Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第80回−1

1879年5月24日 土曜
昨日の昼に、田中を共に横浜へ行った。
一番良い席はうるさい清国人の一行に占領されてしまったので、汽車の旅はつまらなかった。
田中が居留地に来たのは初めてのことだ。
「この大きな建物は何でございますか、お嬢様?」
そんなことを絶えず聞いているうちに、山手に着いた頃には云う言葉が出尽くしていた。
ヘップバン夫人の素晴らしい応接間を見ても、ただ「ナルホド!」と云うだけ。
着いた時、夫人は薔薇の手入れをなさっていてとても楽しそうだった。
一晩泊まってミス・リードと一緒に寝た。
バッサー大学出身で、昔の級友のミナ・グラントを知っているという。
女子大生の羽目を外した行動、悪戯の仕合といったバッサーの生活を話してくれて面白かった。
ただ彼女は、アメリカの女子学生の生活をひどくけなしていた。
ミス・リードは部屋を真っ暗にして寝るので、薄明かり<アンドンが最上だと思う>をつけていないと眠れない私は困った。
夜私たちはとても楽しく歌を歌った。
「ジュアニタ」の美しいメロディーや「三人の漁師」の物悲しい音に誘われ、ヘップバン先生が書斎から出て来られた。
そして一緒に古今賛美歌集の中で好きな曲はじきに全部歌ってしまった。
リーナ、つまりミス・リートが歌わないので、先生はご自分の素晴らしいテノールに合わせられる人がいて喜んでおられたし、私の方も聞き飽きた自分の声に合わせて下さる方がいて嬉しかった。
私も楽しかったが、他の方々も楽しかったと思う。
気がついた時にはもう夜の十時だった。
今日母とアディが来たので一緒に帰った。
横浜で愉快に一日過ごしたが、疲れていたので、自分の家のベット、お風呂、それにアンドンに戻ってほっとした。