Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第18回−9

【クララの明治日記 超訳版第18回解説】
「ふっふっふっふっ♪」
「いきなりなんですの、その笑い? 気持ちが悪いですわね」
「ポン様、暴落万歳! ってことで、Amazon.UKに頼んでいた本が遂に魔都倫敦から地球を半周して到着したんだよ!
「勝手に大英帝国の首都を魔都にしたりするのはおやめなさい。後、大英図書館を秘密エージェント育成機関にしたり、その地下に魔術教会の本部を置いたりするのも」
「……いや、それ云っちゃうと、うちのブログの存在意義そのものが問われちゃうわけで。
ともあれ、到着した本のタイトルを聞いてよ、メイ。
『Clara's Diary: An American Girl in Meiji Japan.』
この本の日本語訳タイトルはな〜んだ?」
「『クララの日記 明治日本のアメリカ少女』ですわね?」
「そう! つまり『クララの明治日記』の英語原本版だよ! つまり、本日分より、このブログのこのコーナーも晴れて《超訳版》を名乗れるというわけで♪」
「ということは、今まで《超訳版》と謳いながら、実際には翻訳していなかった、と自白するわけですのね?」
「……えっ!? いや……その……だって……ほら? その、日本語版は、もう絶版だし……ねぇ?」
「当該本の日本語版が絶版なのと著作権とは全く関係ありませんわよ? 絶版本を再版したい場合はこちらから、ちゃんと申し込みなさい」
「いや、だから、ブログ主も二冊目を手に入れるべく、登録してるのだけれど、正直ちょっと絶望的だし……って、あ、興味のある方、是非復刊申し込みしてみてね」
「……ふー、とりあえずこれ以上責めても仕方ありませんわね。学術的な引用が何処まで認められるかの話でもありますし。
では、少しは建設的な話を致しましょうか。それでどうでしたの? 英語版、というか、そもそもクララが英語で書いているから当たり前なのですけれど、日本語翻訳版と目立った違いとかありまして?」
「まだパラパラと流し読みしたくらいだけど、大体一緒っぽいよね。英語なんて殆ど忘れてるけれど、日本語版の方は頭に入っているから、違いがあれば気が付くし。
あ、だけど何故か英語版にはない記述が日本語版のところにあったりするのは不思議なんだけど?」
「その点については理解可能ですわ。クララの日記は今まで二度翻訳されていますけれど、現在の文庫版は中公文庫なのに対し、一度目は単行本で講談社から出ていますの。そしてこの英語版の版元は講談社の海外部門なのでしょう? 恐らく版元の違いと翻訳時期の違いですわね」
「でも不思議なのは、今回分だと7月25日分の記述は英語版にないのに、7月20日分に、こんな短い記述があるんだけど、訳されていないんだ。
Willie took our photographs today.I was dressed in Japanese clothes and quite enjoyed it - painted red lips and cornstarch for rough. I set up very well for a Jap. They all said I made a good one. The derss is very easy,only the girdle is rather warm, being so wide. I can go around with clogs very well.
兄のウィリイさんが着物を着たクララの写真を撮ってくれた、って記述なんだけど……」
「Japの文字が差別語として引っかかった……という訳じゃなさそうですわね。なんですの、この英文? cornstarchだけだとトウモロコシのでん粉って意味のようですけれど、cornstarch for rough で当時の慣用句なのかしら? 特に最後の一行なんて、どうにも意味が取れないのだけれど?」
「強引に超訳版風で訳すとこんな感じなのかな?
『今日、ウィリイが私たちの写真を撮ってくれた。私は日本の着物を着ることにしたのだけれど、それはとても楽しい経験だった――唇を紅で塗りたくり、髪をトウモロコシノリで荒っぽく固めることも、だ。私は日本人のためによく髪型や服装を整えてあげるのだけれど、とても評判が良い。日本の着物は非常に簡単な作りで、幅が広く、腰帯だけが厚い。私はそんな窮屈な服を着ていても、非常によく動き回ることができます』
うーん、でもやっぱりなんかおかしいような」
「よく意味が取れないし、特段意味のある記述ではなかったから日本語版では省いたのかもしれませんわね」
「ともあれ、今後も英語版との続きの報告はしていく予定なので、お楽しみにー」
「……楽しみにしている人間が三人以上いるとは思えませんけどね」
「ああ、云ってはいけない真実を orz」


「さて、話をいつもの解説に戻しますわよ。本日分で解説すべき点はクララが訪れたヘップバン夫人についてですわね。
ご主人のヘップバン博士はヘボン式ローマ字の発案者として有名ですけれど、恐らく明治維新期に日本を訪れた外国人が一番世話になった方がこの御夫妻ですわね。本当に当時の記録を読むと頻繁に登場しますもの」
「日本の政府は幕府も、そして明治政府も危険人物扱いして、邸宅の使用人として密偵を送り込んでいたことが今日の資料で分かってるけどねー。
あと幕末、博士を暗殺しようと邸宅に潜り込んだ攘夷派のサムライが、博士の医師としての日本人への献身ぶりを見て改心したとか、博士が後年アメリカで亡くなった日に創設した明治学院ヘボン館が焼失した、なんて伝説もあったり」
「前者はよくある伝説とも云えますけれど、後者は怪談の類の話ではありませんの?」
「でも間違いなく真実なんだなー、これが。夫妻は今後も何度も登場しますので宜しく」
「さて、長くなりましたので、本日分はこれくらいに致しますけれど、クララの指摘している日本人の音程の外れっぷり。実はこの改善に最初に手をつけ、今日にも多大な影響をもたらす人物と関わりが非常に強い人間がここにいますわ」
「えっ? 何処!? 何処に!?」
「……はぁ、本当に仕方ありませんわね。本当にこの娘が父親である勝提督の十分の一でも記録を残していれば、貴重な資料が残ったでしょうに。これに関しては記録をもう少しまとめましたら取り上げさせて頂く予定ですわ」
「なに? どういうこと!? どうしてそんな哀れんだような眼で私を!?」
(終)


と云った所で、今週も最後までお付き合い下さった方、有り難うございましたm(_)m。
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