Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第12回−3

1876年4月3日 月曜日
「よく我が家においで下さいました。妻共々、お待ちしていましたよ」
夢の中の中原氏の“奥様”は十四歳くらいだけれど、ちっとも綺麗でなく、太ったつまらない人だった……。
目が覚めると今日は日本の大祭日、神武天皇祭。だかに日本の学校は何処も休みだ。
「じゃあ、我が家の学校も休講にしても問題ないわよね」
そういうわけで、今日は急遽授業をお休みにすることにした。うん、こういうのを「郷に入っては郷に従え」というのだろう。
「それじゃあ、アディちゃん、お借りしますね」
おやおさんは笑顔で妹を連れて行った。およそ二時間後。昼頃におやおさんたちは帰っていった、疲れ切った風のアディを残して。
昼食後。ひどく頭痛がするので、化粧着を着て髪をばさばさにしてくつろいで寝ながら本を読んでいると、使用人のセイキチが二階に上がってきて声をかけてきた。
「中原氏と“ムスメさん”がみえたから、客間に来るようお母さまが云われてますよ」
それで中原氏が随分前から待っていたが、お母様と“妹さん”が東京にお着きになったのだと分かった。
中原氏の“妹さん”は夢の中の“奥様”とそっくりで私は吃驚した。ただ妹さんはずっと感じがよくて、地味な着物を着ていた。
母が私の夢のことを話したら中原氏は驚くほど喜び、私が下りて行くと、その話を私に繰り返させた。中原氏は私のことを予言者とか夢想家とか呼んで、帰るまでひどくからかい続けた。
中原氏はいつか桜の花を見に行こうと誘って下さったので、私はお礼を云ったけれど、実は桜の花は沢山だ。もう見に行く気はしない。
「中原氏は自分の奥さんを妹さんとして通そうとしている。つまり、アブラハムの役割を演じているのではないかしら?」
中原氏の帰宅後、母はそう推測を述べ、私も実はそうなのではないかと疑っている。
その後、ヘップバン夫人がおいでになって、復活祭の休暇にミニー・ハークスさんも来るから、私も横浜に来ないかと誘って下さった。とても優しく素敵な方だ。ご自分のベットの隣に、私の小さいベットを用意したとも仰った。今日は私たちが在宅している時にお見えになったので、とても嬉しい。