Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第71回−5

1879年3月1日 土曜日
『3月は子羊のように訪れ、獅子のように立ち去る』
諺にはこうあるが、どうかそうなりませんように。
今日のところはとにかく穏やかであるが、いつまでもこういう陽気であって欲しい。
私は元気いっぱいで母の部屋を掃除した。
それから私が所属しているクラブの図書を借り出すために、母と英国公使館に行った。
係の女性がいなくて、守衛のウッドが名前を控えてくれた。
昨日メイ・ブラウンとアニー・ブラウンが来た。
「明日昼食を一緒に食べてから永楽町の展覧会に行こう」
そう誘ってくれたので、公使館の帰りにマッカーティ先生のお家に寄った。
アニーはいつものように黙り込んでいた。
背は益々高くなったが、一体いつ成長が止まるのだろう?
綺麗な黒のアルパカの洋服を着て、白い毛織のコートに、前面に赤い荊の蕾の飾りのついた茶色の帽子を被っていた。
帽子の上に小さい白いベールを掛けていたが、これは顔を白く見せる。
ところが私がかけると、かえって黒くみえて、まるで日本人のようになるので、私には被れない。
昼食はとても愉快だった。
先生は折りあるごとに、洒落を飛ばして絶えず皆を笑わせ、とってもユーモラスだ。
こんな人と一緒に暮らすのは楽しいことだろう。
二時に展覧会に行って、素晴らしい展示物を見た。
お天気が曇りですっきりしなかったため、人出が少なくて助かった。
古い銅の花瓶や貨幣はとても面白かった。
特にマッカーティー先生は漢字が読めるので、いろいろ説明して下さったから余計に面白かった。
綺麗な展示物を全部見てからバザーに行くつもりだったが、時間が遅くて駄目だった。
アニーはミス・キダーのところで日曜日を過ごすために駿河台に行き、私はマッカーティー夫妻と一緒に帰った。
マッカーティー夫妻の家からは人力車で帰ってきたが、途中で火曜日の村田氏の招待のことを伝えるため富田家に寄り、しばらく赤ちゃんをあやした。
赤ちゃんは私にすっかり懐いている。
実際誰よりもよく懐いていると富田夫人は仰っている。
家に帰ってみたら母が二人の日本人の客の相手をしていた。
一人は上野栄三郎氏で、もう一人は金沢からみえたご老人であった。
この方は近く金沢に帰られるので、ウィリイに紹介して欲しいと云うことだった。
上野氏は歌うのがお上手で、商法学校の有名な先生である。