Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第29回−3

1877年3月30日 金曜日
今朝四時半頃、半鐘の音と人々の駆けてゆく音で目を覚ました。
起きてみるとうちから二街区も離れていないところで炎が立ち上っていた。
風がこちらの方向に向かって吹き、火の粉が飛んでくる。
我が家の危機に瀕し、とても怖かったのだけれど、幸い消防隊の必至の活躍のお陰で六時前には火事は殆ど収まった。
しばらくすると友人たちが来始め「何か援助することはありませんか?」と云ってきてくれた。
夜明け前に“消防士の服を着た十字屋さん”こと原胤昭氏が、提灯を持ってお見舞いに来て下さった。
丁度私は二階の縁側にいて、紋章と声でその呼びかけがすぐに十字屋さんだと分かった。本当に心の籠もった挨拶をしてくれた。
大工さんたちが大挙して出動し、もし必要な場合には家具を運ぶのを手伝ってくれるつもりでいた。
お米屋さんも、杉田家の別当も、松本家の使用人も、それから見知らぬ友達も何人か、その他富田氏、佐藤氏、小泉氏も来て下さった。
我が家を守って下さった神様にとても感謝しているけれど、被災者の方々は本当にお気の毒だと思う。
もっとも日本の被災者たちは、あまり意気消沈した顔はしていないようではあるけれど。
先週の土曜に入港予定だった汽船、東京号は速い船なのにまだ入港しない。