Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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異文化交流クイズ「異文化としての吉原」。引き続き、日露戦争終結前後、吉原にやってきたグァテマラ人小説家カリージョの記録からご紹介の第7回です。
身も蓋もない現代の価値基準に照らして云えば、吉原がいわゆる「人肉市場」だったこと自体は否定しませんし、事実下層の遊女たちの生活は悲惨極まりなかったことも事実でしょうが、それでも江戸期を通じて、吉原の遊女達の装いが最先端のファッションであったこと、歌舞伎の演目における(江戸期で云う)“現代物”で、最も多くの舞台になってきたこともまた歴史的事実です。
そして、芝居の演目ともなった幾人もの“実在の花魁”の話を、カリージョは彼女らの形見の品々を納めていた寺の僧侶から聞かされ、衝撃を受けます。


『吉原は迷信と伝説の里である。花魁が朝の長い暇なひとときに、かつてこの郭に生きた伝説的な女性たちのことを思い起こすとき、彼女らの黒い瞳に誇らしげな光が宿る。美しき生きかつ死ぬことができた花魁たちの名前は、国民的な女流歌人のそれと同じように尊敬の的となっている。』
自分を愛してくれた人々全てを愛し、中でもある一人の男への愛に殉じた遊女、馴染みの遊女の下に通うために辻斬殺人強盗を重ねたものの、ある寺の住僧に匿われてて改心して自首し処刑された男の墓の前で後追心中した遊女、同じような状況で男は罪を償うために観音像を彫り上げ、そんな男と共に死を選んだ遊女、幾代もその名が引き継がれ、吉原を代表する遊女となった高尾太夫の数々の伝説。


カリージョが訪れた当時の吉原の遊女達は、彼女ら高名な「先輩」たちにあやかろうと、その名を唱えながら祈っていたようです。
とりわけ彼が驚いたのは、彼女らが“徳の高い存在”として語られている事でした。“誠実さの見本”としての遊女、という存在にですね。
ただ、改めて外国人達に指摘されると、多少考えてしまうのは、
『吉原の物語の中には、遊女たちが崇拝するだけでなく、高位高官の人たちまで誇らしげに口にする国民的な名前がある。それは両親を食べさせるために身を売る遊女たちの名である。この点に関しては国中に異論はなく、最も反動的な人間から進歩主義者に至るまで、あらゆる日本人がこう云うのである。「偉いものだ」と。親のために身を売るこうした女性の恋人までもが「見上げたものだ」と呟いて頭を下げるのである。』
確かに、これは……流石に現在では滅多にないでしょうが、確かに日本、と云うより、儒教圏ならではの考え方かも知れませんね。


さて、長くなって参りましたので、ここで今週のクエスチョン。
『遊女の美しさ、繊細さは我々を虜にし、夢中にさせます。彼女たちが着る衣装の豪華さも我々日本人としての誇りをくすぐります。一般的に家庭の中にいる女より遙かに教養が高いですから、彼女たちの話は傾聴せざるを得ないということになります。』。名前は付せられていますが、カリージョにどうやら色々吹き込んだw「ある教養ある日本人」がいたようですが、彼は「とある高官」の名前を挙げ『旅行のたびに必ず娼妓を同伴されますが、もし誰かがなぜ奥様を同行なさらないのかと訊ねたらきっと、娼妓は妻の便利さと更にそれ以上のものを沢山持ち合わせているからだとお答えなさるでしょうね』と、身も蓋もないことを云っていますが、この「日本政府の高官」とは一体誰でしょうか? 超有名人ですので、今回はノーヒントで。
回答は木曜日の22時まで、web拍手にてお待ちしています。
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