Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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10週に渡ってお送りしてきた異文化交流クイズ「ナポレオン三世によるパリ大改造」シリーズ最終回の問題は、追い詰められ内ゲバに走ったパリコミューン。その最末期には狂気とも云える命令を下していますが、コミューン指導部から実際に出された「命令」は何でしょう? という問題でした。
選択肢のいずれも狂気じみた命令ですが正解は、1番の「コミューンの兵士が狙撃される可能性のある家屋は全て破壊せよ」でした。今回の正解は、Expsterさんのみでした。
2番も3番に関しても、実体として殆ど同じような状態だったと推定されますが、ただこの1番の命令が真実狂気だったのは、その付帯命令だったりします。コミューンの兵士が狙撃される可能性のある家屋は全て破壊せよ。「もしその居住者が従わねば全て射殺せよ」。 ……頭でっかちの組織の末路というのは何故ここまで「とことん」行ってしまうのでしょうか? 
更にコミューン指導部は原始的でありながら、これまで如何なるパリの破壊者も選択しなかったその最悪の手段に訴えます。
その結果、パリ市庁舎、大蔵省、警視庁、会計検査院、参事院、裁判所、パレ・ロワイヤル、レジョン・ドヌール宮、ルーブル宮殿は次々と炎上し、遂にその火の手はチェイルリー宮殿にも及び、貴重な歴史的遺産が次々と灰燼に帰していきました。
5月28日の正午、コミューン側の最後の戦士がパリ街のバリケードから姿を消し、遂にこの同族の骨肉相食む戦闘は終止符を告げますが、戦闘の終了もまだ血の惨劇の終幕を意味しませんでした。いや、これからこそが、正真正銘の一方的な虐殺の幕開けとなりますが、それはまた別の機会に。
ただ“赤旗の下の恐怖”は“三色旗の恐怖”へと攻守ところを変えただけで、その即決の軍事裁判によって、処刑された者は1万人を優に超えたそうです。。。
ここで今シリーズの成績発表。Mr.ROMさん&Ironさん、5問正解達成おめでとうございます。商品の粗品に関してはまた改めてご連絡させて頂きますので、暫しお待ちを。


最後にこのシリーズの主人公だったナポレオン三世のその後を。
イギリスに亡命した三世はロンドン南東一八キロにあるチスルハースト、考古学者にして歴史家、ウイリアム・カムデンの屋敷に落ち着きます。もっとも誰よりもパリを愛していた三世としては、パリコミューンの惨劇とその後のフランスの混迷が耐えられなかったらしく、またぞろ懲りずにフランス帰還&権力奪取を目論んでいたようですが、胆道結石が悪化。1873年1月9日、同地で亡くなります。享年64。叔父の一世並みに波乱に富んだ一生であり「近代都市としてのパリ」の生みの親の死でした。
ちなみにこのクイズの前回シリーズで題材にしたオリジナル小説では、その死の前に大久保利通と対面させたりしていますが、時期的には一応可能ではあったりしますw。勿論、今回のシリーズで何度か引用したオリジナル小説でも三世は登場。「いつかこの作品を世に出してみたい」と云うことで、年末締切の某賞に送るべく現在書き直し中。と云うわけで、異文化交流クイズは年内一杯お休みさせて頂きます、すいませんm(_)m。再開は1月7日予定ですので、またお付き合い下されば幸いですm(_)m。


本当に最後に今回の参考文献一覧を。sumaさんには看破されましたがw、今回の元ネタの半分ほどは、フランス文学者(の筈なのに某週刊誌で畑違いなエッセイやら対談してるw)鹿島茂先生の著作からです(アフィとか入ってませんので安心してクリックを)。
初心者の方にも簡易で安価でお勧めな本は「パリ時間旅行」「パリ・世紀末パノラマ館―エッフェル塔からチョコレートまで」パリ五段活用あたりでしょうか?
三世そのものに関してならば、sumaさんに勧められて購入した「怪帝ナポレオン3世」を現在読んでいるところですが、非常に詳しくて面白いです。
更にパリに関してマニアックな本ですと、パリ歴史事典があります。これは向こうの歴史事典を翻訳したもので、異常なほどの詳しさでパリの歴史が綴られています……って、手元にありますが、詳しすぎて理解出来ないものも多々(汗)。
そして最後に紹介するのは、超マイナーですが、自分がこれまで読んだ千冊以上の歴史関係本の中で、五本の指に入る程のお気に入りの本「パリ風俗史」
『ひとつの都市の、誕生、成長、繁栄の過程には、どこか魔術的な趣がある。日本の手品師が咲かせる紙の花のように、なにもないところから突如現れたかと思うと、見るまにふくらみ、巨大化する。』
この一節から始まるこの本は、1920年代のパリに生きた、パリを愛する評論家によって書かれた、パリという都市の歴史に関する本なのですが、普通の歴史書と違うのは「その時代のパリに生きていたかのように」パリという都市の「生きた姿」を描き出している点でしょうか? まさにタイムマシンに乗って、その往事のパリを訪れているような錯覚にすら陥ります。予備知識がなくとも、この一冊を読めばパリという都市の歴史を体感することが出来、予備知識があれば尚楽しめる逸品ですので、パリという都市に興味のある方は是非とも読んで下さいませ。文庫本ですのでさほど高価でもありませんので。
ではでは、段々マニアックさが増していっている気がしますがw、次シリーズもどうかお付き合い下さいませm(_)m。