Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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遂に今週をもって2年以上の長きにわたって連載してきた「クララの明治日記 超訳版」は最終回を迎えます。
なお過去ログは、以下のように収納しております。
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1886年10月1日
私たちの可愛い小さい息子の梅久――ウォルター――は、今日で誕生一ヵ月。
みんなは、いろいろの点ですばらしい子供だと言ってくれる。
もちろん私たちも、最初からそう考えている。
光の方に眼をあけ、元気に大声を出した一ヵ月前から、毎日毎日ますます、すばらしくなってきた。
梅久が生まれたのは、9月1日の午後五時半だった。
最初の晩はパパさんが傍に寝ていたので、伯母さんの疋田夫人が面倒をみてくださった。


1887年4月17日 日曜 氷川町四番地
今日は最愛の母の命日である。
私たちが母を視界の外に葬ってから四年目。
朝早くお墓に花を飾るために青山墓地に出かけた。
これが今私が母にしてあげられるただ一つのことなのだ。
私の心と手は母のために何か別のことをしてあげたくてうずいているのであるが、ああ、今や母は、私のどんなに強い心遣いも愛も、受けることのできない遠いところに行ってしまった。
それらはいま、母の住み家である「沈黙の部屋」には届かない。
しかし、どうして私はそのように悲しまねばならないのだろう。
私が母のお墓のそばに立った時、草が新しく青々とその上いっぱいに萌え出しているのを見た。
涙に霞んだ目をあげて見渡すと、空は青く澄み渡り、空気はかぐわしく、まわりの木々は芽ぶき、花をつけていて、あらゆるものがよみがえりを語っていた。
まことに母は死んで、私のどんなやさしい話も届かぬ所に行ってしまったが、なおもあの安らかなお墓から声が聞こえる。
「我はよみがえりなり。生命なり。正しきものはその信仰によって生くべし」
お母様、私はふたたびあなたにお目にかかります。
「希望を持たぬ」人々のように、悲しみに打ちひしがれた思いはしていません。
私はお母様にふたたびまみえ、イエスにおいて永遠に結ばれるでしょう。


この年月は何と長く、また変化に富んだものであったことか。
今日私は一人で行ったのではなくて、かわいいウォルター坊やを連れて行った。
この子は梅太郎と私の息子で、生後六ヵ月になる。
私はとても自分が変わったように感じた。
私自身が母親になり、母の青山にあるお墓に花を飾っている。
私が亡くなった時に、私の可愛いベビーは、今私が母のお墓にしているように、同じ真実の涙を私の墓にそそぐことができるであろうか。
私自身が母になったので、一層母の気持ちを感じることができる。
そして母の言った多くのことを今思い出し、多少共感をもち、そしてそれは新しい意味をもって私に迫る。
私の母性が私を一層母に近づける。
どうぞ私も母と同じくらいよい母親になれますように。
そして私の亡きあと同じように惜しまれますように、神様のお助けを祈ります。
(完結)