Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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第8話「不協の旋律」の感想・考察を、本編シナリオと読み比べながら御紹介。
前回第7話ラストで、徒手空拳で一番ヤパケな弓道場に単身乗り込んでいった士郎。Fateルート通りと云えばその通りなのですが、原作以上に士郎がアレに見えたのは、原作だと昼休みに元々単独で刻印捜しをしていて、その結果として弓道場に辿り着き、刻印が目に見えない以上「しょうがないな。とりあえず遠坂にここの事を報告して――――」としようとしたところで慎二と偶発的に遭遇したからですね。ただ今回に関しては、舞台が夕刻に、しかも凛と別れた直後になったのは、展開上仕方なかったのかと。
さて、そうして間桐邸ご招待。この辺は一見原作通りに見えますし(流石にライダーの身体をまさぐる慎二の姿はカットされていますけど)、事実台詞は基本的に原シナリオの抜き出し&組み合わせなのですが、全く予備知識のない視聴者には一点、根本的な所が伝わっているか極めてアヤシイ点があります。
それは「慎二は士郎の傍にサーヴァントがいると思っている」という点。だから同盟を拒絶したにもかかわらず、あっさりと士郎を解放した慎二が、このシーンだけを見るとそれほど悪い人間には見えなかったりするのではないかと。
ちなみにシナリオだと、まず弓道場で間桐邸に士郎を誘うシーン(慎二と士郎の一対一)。
>「けど安心しなよ、何があってもこっちから仕掛ける事はないさ。ほら、僕がだまし討ちなんかするように見えるかい?」
>「? ああ―――そうか。確かに、おいそれとは付いていけないな、それは」
>「…………。まあいいさ。そっちだってサーヴァントを連れてるんだろ。そんな危ない相手にケンカなんてしかけないよ」
> ……? 慎二には、俺がセイバーを連れているように見えるのか?
> ああ、いや違う―――慎二のヤツ、霊体になっているサーヴァントが見えないんだ。
> だから俺が今もセイバーを連れている、と勘違いしているのか。
そして間桐邸で慎二がライダーを従えているシーン。
>「……ライダーは俺のサーヴァントへの牽制か。あまりいい気分じゃないな」
>「ゴメンゴメン。何分こっちは素人だからさ、衛宮みたいに馴れてるって訳じゃないんだ。そのあたりは勘弁してくれ」
>「……ふん。俺だって馴れている訳じゃないけどな」
>「そうなのか? なんだ、なら君も呼び出せばいいじゃないか。その方がお互い理解しあえるし、すごく公平だ。
> ああ、うんうん、それがいいそれがいい! ねえ衛宮、僕のも見せたんだからさ、君のサーヴァントも見せてくれない?」
> ……やはり慎二はセイバーがいるものと勘違いしている。
> もっとも、その勘違いを正してやる必要はない。
と云うことで、流石の士郎も手札を伏せている訳ですが、アニメの士郎は本当に(ライダーと敵対出来るわけがなく行かざるを得なかったにせよ)ヒョイヒョイ付いていってしまっているように見える訳で、セイバーでなくとも士郎に怒鳴りたくなると云うものでしょう。
もっともこのシーン。全く別の視点で考えると「当然士郎がサーヴァントを連れていないことが分かっている筈のライダーが、敢えて慎二に伝えていない」と云うのはシナリオ上だと、ライダーの本当のマスターが桜であることの伏線でもあったりしますね。その間桐家の人間としての桜の件に関しては、アニメはFateルート通りにサラリと流すような描写でしたが、さて、その伏線は今後に生きてくる機会はあるのでしょうか?


更にこのシーンでの疑問点、不自然な点を上げると、UBWルートのエピソードを組み込みライダーに襲われた美綴に関して、士郎があっさり納得したこと。「行方不明になる直前一緒にいて、二人とも翌日は休んでいる」という状況証拠は揃っているのに、その程度で納得していいのか、士郎? 更に自分が襲われた件に関しては、不自然だとは思わないのか? 一応慎二的には「倒れていた生徒は別サーヴァントの仕業。そこに丁度遠坂がノコノコ現れたので攻撃しただけであって、士郎は一切狙っていない」ということなんでしょうけれど、ライダーとの戦闘中慎二を目撃しているのに、慎二はライダーの攻撃を止めていない。と云うことで、隙あらば士郎も倒そうという態度であることは明らかなのですが。。。
この辺は一つUBWのシナリオを挟んだので仕方ないのでしょう。ただそもそも慎二の同盟の持ちかけるタイミングに関しても、原作では鮮血神殿こそ仕掛けていたものの、まだ一度も士郎とも凛とも直接は対立していないわけで、持ちかけること自体は不自然ではないのですが、アニメのこのタイミングだと相当お花畑的思考していると考えざるを得ないわけで。もっとも「慎二だからな」で済ませられる側面が大きいことは否定しませんがw。


そして最後に「柳洞寺に魔女が巣くっている」という情報を得ての帰宅。勿論慎二的にもライダー的にも漁夫の利を得る為に士郎に吹き込んだ、というのが実態でしょうけれど。で、ここでいきなり次回予告の話に飛びますが、セイバーVS小次郎の傍らで、キャスターVSライダー戦が繰り広げられているシーンが。「すわっ、オリジナル展開!?」と思いきや、実はこれは原作だと、DEAD ENDで仄めかされているんですね。凛の忠告を無視して柳洞寺に挑んだ結果、こんな具合に。
>「……セイバー? 何かひっかかるものがあるのか……?」
>「……分かりません。この悪寒が監視の使い魔のものなのか、この山門を守るモノの気配なのか。
> 門番らしきモノはいたようなのですが、今は不在のようです。」
小次郎の姿はなく、そのまま突入した結果、士郎はキャスターの転移魔術に囚われ、その士郎を助けようとしたセイバーは。
>「シロウ、手を伸ばして……! そのままでは中に引き込まれ――――」
> 地を蹴って俺の腕を掴むセイバー。
> それを、
>「くっ、つ――――!?」横合いから弾く、黒いサーヴァントの姿があった。
>「不覚を取りましたねセイバー。魔術に対する強力な抵抗が仇になった。
> 貴方がそこまで強力でなければ、彼を守りきれたものを」
>「な―――貴様、サーヴァント……!」
> 銀の甲冑と黒い装束がぶつかり合う。
> セイバーとライダー。
と、元々漁夫の利をバリバリに狙っていたわけですね<ライダー。と云うことで、ライダー的には、士郎に柳洞寺を攻略するようにし向け、小次郎をセイバーに釘付けにさせ、その隙にキャスター本人を叩く、という至って正統派の戦略を練っていたと。原作の正規ルートでは描かれなかったそれが、次回アニメでは描かれそうな上、ホロウでも描かれたキャスターとライダーの仲の悪さも披露されるかも知れないと思うと、楽しみですね。先行DVDでの二人の対決シーンはここで使われるのかも知れません。
その次回本格登場への前振りに小次郎のみならず、キャスターも台詞付きとしては初めての登場(バーサーカー戦とかを観察していたシーンはありましたが)。ですが……はて? お堂の中で話しているような気が。小次郎、門からお堂くらいまでなら行動可能範囲に入ってるのでしょうか?
ちなみに帰路に出会った一成の反応も前回同様コミカルなんでオリジナルかと思いましたが、これも基本的に原作通りですね。
>「ああ。お山ではなく寺の空気がうわついている。親父殿の知り合いらしいのだが、少しばかり厄介な客人を迎えていてな。
>これが結構な美人であるから始末が悪い。まったく、皆も女一人に何を騒いでいるのやら」
>「女って―――柳洞寺って、尼さんいたっけ?」
>「おらぬ。訳ありでな、祝言まで部屋を貸し与えているのだが――――
> いや、これが確かに美しい人でな、井戸から水を汲む姿など、俺でも目を奪われるほどだ」
キャスターの素性に関しては正確には一成視点だと「宗一郎の知り合い」と云うのが正解なのでしょうが、これはFateルート通り「親父殿の知り合い」に。シナリオ上だと「UBWまで葛木先生への疑いを逸らすため」と思われますが、アニメに関しては……微妙ですね。UBWのイベントをつまみ食いするなら是非「セイバーVS葛木先生」は欲しいところですが、果たして?


少し先走りが過ぎましたが、再び本編に戻って士郎帰宅。流石にそろそろセイバーさんの忍耐の限界ラインに突破した模様で、玄関でお出迎え。「士郎に対する怒りのフラストレーションがたまって、柳洞寺単独突入」という流れにする意味ではピッタリかも知れません。
そして凛も含めての作戦会議。慎二の誘いをあっさり断った士郎に、遠坂さん、素直じゃない反応。シナリオだと『ごにょごにょと言う姿は、なんか実に遠坂らしくない』ですが、アニメとしての表現となると、あんな感じの方が分かりやすいのでしょう。
しかし、ここで「サーヴァントがどんな英霊かは呼び出されたマスターに左右される」という話を持ち出したのはシナリオ通りとは云え、後々何処かに伏線になってくるのでしょうか? そして次が今回の最大の問題点、柳洞寺の特異性の説明なわけですが、シナリオを抜粋すると以下の感じに。
>「柳洞寺……? 柳洞寺って、あの山のてっぺんにある寺のこと?」
>「だからそうだって。なんだ、思い当たる節でもあるのか遠坂」
>「まさか、その逆よ。柳洞寺なんて行った事ないもの。どんなマスターか知らないけど、
>そんな辺鄙なところに陣取ろうなんて思わないわよ、普通」
>「だよな。俺も柳洞寺にいるって聞いた時は驚いた」
>「―――いえ、シロウの話は信憑性が高い。
> あの寺院を押さえたのなら、その程度の魔術は自然に行えるのですから」
>「? セイバー、あの寺院って―――柳洞寺のこと知ってるのか? まだ連れて行った事ないぞ、俺」
>「忘れたのですがシロウ。私は前回も聖杯戦争に参加しています。
>この町の事は熟知していますし、あの寺院が落ちた霊脈という事も知っています」
セイバーが柳洞寺について知っているのは前回の聖杯戦争の経験故なのですが、それをアニメ上ではまだ一切明かしていません。にもかかわらず、あっさりと柳洞寺の特殊性を指摘してるのは……とりあえず「サーヴァントのスキル」という説明に出来るとは思いますが、もっと根本的には「セイバーが前回の聖杯戦争に参加しており、マスターは切嗣だった」という欠くべからざる前提を今後のアニメの展開でどう組み込むのかと。勿論何処かでは説明される筈ですが、これは勿体ぶって後々出すよりも、既に第一話の冒頭で明らかにしている以上、ある程度早めに視聴者にその情報を提供した方が宜しいのではないのかと。
結局柳洞寺に対しては様子見を決める士郎とそれに憤るセイバー。この士郎の判断は間違ってないわけですが、前回まで散々無茶しておいて今更何を、と全く予備知識のない視聴者は思うのではないのかとw。ちなみにFateルート通りだと、まだこの段階ではバーサーカー戦しか戦闘を行っていないため、士郎がここで様子見してもさほど違和感はないのですけれど、アニメは既にライダー戦で無茶してますので微妙に行動の一貫性を欠く感じに見えるかも知れません。

で、ここからが安心して見られるコミカルパート。凛が部屋を決めると宣言した際の士郎のヘンな表情は面白いですw。で、士郎の抗議などお構いなしに、あっという間に自室を手に入れた遠坂さん……その机の上のネコミミはなんですか? ひょっとして既にルビーちゃんと契約済み?w
そして「凛VS桜」はFateルート五日目「朝/薔薇と紫陽花」の舞台を朝から夜に変えただけでシナリオそのまま(演出も楽しかったですが)。しかしここでまた予備知識のない視聴者の疑問。凛と桜が知り合いらしいのは仄めかしていますが、士郎の視点だと「何故凛と桜が顔見知りなのか?」というところが根本的に欠落してます。ちなみにシナリオだと以下の感じでフォローが入ってます。。
>「おい遠坂。おまえ、どうして桜が俺んちに来てるって知ってたんだよ。
> 今まで桜が俺の世話をしてたなんて、おまえに言ったおぼえはないぞ」
>「え――――? ああ、それなら前にちょっと小耳に挟んだだけよ。ただの偶然。
>それより驚いたわ。あの子、ここじゃあんなに元気なの? 学校とじゃ大違いじゃない」
> よっぽど意外だったのか、遠坂は不機嫌そうに言い捨てる。
> という事は、遠坂は学校での桜をそれなりに知っているのだろう。
> 桜の方も遠坂とは顔見知りだったみたいだし、知らない所で二人はいい先輩といい後輩だったのかも知れない。
引き続き「凛VS藤ねえ」も素敵にコミカルしていて、本当にこのスタッフ、コミカルなシーンの演出は上手いです。なおかつここに、セイバーが決意を固める心理的葛藤まで上手く付け加えている手法は見事と云えるでしょう。
そして桜と藤ねえを見送った後、再びセイバーとの柳洞寺への対処を巡る口論。士郎の言い方がキツイようですが、こちらもシナリオ通り。ですがシナリオ上では凛との作戦会議の場で交わされた会話が、アニメでは「屋敷の外で二人きりでかわす」というシチュエーションに変更にされたため、一層の緊迫感が伝わってきます。そしてその後の、セイバーの単独特攻の決意もまた重々しいものとなって。。。。


さて、次回「月下流麗」予告。今回は長くなりましたので細かいコマ解説はしませんが「セイバーVS小次郎」と前述の「キャスターVSライダー」の二大対決がメインとなる模様で、初めてアクションシーンに期待……しても良いものでしょうか? 特に小次郎の「燕返し」の描写、文章なら兎も角、絵にすると如何に描写すべきか難しいところだと思いますが、期待して待つことにします。