Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第80回−4

1879年5月27日 火曜
今日は、人の一生にもよくあるように、はじめは素晴らしいといってもよかったのだが、だんだん崩れてしまい風雨のひどい嵐になってしまった。
それで昼以降、家に閉じこめられ、物を書いたり、本を読んだりして時間を過ごしている。
この東洋の地は怠けやすい気候のところだ。
おタケは夫であるシュウのことで困っている。
シュウはとてもよい使用人なのだが、隣の通りの美人の料理人を見る目が、おタケには気に入らないのだ。
可哀想に私のところに来て、苦労を面々と訴えた。
「うちの旦那は若いし、いい男だからと辛抱はしています。
でも正統な妻である自分の方が、こんなハンサムな夫には釣り合わないほどやつれて、老けてしまったのも、旦那が悪いからです!」
気の毒に! 
後生の望みも、困っている者を哀れみ下さる良き羊飼いのキリストのことも知らず、どうして生きていられるのか。
日本の女の人にとって、キリスト教はどんなに素晴らしい贈り物になるだろう。
ヨーロッパ人の道徳観念にとってはショッキングなことだが、厚化粧の女郎を買ったりするのは下級階級の男に限らず、夫の不実に苦しむのは、おタケのような階級の女の人ばかりではない。
本当に悲しいことだ。
特に女の人たちは一般に当然のこととして、主人がすることはなんでも大人しく我慢する。
国の柱である人々が自分で自分に恥辱を加えるような行為をするとは何としたことだろう。
だが、私たちの分限は裁くことではない。
最善を尽くして、しかる後に「私たちのなすべき義務は果たしましたが、役に立たないしもべです」と謙虚に認めることなのだ。