Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第18回−8

1876年8月24日 木曜日
勝家のお逸が今日十二時に来た。素晴らしい着物を着て、口紅をこってりと塗り、顔にお化粧をしていたけれど、けばけばしさはなく、より一層美少女っぷりが際だっている。
本当に日本人にしては大きな悪戯っぽい黒い目がとても魅力的だ。
昼食の後で二人でアイスクリームを作ることにしたのだけれど、お逸は大きなエプロンを掛けて手伝ってくれた。
可愛くて優しい少女で、私は同国人の友達のように大好きだ。
お逸が英語を喋れるか、私が日本語を喋れるかしたらいいのにとつくづく思う。でも私たちは片言同士でなんとか上手くやっているのだ。
私と同い年の十六歳なのだけれど、日本ではもう立派な若い淑女と見なされる年齢なので、結婚の申し込みが沢山あるらしい。
「結婚などしてはいけない!」
私は思わず叫んでいた。もし出来ることならアメリカに「お持ち帰り♪」したい。
近いうちに泊まりに来ることになっているけれど、本当に大好きだ!


お逸が授業を受けて、私がオルガンの練習をしていた時、扉を叩く音が聞こえたので振り向くと中原氏だった。私たちは長い間陽気にお喋りをして、二人で作ったアイスクリームを食べた。中原氏は私の可愛い友達であるお逸を全然見ないで、ウィリイか私だけを見ていた。
中原氏が帰られた後、ウィリイは肩を竦めて云った。
「日本人には感心したよ。日本の女の子をちっともちやほやせず、こちらから追いかけずに、女の子に追わせるようにし向けるのだから!」
日本人は、女の子の前では威厳のある冷たい態度を取る一方、何故か既婚婦人には結構ぺらぺら喋っている。
もし万一中原氏が、私に対するように日本の少女に注意を払ったとしたら、町中によからぬ噂が広がってしまうだろう。
同じ年の日本の少女の慎み深さに較べると、自分があまりにも自由なので、恥ずかしいような気がすることがある。
この国では、私たちとは違い、男女の若者は全く隔てられていて交際することがない。道徳や作法などが我々の国とは非常に異なるから、そんなことはあまりできないのだろう。
少女は両親の決めた相手と結婚しなくてはならない。そして、他の男の人のことは殆ど知らないから、愛とは何か分からずに結婚する。
男性は既婚婦人とは平気で話をするので、妻は夫の友人の中に恋人を見つけて、揉め事を起こすことがよくあるそうだ。これも皆、女の人が男性社会からすっかり閉め出されていて、その結果、男性について何も知らないことから生じるのである。
一方、アメリカの少女たちは、全ての点で対等に男性と交際し、男性の人格を見抜く目を持っているから、自分で選ぶことができるのだ。
私はアメリカ人に生まれたことを心から有り難いと思う。
キリスト教の上に築かれた栄光ある我が国よ、万歳!