Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの日記 超訳版第5回解説

【クララの明治日記 超訳版第5回解説】
「……ようやく羞恥心をかなぐり棄てられるようになってきた自分が悲しいキム・ユウメイです。それでは逸子、今回の読み所と解説すべき点は?」
「日本人全員、パンツ、履いてない!」
「当の日本人である貴女がそれを云いますの!? しかもよりによって“高須四兄弟”の一人と福沢諭吉氏が初登場した回にそれを云いますの!? 」
「だって、所詮“超訳版”なんだもん。インパクト重視だって。大体わたし、中国のことは詳しくないけれど、この時代だと中国の人もきっと履いてないよね、パンツ?」
「……そ、そう云われますと」
「つまり、ユウメイはクララとの初対面の時、膝上までしかない短いチャイナドレスで、なおかつパンツ履いてない状態でアピールした萌えチャイナっ娘というわけよね!」
「は、履いてますわ! そもそもわたくしは歴としたアメリカ人です!
 ……コホン! それでは気を取り直して、まずは松平定敬氏について説明していただけますこと?」
「いわゆる“高須四兄弟”の一人よね。この“高須”というのは苗字じゃなくて、尾張徳川家の分家筋である美濃国高須藩、現在の岐阜県海津市あたりの藩主だった松平義建氏の子息のうち、特に幕末期に有名になった四人の兄弟の事を云います」
「そんな事を云われましても、この国の人間でないわたくしにはよく分かりませんわ」
「んー、四兄弟のうち一番有名なのは松平容保氏かな? 逆に云うと、現在の歴史教科書にまで名前が出てくるのはこの人だけとも思うけど」
松平容保氏ってアレですわよね? 会津藩主で京都守護職だった、あの?」
「幕末の一部マニアに言わせると“新撰組”の雇用主よね。あと丁度今日のNHK大河ドラマ鳥羽伏見の戦いでしたけれど、その時に幕府軍の一翼を為していた二藩が」
「なるほど、会津藩桑名藩、というわけですわね? すると容保氏と今回登場した定教氏の兄弟は揃って“朝敵”ということにされたと?」
「それでいて“高須四兄弟”の残りの二人、尾張藩徳川慶勝尾張藩主を務めた後に、慶喜を継いで一橋家を相続した徳川茂栄は朝廷側について実質的な“幕府の葬儀委員長”になってしまったというのは皮肉なもんさね、というのは父様の言い草だけど。
 徹底抗戦派の二人と恭順派の二人。それでいてちゃんと明治維新後も四人とも、その本来の心持ちがどうだったとしても、無事に生き延びたというのも凄いと云えば凄いと思う」
「今回登場した定教氏のプロフィールはこれですわね? 
 なになに『18の歳に京都所司代に任命され、禁門の変では会津藩とともに長州藩の兵を撃退、水戸天狗党の乱にも出兵。鳥羽伏見の戦いの後、慶喜と共に江戸に戻ったが徹底抗戦を主張し、登城禁止処分に。しかしその場から逃げ出し、北越戦争会津攻防戦に参加。最後は榎本武揚と共に函館まで向かうが、家臣の説得に応じて降伏』 なんなんですの、この“波瀾万丈”を地でいく人物は?」
「それでいて、後世の歴史家からも歴史小説家からも好かれていないけどね。何か人間として欠点でもあったのかしら? でもクララの日記を読んでいる限りは“いい人”なんだけど」
「考えてみますと、これだけ激動の人生を歩んできた人物が、まるで“人畜無害”にしか見えないというのも色々な意味で恐ろしい気が致しますわ……」
「……もっとも、汚れ仕事や後始末は高木氏がやってたみたいだからね。これについてはまた後日」
「で、もう一方の、というより本日の大本命の福沢氏のことなのだけど?」
「…………………………………(怒)」
「? 一体どうしましたの、そんな怖い顔をして?」
「……(ボソッ)島原藩藩邸一万四千坪の土地と七百六十九坪の建物」
「あの……逸子? 他に云う事は?」
「……これ以上は云わない。もっとあるけど云わない。でないと、父様がぶち撒けなかったこと、全部ぶち撒けちゃいそうだから」
「……なんだか複雑な事情があるみたいですわね。福沢氏については逸子はノーコメントということのようですから、こちらもまた後日」
「……お金、無心、三田の土地、明治十一年……」
「逸子! 自分で戒めておきながら、口に出てますわよ、口に!」