Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第70回−5

1879年1月31日 金曜日
笠原は外国に行くための費用を調達する目的で北海道へ行った。
彼は刀を私に預けていった。
「必要が生じた時には返して頂きますから、預かっておいて下さい。
もしヨーロッパにもアメリカにも行けないのなら、これでハラキリせねばなりませんから」
鋭利な彎曲した刃のある短刀で、切ったら痛そうだ。
風の強い陰気な一日で、私は頭痛がしたし、台風になりそうな気配で、風邪もよくならないから外出の予定を変更して家でパンを焼いた。
勝氏のお夕食にと思って少し届けたが、間もなくお逸から次のような手紙が来た。
「親愛なるクララさんへ。
貴女の素敵なパンはとてもおいしくいただきました。
父は留守だったので母と兄が皆頂戴してしまいました。
そこへ父が帰ってきたのです。
もし出来たらどうかもう少し届けてください。
逸より」
勿論私はみんなにゆき渡るだけ届けさせ、褒めて頂いてとても誇らしく思うと書いた。
「クララが作ったパンだから格別に美味しかったのよね」
お逸は後でそう云ってくれ、小鹿さんが「日本で食べたパンの中で一番美味しかった」と云ったことも伝えてくれた。