Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第13回−3

1876年4月18日 火曜日
昨日例の写真が届いたが、皆の感想は「…………」というもの以外なかった。
「これはなんということです!? 内田写真店と云えば今上陛下の写真も撮られた高名な写真家でいらしたのではないのですか!?」
すっかり昂奮したおすみを取りなすように、富田夫人が窘められる。
「仕方ないことでしょう。前のご主人である九一氏が亡くなられ、今は親戚の人が仕事を受け継いでいるのですけれど、まだ仕事に慣れていないのですから」
「しかし、これはあんまりではありませんか! 富田夫人はすっかり曲がって坐っているように写られていますし、三浦夫人はまるで薬を飲みながらしかめっ面をしているみたいではありませんか!」
「おすみは遠い眼差しで富士山でも調べようとしているみたいですものね」
今日も綺麗な綾織りの着物を着たおやおさんがまったりと云う。その着物は腰掛けると袖が床に届き、まるで古い東洋の絵から抜け出てきたように――風変わりで面白く、古い清国の陶器の絵そっくりだった。
「わ、私の事などどうでもいいのです。問題はおやお様に一切表情がなく、まるで『写真屋には自分の写真を撮る権利などない』と考えているように、強情な顔つきをされているように写っていることです!」
うん、今回ばかりはおすみの云うとおりだ。実際に妹のアディは怯えて死にそうに見えるし、私は――いえ、私のことはよそう。私はいつものとおり、つまり、ちっとも美しくないのだ。写し損ねたら、実物より美しく写っていた、なんて都合の良い話はないのだろうか?
午後の祈祷会の時、今後この会を聖書勉強会と呼んで聖書を勉強することにし、来週創世記の第一章から始めることに決めた。
後は他にとりたてて云うことはない。うちの生徒達は歌をとてもよく覚える。それから、道の向こうの広場で軍隊の観兵式があった。
ああ、懐かしい学友よ、今どこにいるの。あなたたちのことを思い出すと淋しくて涙が零れる。そうだ、私は怠け者になって、時間を浪費しているのではないかしら? だからもうここでやめよう。