなく、ブシコーは店の外観にも内装にも革命をもたらしました。上記のような壮麗な外観は、ようやくこの頃、パリにおいても確立しつつあった中産階級の女性たち、よりピンポイントで云えば「専業主婦」の人々に、貴族階級の生活の雰囲気を味あわせるべく作られました。
そして本当に驚くべきは、そんな専業主婦の人々を厭きずに何度も来店させるべく、ショーウインドーに随時工夫を凝らし、人だかりを演出すべく正面ホールから真っ直ぐ入ったところにある広いギャラリーには裾飾りや手袋、絹地が捨て値同然で置いたことでしょう。当然更にその周囲には関連商品を上手く配置し、特売品以外の商品まで買わせようとする目論見ですね。この他には待合室を兼ねた図書室を設け、店に用事が無くとも女性客達はここを待ち合わせの場とし、ここでお喋りを楽しんでいるうちに喉が渇き、お腹が減る事態を想定し、読書室の隣には無料でシロップなどが飲めるビュッフェまで完備。後にこのビュッフェは高級レストランに模様替えし「百貨店で買い物をした後に、レストランへ」という定番も完成させるわけです。


この辺の事情については、歴史書を読むよりも、エミール・ゾラの小説「ボヌール・デ・ダム百貨店」を一読することをお勧めします。女性客を呼び寄せるための工夫、そして女性達の百貨店における買物心理について等の描写は、百年以上前に描かれた作品とは、到底思えません。読んでいる際には「凄い凄い凄い」と感心しっぱなし。なお、この作品はゾラ作品としては唯一と云われるハッピーエンド作品であり、ヒロインのドゥニーズはゾラ小説に登場するキャラの中で唯一人とも云える「清純派萌えヒロイン」wですので、安心してお読み下さいませ。ただ、少々値段が高いのがネックですが(汗)。


さて、話が逸れてきましたのでここで今週のクエスチョン。
ボン・マルシェの図書室は美術館のギャラリーのような広大な空間で、実際壁面には風景画の売り絵がかかり、中央には緑のフランネルを敷いた立派なテーブルがズラリと並んでいたのですが、客はその上に置かれたボン・マルシェのイニシャル入りの「あるもの」を無料で利用できました。この「あるもの」とは一体何でしょう?
ヒントとしては未だに広告媒体としては利用されるものですね。但し最近は確かに利用機会は減っていると思いますけれど。
回答は木曜日の22時まで、web拍手にてお待ちしています。
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