Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第17回−3

1876年7月1日 土曜日 
狭苦しくも、懐かしいニューアークを出発してから今日で丁度一年になる。
母は今朝、富田夫人と共にウメの子供が埋葬される前に一目見に行った。
小さな四角い包装箱に入れられた遺体は、日本の様式に従い坐った姿勢で頭を胸に垂れていたそうだ。そして遺体を納めた箱の上には白い木綿の着物――お金持ちは絹製らしい――が掛けられ、蓋の上には私たちが上げた玩具と、セイキチの大事な刀が置いてあったという。セイキチは子供を焼かないで埋葬するつもりだ。
「奥様、我が子のためにご参列頂き、本当に有り難うございます。息子もさぞ喜んでいることでしょう」
必要以上にお辞儀をするセイキチたちに、母は涙を零さずにはいられなかった。
「何故私は、この子の生きている間にイエス様のことを話さなかったのだろう」
母は子供にイエス様のことを話さなかったことが悔やまれて、泣かずにはいられなかった。お祈りをすると、セイキチたちは喜んだ。セイキチが子供にお祈りして欲しいと切に頼んだのは不思議な話だけれど、貧しくてお坊さんに払うお金もなかったのだ。
母がセイキチたちにイエス様のことを話すと、富田夫人が通訳して、それから「主の祈り」を日本語で繰り返した。これこそ、本当に気高い伝道行為である。多大な祝福を賜わりますよう。
今日お菓子を焼いたり、片付けものをしたり、お皿を洗ったりして、とても忙しかったが、みんな大嫌いな仕事である。ウメとセイキチがいないと、あらゆる面で困ってしまう。テイはとてもいい人なのだが、一度に二つのことはできないし、仕事がどっと来るとひどく慌ててしまって、すべてをめちゃくちゃにしてしまいそうになる。