Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第15回−3

1876年5月18日 火曜日
昨夜私たちは殆ど眠れず、一晩中寝返りをうっていた。眠りを妨げるものは、良心の呵責を筆頭にあげれば、二番目は蚊である。
気持ちの良い日なのに風が実に烈しい。杉田夫人――つまり、盛のお母様だ――がいらっしゃるので何処にも行かず、夫人を説き伏せて夕食までいて頂いた。とても親切にして下さる杉田先生ご夫妻に、私たちもできるだけのことを差し上げて差し上げたいと思うのだけれど、ほんの僅かしかできない。若夫人のおよしさんは殆ど毎回私に贈り物を下さるが、そのご親切に十分お報いするのは難しい。
杉田先生も奥様も洋食がとてもお好きで、先生は奥様にうちで料理を習わせたがっていらっしゃる。奥様は今日、編み物を少しお習いになった。奥様が富田夫人の肩掛けを掛けているのをご覧になったのを母が見て、針を二本渡し、編み方を教えてさしあげたのである。奥様はとてもお喜びになった。
清国に派遣された特命全権大使の森氏が、私に白い木綿一反と紙の人形を送って下さった。アディも紙の人形を頂いたのだけれど、私はこの家の若き貴婦人であるので、木綿によって敬意を表されたのである。東京の礼儀に従って、この習慣は優雅で麗しく、見事で、立派で、崇高で、素晴らしいとは思うのだけれど……我々質素な一族にはなんとも「けちくさい」感じがする。
夕方植木屋に歩いて行って花を見た。様々な色の可愛い美丈桜を一株一セントで、それから見事な白薔薇の木を二十セントで、美しいゼラニウムを六セント半で買った。