Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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最後に今回分の「クララの明治日記 超訳版」解説を、いつも通りにお逸(勝海舟三女)とユウメイに。今週は竹橋事件特集で!
【クララの明治日記 超訳版解説第55回】
「明治日本最初の軍部の反乱! 近衛砲兵大隊による赤坂御所襲撃計画! 暗躍する謀略家岡本柳之助の影に見える囚われの陸奥宗光の姿! 刑死者55名、処罰者302名! 明治前期日本の歴史の最大の闇! それが竹橋事件なのよ!」
「そんなに力説されましても、わたくし、ピンと来ませんわ。そもそも今日では、高校の歴史教科書にさえ載っていないのでしょう?」
「そ、それはこの事件を闇に隠蔽しようとした“闇の組織”の陰謀で」
「何処かの“光の戦士”みたいなことを云っているんじゃありませんことよ!」
「……確かに。“闇の組織”より、そんな台詞をテレビで公言していた人間が現在の総務大臣だってことの方が恐ろしい気もするけど」
「大体わたくし、現在普通に手に入る一般書籍でこの竹橋事件を一番詳しく扱ったと思われる本を読みましたけれど、なんですの、この行き当たりばったりの杜撰な計画は?」
「筆者の人としては竹橋事件の参加者の動機に自由民権運動の萌芽を見て絶賛しているんだけど……でも計画としては確かに出鱈目だよね」
「明確な行動計画も首謀者もなし。計画は各所に駄々漏れ。実質的な黒幕だと考えられている和歌山藩出身の少佐岡本柳之助には、当日の具体的な行動は殆どなし。岡本の後ろ盾だったと考えられる同じ藩出身の陸奥宗光は事件当日は西南戦争と同時決起の疑いで監獄の中、なのでしょう?
というより、わたくし、驚きましたわよ。クララの書いた翌朝の日記、
『この前の戦争、つまり西郷の反乱のことだけれど、その開戦当初、ミカドはある部隊には沢山の報酬を与えられたらしい。しかし、後から参加した者は忘れられたか無視された。
この人たちがぶつぶつ言い出して、他の人もそれに合流し、遂に全部隊が謀反を企み、金曜日の晩に反乱に突入したというわけなのだ。』
現在“一般的に認められている歴史的事実としての竹橋事件”はこの数行殆どそのままんですのよ。クララの情報網が凄いのだか、事件の底が本当は浅かったのだか、よく分かりませんけれど、わたくしとしては、後者の気がしてなりませんわ」
「ともあれ、そこに問題になって出て来るのが謀略家の岡本柳之助の存在ってわけ。
実はこの人、日清戦争当時の外務大臣である陸奥宗光と同じ和歌山藩の出身で、明確な証拠こそないけれど、陸奥宗光の“汚れ役”をやっていたと思われるのよね。
そして日清戦争の後は、かの有名な事件で!」
「丁度今日の“坂の上の雲”で見ましたわよ、閔妃暗殺ですわね。勿論岡本柳之助の名前こそ出ていませんでしたけれど、状況証拠的には“ストライク”ですわよね」
「結局竹橋事件でも、閔妃暗殺でも、岡本柳之助は処刑されていないんだよね。
私、陰謀論とかは好きじゃないけど、歴史の中には“そういう仕事”を請け負う人間って本当にいるものなのねぇ」
「それが事実かどうかは歴史家の更なる研究に委ねるべきところでしょうけれど、いずれにせよ、そんな仕事に携わった人間は“まとも”な生涯を送れませんわよ。実際この岡本某とやらも、日本では死ねなかったのでしょう?」
「最後は上海で客死だね。まあ、死ぬ前に好きなだけ自己弁護した本を出版できただけ、謀略家としては“幸せ”だったとは思うけれど」
「……さて、その“幸せ”の裏に何人の屍が転がっているのでしょうね」
「といったところで今週は竹橋事件特集でした……と云いたいところですけど、この話題は来週もほんのちょっとだけ続くんじゃ!」
(終)


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