Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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異文化交流クイズ「ナポレオン三世によるパリ大改造」第9回の問題は、プロイセン軍に包囲された、動物園の動物まで食用にする羽目になったパリジャンですが、以下の動物の中で「食べられたという記録がない」動物は一体どれでしょう? という問題でした。
1.ロバ 2.虎 3.熊 4.狼 5.カンガルー 6.象
実を云えば、オリジナル小説用に色々調べてこの部分を描いたものの、元ネタが分かんなくなって困っているところに(汗)、sumaさんから詳細な分析の下の回答を頂きました、感謝ですm(_)m。ゴンクール兄弟関係でしたか。
>ゴンクール兄弟の関連で、カンガルーのシチュー、ゾウのコンソメスープ、
>オオカミのあぶり肉…とかいうのをクリスマスに出したレストランがあるとかないとか。
>熊に関しては、”モンテクリスト伯”で有名な”大デュマ”の”大料理辞典”の中に
>スイスで熊のステーキを食べたとか…の記述があったはずなので
>…で残っているのは、ロバとトラなのですが
>フランスは、馬肉食にかんして結構一般的なはずなので、ロバについても
>食用にしたことあるだろ…と、言うことで、
>最後に残ったのは”トラ”でした。
と云うことで、まさしく正解は虎でした。これは元々動物園に虎がいなかったのか、はたまた虎用の餌なぞとっくの昔になくなって、という可能性が両面かと。
そして次回、今シリーズ最終回に向けて、再びオリジナル小説より、最終的な破滅へと向かうパリの模様を。


年が明けて一八七一年一月十八日。
ヴェルサイユ宮殿の鏡の間で行われた戴冠式プロシア王ヴィルヘルム一世が戴冠し、ここにドイツ帝国が建国される。自国の宮殿で他国の皇帝が即位式をあげるという屈辱の事態を、ただ指を拱いて見ていることしかできなかった国防政府は、遂にその十日後の一月二八日、ヴェルサイユにおいて休戦条約に調印する。
ここにいわゆる普仏戦争終結。パリはようやく開城される。パリ市民は深い屈辱に苛まれながらも、しかしこれで町に平和が戻ってくるのを信じて疑わなかった。
しかしパリ史上最悪となる破壊と流血は、足音を忍ばせて確実にパリ市民の下に近づいていた。
ドイツ軍に対する降伏後、国防政府に替わり俄か選挙で政権を握ったのは、右派反動派を中核とする臨時政府であり、彼女の云う「薄ら馬鹿一世」とは臨時政府首相のアドルフ・ティエールのことだ。“ティエールの城壁”を築いた当の本人であり、約25年振りの首相再任である。もっとも往年の人気は影を潜め、当然のように占領中のドイツ帝国軍に頭が上がる筈もなく、市民からは「薄ら馬鹿一世」という有り難い渾名を頂戴する始末だ。
この臨時政府の帝国軍に対する弱腰の姿勢、それを裏返したようなパリ市民に対する高圧的な姿勢、そして何よりビスマルクが何故かパリ攻略後もフランス軍の武器接収を行わず、それらの膨大な武器弾薬が臨時政府自らの手でモンマルトルの武器置き場に運び込まれたという事実が……パリ破壊の第二幕を切って落とすことになる。
そう、全ては腹黒いマキャベリズムに裏打ちされた帝国宰相ビスマルクの思惑通りに。


無数の赤い旗が、セーヌ左岸のパリ市庁舎前広場を埋め尽くしていた。
『さあ、祖国の子供たちよ、栄光の日がやってきた!』
つい先日までプロイセン軍に蹂躙されていたパリはいま偉大な祭りの最中にいる。
人民の祝祭という雰囲気の中、祝砲の轟きと無数の赤旗のはためきの中、この日、三月二八日、世に云うパリ・コミューンが成立。世界で初めての労働者による政権の誕生だ。
『我らに向かって、暴君の血塗られた御旗がはためいている』
ランヴィエによるコミューンの宣言の後、演説、軍楽、人民の歌が続き、ブリュネル率いる連盟兵の分列行進が、ブーツからプレードまで至るところに赤を配した派手な制服の軍隊の行進がシャンゼリゼ大通りを行く。
『戦場で、獰猛な兵士たちが蠢いている音が聞こえるか?』
大砲の口を金色に照らす柔らかな明るい太陽の光の下、人々は栄誉の芳香に酔っている。
金管楽器の高鳴りの中、群衆の波の下から自然発生的に沸き起こる“ラ・マルセイエーズ”はパリ全土を熱狂の渦に巻き込んでいく。
『息子や仲間たちの首をかっ切りに、ヤツらは我らの元へとやって来ている』
だが彼らにはやはり知る術はなかった。その歌の歌詞がそのまま来るべき惨劇を引き写しているということなど。


次回「ナポレオン三世によるパリ大改造」最終回。ナポレオン三世によるパリ大改造が、最終的に、パリ市民をどこに導いたかと云えば。。。