Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第82回−4

1879年6月24日 火曜 
今日、ディクソン氏から手紙が来て、身体の具合が悪く、水曜のピクニックはとりやめになってしまった。
アディは招待されてとても喜んでいたのでがっかりしていた。
今朝、杉田家へ行き、今晩、夕食に大鳥氏がみえるので、杉田先生も招待した。
先生の奥様と楽しく時を過ごし、向かいの杉田およしさんの家にも寄った。
およしさんの家はとてもきちんとしていて、武さんと赤ちゃんと一緒に住み心地よく暮らしている。
客間は清潔な畳敷きの部屋。
床の間には花が活けてあり、その後ろに掛け物が一つだけ掛けてあった。
廊下を隔てて武さんの書斎があり、机や本がきちんと並べてあった。
およしさんの居間と寝室が次にあり、揺りかごの中にはカーチャンが寝ていた。
その傍らに裁縫箱と縫物がおいてあり、火鉢にはお茶を入れるお湯がチンチンに沸いていた。
女中部屋はここと台所の間にあり、朗らかな、ばあやが君臨していた。
これらの部屋の前はずっと縁側になっていて、小さな庭とその向こうに大門が二つ、左手に小門が一つ見える。
「クララさんが入ってくるとき、大門を開けず申し訳ありません」
杉田夫人はそんなことをお詫びになった。
実家が杉田家である富田夫人がいらっしゃっていて、私と一緒に帰られた。
今夜は、大鳥氏のほか高木三郎氏、津田氏と一緒に、松平氏もいらっしゃった。
松平氏は殿様で、時々ひどく厳めしくなるが大変面白い方だ。
小鹿さんが熱を出して来られないので、お逸が来た。
勝氏も用事があって来られなかったが、楽しい夕べだった。
ナポレオン三世ユージニー皇后の一人息子の若いナポレオン公が、最近アフリカでズール人に殺されたそうです」
大鳥閣下から、そんな話を教えて頂けた。
たった一人の子供を溺愛していた皇后にはひどい打撃だろう。
バージニア出身のアメリカ人で、もとパターソンといったボナパルト夫人も最近、亡くなった。
この方はジョーゼフ・ボナパルトアメリカに叔父と亡命した時、正式に結婚したのだが、ナポレオンはその結婚を認めず、無効だと宣言した。
だがボナパルト夫人はヨーロッパの王族多数に認められ、二人の息子は陸軍か海軍で高い地位にある。
ある晩餐会のことだ。
有名なイギリスの将軍が夫人の介添えだったが、イギリス人嫌いな夫人は、いろいろなことを云ったので、腹を立てた将軍は、ついにこう言い放ったらしい。
「奥様、アメリカ人は下品な成り上がり者だと云われたことがあるのをご存じですか?」
「いいえ、でも驚きはいたしませんわ。私たちはイギリス人の子孫ですから」
夫人がそう切り返したので、相手の将軍は黙ってしまったという。
ビンガム公使は大統領を退任されたグラント将軍を横浜に出迎え、東京にお連れしに行った。
神戸に寄る予定だったのだが、コレラのため東京に直行することになったのだ。
通訳は、ひどく気取って滑稽なミス・清水ではなく、グラント夫人の小間使いがなることになっている。