Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第80回−3

1879年5月26日 月曜
五月にふさわしい晴々とした朝!
母は「苺を食べにくるよう」と同人社の生徒たちを招待したので、津田氏の農園に二十ポンド注文し、その他にもおいしいものを用意した。
二時に黒い肌、赤い頬、汗と髪油の匂いをさせた丸々した女の子たちがやってきた。
引率の年配の男の人は、ハーレムの虫干しをしているトルコ人みたい。
中村若夫人と女学校の主事の若い佐藤氏も一緒だった。
女生徒は大部分私が知らない人たちなので、初めはしっくりしなかった。
しかし、どんなことにも物怖じしないミス・矢沢は、他の人たちが見守っているのを尻目に、アルバムやゲーム等々を独占してしまった。
その出しゃばりぶりは、明らかに中村夫人の癇にさわっていた。
イービー氏が教えていたので「イービー・ガール」と呼ばれている娘は、イービー氏と同じように「不当な取扱いを受けた」というような喋り方をし、黄色いドレスに赤いサッシュ、緑の髪飾りをして、とても憂鬱な顔つきをしていた。
ミス・服部は、顔に四角い膏薬をいくつもつけているので、膏薬さんと呼ばれている。
相変わらず人は良さそうだが、ぎこちなく、大儀そうに動いていた。
二人の美しい先生はよくクスクス笑ったが、頭が良さそうだった。
残りはじっと黙っていて、苺を取りに行く時か、みんなと一緒にクスクス笑う時以外は存在の証しも示さなかった。
十五人の赤、黄、青の女の子たちは、表情のない丸顔につり目の典型的な庶民顔。
だが、この十五の不滅の魂のために私たちは働き、祈っているのだ。
賑やかなゲームをいくつかしたが、ミス・矢沢は「よく分かりました」と云っては必ず間違えた。
それから歌になったが、ミス・矢沢はまた性懲りもなく大声でみんなをリードした。
それがすむと、皆とても喜んで帰って行った。
富田夫人、三浦夫人、お逸も女学生を見に来た。
「ほんとに師範学校出の子らしいわ」
富田夫人は出しゃばりのミス・矢沢をこう評した。
私はこの三人と女学生たちとがあまり対照的なのに打たれていた。
安い派手なものを着、図太い態度で大声に喋り、ギクシャクしたマナーの人たち。
その一方、優雅な装いに謙虚な態度、控え目なマナー、量産されたものとは違うはっきりした目鼻立ちの本当に素晴らしい顔をしたレディたち。
だがこの人たちをこき下ろしてはならない。
私たちがここにいる目的はこういう人に善をなすべく努力することなのだ。