Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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最後に今回分の「クララの明治日記 超訳版」解説を、いつも通りにお逸(勝海舟三女)とユウメイに。


【クララの明治日記 超訳版解説第107回】
「なんというか、1月9日分の日記、クララは“乙女モード全開”ってカンジだよねー。ディクソン氏に対して」
「しかし、よく分かりませんわ。
去年の11月22日付けの日記23日日付の日記。で、一度完全に破綻してますわよね、クララとディクソン氏。
>>苦しかった。
>>しかし今はすっかり切り取って捨ててしまった。
>>時折、はるかな思い出として私の胸を刺すことはあっても、もう私を悩ますことはないだろう。
しかも母親同伴で、この展開ですから、個人レベルではなく、家族ぐるみでですわよ?
実際にその後の日記でもしばらくディクソン氏とは疎遠でしたし」
「あ、でも、そういう意味なら、1月9日の日記の最後のところでクララ最後に前振りしているじゃない“決心したにもかかわらず”って。
これって“そういう意味”でしょ?
それからその前日の1月8日の日記で、ディクソン氏と結婚したという噂をバラ撒かれて激怒しているのもその流れからだと思うけど」
「だとは思うのですけれど……そうなると、今度はディクソン氏の行動の方が意味不明ですわ。
ディクソン氏、このしばらく前の日記から“クララ達の帰国するのと同じ船に乗る”と云っていますけれど、これはリップサービスではなく、事実同じ船に乗り込み、日本を後にしますのよ」
「ますます分かんないよね。
なんかお互いの認識が“根元的なところ”でかみ合ってない気がするかも?」
「第三者の視点で、男女の機微を読み取るのは難しいことですけれど、特にこのホイットニー家は宗教絡みもあって分かりづらそうですわね。
実際、クララが結婚したのは、弟のように可愛がっていた貴女の弟である梅太郎君だったわけですし。
ちなみにディクソン氏の弟であるジェイミー氏は更にこの後、1892年まで帝大で英語を教え、日本の英文法教育の基礎を築くことになるのだけど、兄のウィリアム・ディクソン氏はクララと同じ便で帰国し、この後、日本に帰ってきませんわ。
もっともイギリスにただ戻ったのではなく、この後はオーストラリア・ニュージーランドで牧師として活動したそうですけど」
「うーん、クララの日記に書かれていない“離日後”の展開が気になるよねー」
「あら、それならありますのよ、本当は」
「え? そうなの?」
「原本は存在するのですけれど、日本関係分ではないので邦訳されていませんの。
もっとも一部研究者は原文を公開して貰っていて、その一部は『津田梅子とアナ・C・ハーツホン』という本の中で翻訳されていますわ」
「全然タイトル、クララと関係ないじゃない」
「津田梅子女史の研究書ですからね。
後に津田梅子女史がクララと親友になった経緯の一部ですわ。
アナ・C・ハーツホン女史に関しては、また機会を改めて紹介いたしますし」
「で、そこにはなんて書いてあるの?」
「その辺りの詳細はこのクララの明治日記超訳版第一部終了後で紹介しますけれど、簡単に説明すると、イギリスで四ヶ月ほど優雅に滞在したそうですわ。
貴女のお父様に頂いた餞別もありましたし、当時イギリスには森有礼氏も富田鉄之助氏、徳川家達氏など旧知の人々がみえましたから、生活に余裕があったのでしょうね」
「読みたい、読みたい!」
「残念ながらその辺りの記述は、この研究書では箇条書き程度で記されているだけなのですわ。
いつか全文訳出して下さる翻訳者の方が現れるのを期待したいところですけれども。
さて、そんなところで、クララの恋愛絡みの話は終わるとして、今週サラリと書いてあるけれど、注目は冒頭の芸者遊びをしている部分ですわ。
“最後の方で、西郷中将のごひいきの芸者の桃太郎が入ってきて琴をひいた”
この方、新橋芸者の桃太郎さんは、実際この後、西郷継道中将の後妻になられる方ですわ」
「へぇー、この人がそうなんだ。
しかし明治の政治家の奥さんって、本当に元芸者さん多いよね。
木戸孝充氏、伊藤博文氏、井上馨氏、陸奥宗光氏、山本権兵衛氏などなど。
父様なら、きっと内心馬鹿にしていただろうけれど――あ、別に芸者という職業を蔑視しているわけじゃなく、急に偉くなった貧乏田舎侍が芸者さんにのぼせ上がって奥さんにしてしまう、という発想にね」
「そうともいえませんわよ。功成り上がり、どんな名家のお嬢さんも選り取り見取りにもかかわらず、本当にその芸者さんに“惚れて”奥方にした、という方がある意味“純粋”だともいえませんこと?」
「なるほどねー、それは確かに云えているかも?
潔癖性のクララとしては絶対に認められない話だろうけど」
「さて、とりあえず今週のところはこの辺で。
次週以降、クララの帰国準備が本格化してきます」
(終)


と云った所で、今週も最後までお付き合い下さった方、有り難うございましたm(_)m。
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なおブログ末尾に「クララの明治日記 超訳版」参考資料(厳選版)の紹介をつけました。
興味を持って購入検討したい方は、お気軽に本の内容を聞いて下さい。ピンポイントで解説いたします。