Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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【第14回】公共事業
民主党のマニュフェスト「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」全文読みました。
で、早速本題に……と思ったのですが「何か」かが足りない気がしたので、もう一度読み直してみると……うん、やっぱりない。
さて、何が書かれていなかったかと云いますと。
この世界不況の中で「景気対策」の項目が何処にもない。
手当、補助金、減税の文字はあっても、即効性のある景気対策、つまり公共事業などに関する記述がゼロ。
民主党の基本的な主張は「公共工事イコール無駄遣い」ですので、当然と云えば当然なのですが、公共事業がなくなると次に即効性が高いのは住宅関連くらいですが、民主党のマニュフェスト(項目44)によると、新築よりも『リフォーム促進』に力点が置かれています。
しかもそのリフォーム促進さえ、具体的な支援が全く明示されていない上、現在行われている住宅取得控除の元になっている予算が組み直され「無駄遣い」として消える予定ですので、ただでさえ青色吐息の住宅建築会社は致命傷を喰らうこととなると思われます。
というわけで、現在の建築関係業界の立場は、殆ど「死刑判決を待っている囚人」に等しいかと。


勿論大前提として「本当に無駄な」公共事業を無分別に行ってきた従来の政策は批判されて然るべきです。
ですが、更に根元に遡って「何故景気対策に公共事業が行われてきたのか?」を考えてみましょう。
ケインズ理論が云々」は云いません。もっと単純な日本独特の事情によるものです。
最近俎上に上がることが少なくなりましたが、日本の職業別人口統計を取ると建設業が占める割合が10%を長年超えていました。
『これは先進国としては異例の数で、如何に無駄な工事が行われてきたのかの証明だ!』
そんなマスコミの論調が盛んだったのが、小泉首相就任前後のマスコミの論調(実は別の要因があるのですが本筋から外れるので省略)。
そんな中、小泉・竹中路線による、いわゆる「三位一体改革」――(1)国庫補助負担金の廃止・縮減、(2)税財源の移譲、(3)地方交付税の一体的な見直し――が行われたわけですが、その結果、地方財政は火の車に陥りました。
これは理念そのものの正否は兎も角、財源委譲が不十分だったために起こった事態であり、地方自治体は「不要不急」な公共事業を後回しにする様になりました。
ですがその結果、何が起こったかと云えば……地方経済の疲弊でした。


「公共事業」が景気対策として真っ先に行われてきたのは、全人口の10%前後もいる職種の人々の、ある程度の長期の期間における失業対策の意味があると同時に(彼らは今日の派遣労働者と同じく、雇用の調整弁の役目をしていた側面もありました)、ある程度の期間を見込める工事中に彼らが地元経済に落とすお金(食費、交際費、住居費等々)を見込んでのものでした。
ですが、公共事業の削減によりこのお金の循環が止まった時、地方経済は回復の兆しが見えない状況となったわけです。それだけが理由ではありませんが、少なくともその一因であることは間違いありません。
勿論これはある意味、救いようのない悪循環です。費用対効果が悪すぎます。
それでも「なるべく広範な人に行き渡る景気対策」としては、まだ一定程度有用性は残っているわけで(将来的には消えていくことになるのでしょうが)、それ故に政府の現在の景気対策に盛り込まれているわけですが、政権交代の暁にはきっとこれは全て「無駄」と一刀両断されるのでしょうね。


ただ、この問題については「どっちもどっち」という側面がありますので、必ずしも一方を、一方的に批判できないところがありますが、少なくともマスコミが一般国民に刷り込んでいる「官僚や政治家が建築業者と結託しているから無駄な公共事業が!」という図式だけでないことだけはご理解して貰えれば幸いです。
……ただ経験上、少なくとも地方では「政治家と建築業者が〜」という側面が全然ないと云ったら嘘になりますが(汗)。
ただこれも経験上「政党を問わず」ですね。地方議会ですので、政党にあまり意味はないのでしょうけれど。
(続く)