Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第9回−2

1876年2月11日 金曜日
今朝目が覚めると、とても美しい朝だった。明るい太陽が暖かく照って春の日のようだった。
今日は、今から二千五百年前のミカド、神武天皇の誕生日だか戴冠だかを祝う休日だ。
お祈りの後、家事を済ませてから、母と私は九段に住むフランス婦人を訪問することにした。
空気はすがすがしく、景色は美しく、周りの眺めは珍しかったので、とても浮き浮きと楽しかった。大変めでたい祭日なので、宮中に参内する日本の上流社会のお偉方に出会ったが、その様子は描写しておく価値があるだろう。
非番の兵士が大勢、酒で赤い顔をし、恐ろしそうな剣を下げてぶらついていた。
数人の洋風の礼装を着た官吏とすれ違ったけれど、なんだか滑稽だった。参内日の政府官僚の揃いの服装は黒ラシャのズボンに燕尾服とシルクハットであるのだけれど、ポケットに手を突っ込み、いかめしいシルクハットを歪めて被って、ゆっくり歩いている人もいれば、とても偉そうな顔をして、颯爽と歩きながら……ああ、なんということでしょう! チョッキとズボンの間が開き過ぎて、それにズボン吊りなど滅多に着用しないものだから、純白な(?)シャツがはみ出しているではありませんか! カラーやカフスのない人もいたけれど、これがないということは、社交服としてはもっともひどく目立つことなのである。
大きな縁色の眼鏡をかけた男の人を見て、私たちが笑っていた時、人力車が一台角を曲がってきた。その中には、今まで見たことのないほど変わった人物が乗っていた。
その人は大きな金色の飾りの付いた黄色の絹の外衣(坐っていたので中の服は見えなかった)を着ており、先の尖った長い帽子は黒と金色だった。そして精巧に作り上げた刀も持っていた。
私たちの驚きがおさまらないうちにもう一人、色は違うが同じような外衣を両肩で留めて着て、風変わりな帽子を被った人がやって来た。すぐ後から、先の尖った菱形のかぶり物をつけた人が来たが、その人の上着は青と金色だった。確かにそれは変わった見物だった。