Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

クララの明治日記 超訳版第16回解説

【クララの明治日記 超訳版第16回解説】
「珍しく本日分は“遊び”がなかったですわね」
「そりゃあ、陛下登場の回だもの。こんな回くらいは空気を読むって。あ、でも『KY』関係ないからね。アレはあくまで朝日珊瑚礁捏造報道の略だから」
「……訳が分かりませんわ。気持ちは理解致しますけれど。
とまれ、非常に貴重な天皇行幸の模様ですわね。これが所謂“第一回”の地方大巡行で、この後、何度も行われるようになるのだそうだけれど?」
「正直云ってこの時代だと、まだまだ京と東京の人間くらいしか“実在する天皇陛下”のイメージが沸かなかっただろうからね。地方ではまだまだ、それこそお伽噺に出て来る“帝”と変わらなかったわけで。だから、わざわざ陛下がお顔をお見せするまでしたんだと思うよ。サービス、サービス♪ ってことで」
「サービス……って、貴女ねぇ、もう少し云い方を考えなさい。
ただ“お伽噺の帝”の件は“網野史観”の信者の方に云わせると“そんなことはない”と強く否定されそうですわね。この話は長くなりますから、また改めて」
「だねー、ちなみに第二回の地方大巡業が向かったのは北陸。出発した日のは1878年8月30日。そのたった七日前に“大事件”が起こっているのに大した度胸だと思うよ」
「その辺もまた後日、ですわね。ですけれど、今のペースだと、一体いつのことになるのやら」
「話は元に戻るけど、この巡行先でも住民の反応は全然違ったらしいよー。一番多かったのはやっぱり“信仰型”とでも云うべきもので、通過時には命じられたわけでもないのに、大勢の人は両手を合わせて拝んで迎えたみたい。ただ“天子様は生き神様”と刷り込まれていた人たちの一部にとっては、逆にこの巡行での軽装は“とんでもない不敬”とも思われたんだって」
天皇の通り過ぎた後の砂利を争って拾った、という記述もあるそうね。この辺は私の故郷で皇帝が通った跡でもあったようだけど」
「中国は知らないけれど、我が国の場合、陛下が行う祭祀の性格からして、この反応が“正しい”って云うべきかな? ただこの“信仰型”以外のところは色々だったみたいで、本当に農作業の姿のままただ見送った“無関心型”の地域もあれば、珍しい見せ物が来る、みたいな“お祭り型”みたいな地域もあったんだって」
「後は地域の官僚や豪商が利用するために人を呼び集めた場合ですわね。大体が“お祭り型”の一環ですけれど、地域官僚は際だった歓待をすることで予算を貰いやすくする、という目的があったようですわ。同時に地方の豪商達は、自分の家を天皇の行在所や休息所に指名して貰うために、家の改築や別棟を新築して待ちかねていたそうですわよ」
「云われてみれば、現代でも地方に行くと陛下が泊まったことを売りにしている旅館が一杯あるし、ただの休息所でも“明治天皇休息所跡”とか碑が立っていて小さなお社があったりするよね」
「ただこの巡行は短期的な話ではなく、明治日本という国家にとって色々意味を持つことになるのですけれど、その辺は興味がある方は是非調べてみて下さいましね」
「さて、堅苦しい話はこれくらいにして次、行こう、次! 津田仙氏に、アンナ先生が西洋料理を教えた件だけど、クララは本当にその後の明治18年、西洋料理のレシピ本“手軽西洋料理”という本を出版してします。訳したのは当の津田氏で」
「この中で“ハッシュドビーフ”が紹介されているのですけれど、恐らく日本で最初に一般に紹介したのがこの本だと云われていますわ。実はハヤシライスの本当の語源はこの本が源流なのでは? という説もあるようですわよ」
「へー、そうなんだ。ていうか、今でもある上野精養軒の名物料理だよね、ハヤシライス。クララ、結構頻繁にあの店に行ってるから、ひょっとしたら直接教えた、という可能性があるかも?」
「こういう話を聞くと、本当にクララの日記に書かれた時代と現在が直接に繋がっていることを実感しますわね」
「ではでは、長くなってきたので、今回分はこの辺でー。あ、一言だけだけど、今回初登場した矢野氏だけど、この人物がクララにとっての最大の“怨敵”となったりー」
「“怨敵”って、貴女ね! ともあれ、次回は“百年目の独立記念日”がメインの話題となる予定ですわ」
(終)


と云った所で、今週も最後までお付き合い下さった方、有り難うございましたm(_)m。
最後まで読んで頂けた方、拍手ボタンだけでも押して頂ければ幸いです。それとご意見・ご感想、質問等も随時募集中ですのでお気軽に拍手で。