クララの明治日記 超訳版第21回−5
1876年10月13日 金曜日
今日はケーキを作ることにした。なんでも勝提督はケーキが大好きだそうだ。
お逸は家に持って帰るカップケーキを作ったのだけれど、滑稽で見ていられないほどだった。
「あっ!」
指にバターがちょっとつくと、端正な顔をしかめた。そして慌てて拭き取りながら「カーッ」と云うのだった。年頃の女の子としてその態度はどうなのだろう? と思わないでもないのだけれど、そんな仕草も可愛いのだから仕方がない。
ちなみに。日本人は、我々の使うバターがとても嫌いだ。でもそれも無理ないと思う。バターは大抵デンマークかオランダ産で、本当にひどい匂いがする!
いつもの午後の散歩の後、お逸は家に帰って行った。