Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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と云うわけで「帰ってきたクララの明治日記 超訳版」は、クララが日本に帰ってきてから最初の日記をご紹介。
なお前シリーズの過去ログは、以下のように収納しております。
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1882年11月25日 東京 葺手町
「かくてエホバは、かれらを望むところの湊にみちびき給う」(詩篇一〇七・三〇)
これは私たちが、二十一日――この数年間、私たちの希望のメッカであった東京の地を再び踏んだ日に、頭に浮かんだ聖句である。
やっと横浜に碇を降ろした時、航海中私たちの守護聖人のように思った高木三郎氏が迎えに来て上陸の世話をして下さった。
高木氏の話では、数人の日本人の友人が、二日間、横浜で、私たちを待っていたそうだ。しかし私たちがメンザレー号に乗っていなかったので、きっと次のフランス船に乗ってくるのだろうと思い、東京に帰ってしまったそうだ。
だから高木氏が他の人たちの代表なのである。
彼は私たちを自宅に案内して、もてなしてくださった。
また高木夫人も外国にいたことがあるので、できるだけ私たちがくつろげるようにと、骨を折って下さった。
税関を出て駅に向かう途中で、昔うちの車夫をしていたボズが追いかけてきて、とても嬉しそうに、一人一人にお辞儀をした。
「きっと待っていますから」
私たちが日本を発つ時に、ボズは母にそう言っていたのだ。
汽車の中で佐野氏に会い、またウォデル氏が駅に迎えに来てくださった。
フェノロサ夫人も偶然駅におられ、滔々と歓迎の言葉を述べられた。
今私たちはウォデル氏の大邸宅の一部で、まずまずの暮らしをし、たいそう楽しくしている。
日本の友人たちは、私たちを大歓迎してくれるのでなんだか故郷に帰って来たような気がする。
勝家では、私たちが元の家に戻ることを望んでおり、今その家に洋間を増築中だ。
勝夫人は相変わらず快活で、二人の「おばあさん」とともに、こおろぎのように生き生きとしておられる。
疋田夫人と内田夫人はお子さんたちと一緒に洗礼を受けておられた。
日曜の夜の祈祷会では、内田夫人がオルガンをとても上手に弾いたので、本当に驚いたし、嬉しかった。
逸さんは結婚してからいろいろ気を遣わなければならないことがあるので、いかにも奥様らしく、しとやかになったが、昔と同じ愉快な娘である。
先日は長女りよちゃんを連れて尋ねて来た。
小鹿さんの健康は非常によくなっているが、近頃ときどき発作を起こすことがある。
たてさんという可愛い奥様がいるが、日本に来て今まで会った人たちの中で一番の美人でだ。
およねもおかねも相変わらず元気だが、疋田夫人の長女である輝ちゃんはここ数ヶ月の間肺病のような病気にかかっている。
勝家の隣人である藤島氏は相変わらず陽気で面白い人だ。
しかし、もっとも嬉しいのは梅太郎の変わりようである。
祝福あれ、若者!
彼は十九歳の大柄な若人に成長し、物腰も控え目で落ち着いている。
しかし、何より素晴らしいのは、すっかり心が変わったことである。
まったく信心深いクリスチャンになったのである。
それはいろいろな振る舞いに表れている。
たとえばある夜、お茶の後、梅太郎は敬虔な態度でテーブルのそばに頭を垂れて感謝のお祈りをしたので、こちらが非難されたような気がした。
昨夜も母に聖書について尋ねてきた。
「聖書には『すべて、限りなき生命に定められた者は加えられたり』(使徒行伝一三・四八)という一節がありますが、これは一体どういう意味なのでしょうか?」
良い青年で私たちは彼を誇りに思う。
富田夫人も殆ど変わらず、赤ちゃんは立派な顔立ちの五歳の少年に成長していた。
みんなのところに再び戻れて本当に嬉しい。


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