Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第26回−7

1877年2月5日 月曜日 
昨夜は激しい吹雪が吹き荒れた。
今朝はまるで自然が頭にベールを掛けたように、辺り一面冷たい白いマントに覆われた。その上を太陽が照らしている。うちの向かい側の公園の庭は御伽の国さながらだ。
だけど、日本人は道の雪をシャベルで掬い除ける技術を知らない。その結果、空が明るくなって天気が良くなると、道は通りにくくなり、一台の人力車に二人も車夫が必要となる。そのせいで、今日はお逸と有祐が来ただけだった。
「そうね“小春”という名前はどうかしら?」
お逸が私の人形に名前をつけてくれた。お逸のは“小藤”、アディのは“小松”という名前だけれど、これらは皆日本の若い女の人、特に芸者に多い名だ。
夕方、矢田部氏が来たが、二、三分しか会わなかった。
「具合が悪く頭も痛いので、失礼します、おやすみなさい」
それだけ云って引っ込んだからだ。母はとっくに休んでいたから、その場にはウィリイと父が残った。やがてヤマト屋の人が注文の件でウィリイを訪ねてきたので、矢田部氏の相手は父だけとなった。
「………………………………………………………」
「………………………………………………………」
「………………………………………………………」
「………………………………………………………」
延々と続く沈黙。あの矢田部氏も遂に耐えられなくなって、八時半に!帰って行った。
矢田部氏が怒ったかどうか知らない。けれど、どうしようもないものはどうしようもないのだ。