Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第10回−4

1876年3月2日 木曜日 
郵便を受け取ってから、母と出かけて銀座まで歩いた。
横丁を通ったら、一人の人がお米だか小麦だかを団扇で扇いでい、籾殻をより分けていた。私たちは立ち止まって眺めたが、聖書の時代を思い出させる光景だった。まさに「手には箕を持ちて、其禾場を浄め」(マタイ伝三・十二)そのままの姿だった。
ある店で、金と銀でとても精巧に珍しい工夫を凝らした刀の装飾品を見たが、値段が高すぎた――半インチのが八ドルもした。欲しくてたまらなかったので、そんなに高くなければいいのにと恨めしかった。
いろいろの店で自分たちの日本語を試しながら、あちこち回って帰宅した。僅かな日本語でなんとかやっていけるのは不思議だ。今日気がついたことだけれど、私が「アリマスカ」と聞くと、もっと丁寧な云い方で「ゴザリマセン」と答えられ、こちらが「ゴザリマスカ」と云うと、反対の答え方をされる。
買い物の時の決まり文句があって
「コンニチワ、アナタ、コレ、オナジコトゴザリマスカ?」
そう云うと
「ハイ、アー、ゴザリマセン」と答えて肩をすくめ、残念そうな目つきをする。
「サヨナラ」
「ハイ、アリンガットー、サヨナラ、アナタ」
このように日本語を知らないのに上手くやっていけるのだ。