Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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【#クーリエ・ジャポン】8ヵ月で消滅したSARSのように新型コロナウイルスも終息するのか?

21世紀初のパンデミックとして世界をパニックに陥れたSARSウィルスは、約8ヵ月で死滅した。今回も同じように終息するのだろうか? 専門家によると、ウイルスの特性を見るとそうもいかないようだ。ロサンゼルス・タイムズが取材した。
はじめて死者を出したコロナウイルス
冬の中国東部で出現した謎のウイルスは、それまでにない病原体だった。これはやがて世界中の人々を不安にさせ、大規模なパニックを引き起こすことになる。

それから数ヵ月で、何百人もの人々がせきや呼吸困難の症状を訴え、治療を求めるようになった。死亡者も出た。

アウトブレイクの鎮圧に大急ぎで取り組んだ科学者たちはその後、これは「コロナウイルスの新株」が原因だと突き止める。健康への脅威が世界規模で広がり、数千人規模の死者が出る事態を防ぐため、世界保健機関(WHO)は緊急行動を求めた。

これは、2003年初頭の出来事だ。「重症急性呼吸器症候群」(SARS)との戦いのはじまりである。SARSアウトブレイクは、コロナウイルスの流行としてはじめて死者を出した。

SARSはなぜ終息した?
フロリダ州立大学の公衆衛生学教授で、同州でのSARSアウトブレイクへの対応に関わったアラン・ローワンは、「懸念すべき事態でした」と当時を振り返る。

「新しいウイルスであることが恐ろしい点でした」

いま世界各地に広がりつつある新型コロナウイルス感染症と同じように、SARSのときも、この病気が定着するのではという不安から、人々はマスクの買いだめに走った。アジア旅行をキャンセルし、大規模な隔離措置を実施した。

しかしSARSは、流行開始から8ヵ月後に封じ込められた。ウイルスが死に絶えたのである。

SARSの根絶は、最近の公衆衛生対策としては最大級の成功と称賛された。それは迅速かつ徹底的な対応と、幸運によるものだった。

しかし、新型コロナウイルスの感染者数が増加するなか、歴史が繰り返される可能性は低そうだ。このウイルスの広がり方からみて、封じ込めはSARSの場合よりもはるかに難しく、その被害ははるかに大きくなる──というのが専門家の見方である。

新型コロナウイルスの流行は「SARSよりも大ごと」
2月9日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の死亡者数はSARSを上回った。それ以降も死亡者数はさらに増加している。

SARSは2002年末に中国南東部の広東省で流行しはじめると、翌年早春までに約1500人が感染した。WHO当局者は、SARSは過去20年以上のあいだで発生した健康への脅威のなかで、AIDSに次ぐ深刻な脅威になりうると語っていた。

SARSは肺炎のような症状をともない、患者のおよそ10人に1人が死亡した。この死亡率は、今回の新型コロナウイルス感染症の50人に1人という推定死亡率よりもはるかに高い。

WHO国内国際保健法研究協力センターのローレンス・ゴスティン所長は、「大変なパニックでした」と振り返る。

ゴスティン所長によれば、29ヵ国で発生したSARSアウトブレイクの最終的な封じ込めにつながったのは、ウイルス検査、感染者の隔離、ウイルスを拡散させる可能性のある場所(空港など)での利用者のスクリーニングといった、従来の公衆衛生対策だったという。

その戦略はシンプルである。病気の人から健康な人への感染を止められれば、ウイルスは最終的に死に絶える、ということだ。

しかし現在のアウトブレイクは、感染者数が非常に多いことから「実証済みの公衆衛生対策で抑えることは難しいと既にわかっている」と、ゴスティン所長はいう。

SARSの場合は、流行終息までの感染者数は8000人だった。今回の新型コロナウイルスの感染者は既に7万3000人(原記事執筆時点)に達している。未診断の軽症患者がいるため、実際の数字はさらに高いと考えている専門家もいる。

「感染者はとても多く、今後もさらに増える可能性があります。ここまで増えると封じ込めるのはかなり大変でしょう。SARSよりもはるかに大きな問題です」

現代の方がウイルスを封じ込めることが困難
21世紀初のパンデミックとして記憶されているSARSが流行するなか、「つながり合った国際社会」がこれまでにない病気の流行を助長する様子を、公衆衛生担当者たちは恐怖を覚えつつ見ていた。

カナダのトロントでは、香港を訪れたカナダ人カップルから始まったSARSアウトブレイクにより、24人が亡くなった。

こうしたリスクがいまではさらに高まっている。中国では、国内旅行や海外旅行をする人が2003年当時よりもかなり増えているのだ。ゴスティン所長によれば、これが封じ込めを「(以前よりも)はるかに難しくしている」という。

WHOは、新型コロナウイルス感染症が「国際的な公衆衛生上の緊急事態」であると宣言した。さらにエジプトで感染者が見つかったことを受けて、2月14日に、コロナウイルスが5つ目の大陸であるアフリカ大陸に到達したと発表した。週ごとの新規感染者数が減少しても、それを「コロナウイルス鎮圧の兆し」と解釈すべきではないとWHO当局者は語っている。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は2月12日の記者会見で、「今回のアウトブレイクは引き続き、どんな方向にも発展する可能性があります」と話した。

WHO当局者は、こういったウイルスの変わりやすさを知っている。SARSパンデミックの期間にWHO感染症部門のリーダーだったデヴィッド・ハイマン博士は、SARSに対する国際的対応を分析した2004年の論文でこう書いている。

SARSへの対応は「幸運と優れた科学」のおかげだった、と。

幸運にもSARS発展途上国には広がらなかった。しかしもし広がっていれば、充分に発達していない医療システムでは封じ込めに苦労したはずだとハイマン博士は書く。さらに、SARSウイルスを抑えることが簡単だったのは、感染力が比較的低かったためだとしている。

SARSを短期間で封じ込めたことは、近年の公衆衛生における最大のサクセスストーリーのひとつだ。健康面での大災害が世界規模に広がる事態は、はたしてどれほど近くまで迫っていたのか。何が決定的な要因だったのか」

科学者は近いうちにその答えを見つけるだろう。SARS新型コロナウイルス感染症はいとこのようなもので、遺伝子物質の70%が共通している。どちらもコロナウイルスの一種だ。2003年以前に知られていたヒトに感染するコロナウイルスは、一般的なかぜの原因になる種類のみだった。

SARSのようには鎮圧できない
SARSウイルスが患者の肺の奥深くで増殖していたことが、おそらくは死亡率の高さに関わっていた。一方でそれは、感染力が新型コロナウイルスに比べて低い原因でもあった──と、アイオワ大学でコロナウイルスを研究する微生物学者、スタンリー・パールマン博士は語る。

新型コロナウイルスは鼻腔や気道で増殖する。そのため、インフルエンザのように、せきやくしゃみで広がりやすいのだという。

SARSは患者が重症化するまで他者に感染しにくかった可能性があるが、新型コロナウイルス感染症はそうではない。そのため、感染が広がらないうちに感染者を見つけ出すことがSARSより難しいだろうとパールマン博士は続ける。

「喉の痛みやくしゃみなどの軽い症状が出た時点で、他の人を感染させる可能性があります。SARSのように、ただ消えてしまうことはないでしょう」

たとえ新型コロナウイルスが死に絶えないとしても、大幅に勢いが衰えて感染者数がきわめて少なくなるか、あるいは冬にしか現れなくなる可能性はある。ウイルスには一般的に季節性があり、1年に数ヵ月だけ現れるものだ。そのため、新型コロナウイルスも暖かくなれば消えるのではないかと期待する人もいる。

今回のアウトブレイクでは、国際機関への通知や遺伝子配列の解析がSARSのときよりもずっと早かった。しかし、シラキュース大学フォークカレッジで公衆衛生を研究するブリタニー・クムシュは、ウイルスの特徴のせいで、新型コロナウイルス感染症が抑えにくいことには変わりないと語る。

クムシュによれば、ウイルスは一般的に「感染力が高く、死亡率がそれほど高くない場合にもっとも広がりやすい」という。ウイルスの死亡率がきわめて高ければ、多くの人に病気をうつす前に患者が亡くなってしまうことが多いのだ。

新型コロナウイルス感染症の死亡率がSARSに比べて低いという事実は、医者を安心させることにはなる。だが、実際には予防の努力を妨げる可能性があると、クムシュはいう。

SARSウイルスが今回の新型コロナウイルスと同じ特徴を持っていたら、いまも流行が続いていたでしょうね」

SOUMYA KARLAMANGLA