Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

クララの明治日記 超訳版第12回−4

1876年4月4日 火曜日
昨日授業をしなかっただけで、たっぷり休暇を取ったような気がする。
松平家のお嬢様はうちが気に入って、授業が休みに入る土曜日が来るといつも残念がる。
「母が是非クララ先生に我が家の庭を見に来て下さるよう云っています。粗食ですが、用意させて頂きますし」
日本式の社交辞令かと思ったけれど、おやおさんの様子を見ると満更そうでもないらしい。いや、おやおさんが云うと、どんなことでも本気に思えてしまうのだけれど。
私は日本語の勉強をまた始めた。まず字をいくつか書いて「日本語入門書」から英語を日本の文字に訳した。だが、やりもしないうちに、これからやろうとしていることを自慢したくはない。私はこのような種類のことには、驚くほど気紛れなのだから。
午前と昼の仕事を済ませ、母と私が散歩に行こうと着替えたところへ、シンプソン夫人が素晴らしく美しいピンク色のカメリア・ジャポニカを籠に一杯持ってきて下さった。これは日本人がツバキと呼んでいる花である。シンプソン夫人はご主人とシャンド氏と一緒に、大仏のある鎌倉の近くの綺麗な島――江の島というらしい――に行ってきたばかりだそうだ。
夫人がお帰りになってから、駐日アメリカ公使であるビンガム氏の夫人を訪ね公使館へ行ったけれど、あいにくとお留守だった。けれどビンガム氏が相手をして下さって、日本の現状についてとても興味深いお話しなさった。
「この単純で勤勉な国民は、クララさんが植木鉢を花に植えるように、稲の苗を一本一本植えるのですよ」
それから、母にはこう云われた。
「あなたの小さいお嬢さん<私のことだ>は日本の風土が合うようですね」
私はまだ幼いのかしら? ここ数ヶ月、私は自分がすっかり大人になったような気がしている。事実本国では一人前の夫人とみなされる――少なくともそう扱われるし、日本の少女だったらもう結婚してもいい年だ。
自分では年を取った感じがしているのに、幼いと云われるとなんとも爽やかな感じがする。だけどまだ、老嬢<私も結婚しないつもりだけれど>のように、髪を「螺旋状の巻毛にしたり「目尻の皺」ができるほど年取ってはいない。
とても楽しい訪問だったけど、ビンガム氏は本当にうちのモクリッジお祖父さんによく似ていて優しいので、ついお祖父さんを思い出してしまう。