Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第91回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第91回】
「今週は思いもかけない、お逸のいつもとは違った側面が見られましたわね。
貴女、普段は好き放題振る舞っているし、日本の身分の高い方にも会っているのに、実は結構上がり症でしたの?」
「し、仕方ないじゃないの! 
ちょっとした訪問のつもりが、いきなりアメリカの前大統領に面と向かって会うことになるかも? なんて展開になったんだもの!」
「確かに、この点に関してはクララの度胸が据わりすぎ、という気がしないでもありませんけれどね。
ただ、神の前では全ての人間が平等であるという信念がクララにはありますもの。
その信念からいっても当然かもしれませんわ。
まして、それが神との宣誓をして就任した合衆国大統領とあっては、尚更でしょう」
「合衆国大統領が聖書に手を置いて、宣誓するところだよね?
どうにも“神の前の平等”って感覚、我々日本人にはなかなか理解できないなあ。
や、ひょっとしたら、現在のマスゴミが作り上げた“平等意識”にどっぷりハマっている人たちだと“あり”かもしれないけど」
「……それはクララたちの平等の概念とは全く別物ですけれどもね。
では、今週のメインの話題にである、森氏の私邸で行われたグラント将軍の歓待式の模様に移りますわよ」
「政府高官とはいえ、私邸にグラント将軍夫妻だけでなく、有栖川宮と妃殿下をお呼びできるなんて、森氏って随分な権力を持ってたんだねぇ。
ご本人の伝記を読む限り、何処をどうやってあんなに出世できたのか、ちっとも分からないんだけど」
「周囲の反応お構いなしの、圧倒的な押しの強さ、だと思いますわよ。
まだ政府の役人になりたての時代に、平気で政府の最上層部に過激な意見を主張していたみたいですし。
そのお陰で出世したことも確かですけれど、同時にそのせいで不幸な最期を迎えられることになったのも確かでしょうね」
「でもクララの日記を読む限り、その片鱗すら見えないんだけどなあ。
クララの日記の一番最初、来日したばかりの頃には、森氏の曖昧な態度に対する怒りで溢れかえっているし」
「公人としての在り方と私人としての生活を使いわけていた、という考えもありますけれど、クララの日記からだとそこまでは読み取れませんわね」
「基本的にクララの森家に関する記録って、ある時期以降、クララの友達であった森氏の奥様視点だものね。
森氏自身の生の記録って、クララの当初の恨み辛みの影響か、意外と少ないから」
「勝家の屋敷内の家に移り住むまでは、一番世話になったのは森氏でしょうにね。
それほどまでに来日当初の心細さが忘れられなかったのだ、と読み解くことができるかも知れませんけど」
「さて、そんなクララの内面はとりあえずおいておいて、歓迎会の模様だけど、本当に楽しそうね」
「グラント将軍夫妻の、日本での生の姿が分かる貴重な……というより、微笑ましい記録ですわね。
特に『ユリシーズ! あなた、私を置いていらっしゃらないで!』のくだりなんて」
「ちなみに補足しておくと、ユリシーズというのはグラント将軍の名前ね。
それと今回の活躍はなかったけれど、ゴルゴン、ことゴードン・カミングス嬢がおよそ一年振りの登場」
「本当に侯爵家の一族でしたのね、あの傍若無人な方が」
「今回は大人しくしていたみたいだけど“今度はスコットランドで会いましょう”といって別れるあたり、ある種の“予言”になっているのが、凄いというか、怖いというべきか。
クララ自身、この時点では、遠くないうちに日本を離れてイギリスに行くことになる、なんて思ってもいなかったのに」
「やはり名前の通り“魔女”ですわね、この方は。
あと別の話題としては、夫人がクララの生徒になっている大山中将が本格的に登場するのは今回が初めてですわね?」
「クララも軽く触れてるけど、西郷隆盛・継道兄弟とは従兄弟ね。
しかしこの方、フランス語はかなり勉強している筈なのに、英語が喋れないのが不思議だったり」
「この方のフランス語講師が、ブログ主のお気に入りである義足のロシア人革命家でしたわね」
「そう! 十数カ国語を自在に操り、イタリア統一戦争にも参戦し、ロシア内務省から監視対象にされていた本物の革命家だよ。
ちなみにこの人の兄はトルストイの傑作短編小説の主人公、弟はブルガリアヨーグルトを世界中に広め、ノーベル生理学賞を受賞、という不思議な運命を辿る三兄弟だったり」
「そんな危険人物を“お雇い外国人”として数年にわたり講師として雇い入れていた明治政府の危機管理能力が疑われますわね」
「大山氏、自分の講師の“正体”を全然理解していなかったのか、はたまた全部理解した上で、それでも能力面から呼び寄せたのか。
後者なら凄い大人物だとは思うけど、前者ならちょっと問題あり、だよね」
「大山家については今後更にクララと関わりが深くなってくる上、話題は豊富ですので、また改めて紹介させていただくことに致しますわ」
「さりげなく今回初登場している大山信子嬢の話ね。美津子嬢共々、この方たちは……」
「暗い話はとりあえず後のこととして、今週の締めの話題ですけれど」
「あんなに天真爛漫だったおやおさんが、一人寂しくしているのは、やっぱり可哀想。
クララの家に来るときはいつも一緒だったのに、空気のようだった“おすみ”も、やっぱりおやおさんにとっては大事な存在だったのね。
ホント、名門大名家の奥様なんてなるもんじゃないよね」
「貴女、大名家からの縁談を断り続けたのって、そんな理由なんじゃないでしょうね!?」
「さあ? そのへんの真実は“勝逸子本人”にしか分からないからね。
ただ数多くの大名家からの縁談を断り続け、前途有望の官僚とはいえ、幕臣としては決して高い地位にあったとはいえない、目加田種太郎を結婚相手に選んだのは“選んだ誰か”の目は確かだった、ということだよね。
……ま、今日その業績が真っ当に評価されていないのは悔しいけどさ」
「その辺は“関わった相手”が悪かったと諦めなさい。
それでも貴女が、貴女の父上の十分の一でも筆まめでしたら、きっと違った状況が開けていたと思いますわよ」
(終)


と云った所で、今週も最後までお付き合い下さった方、有り難うございましたm(_)m。
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