Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第30回−2

1877年4月18日 水曜日
今日、古いトランクをひっくり返していたら、アメリカを発つ前に頂いた昔の年賀状が出てきた。
素敵な銅版画で、小さいキューピッドの乗った貝を、海豚やその他想像上の動物が引いているものだった。
そう云えば、と今更ながらに思い出して裏を見てみると署名があって、それぞれ「Y.松平」と「S.松平」と「H.南部」と入っていた。
「S.松平」というのは確か、高木さんの仕えていた桑名藩主で、以前我が家に来たことがある松平定敬氏の義理の息子で、最後の桑名藩主であった松平定教氏のことだ。南部というのは、東北にある藩の家老の息子さんで、Y.松平と云うのは……確か!
「おやおさん、これ、見て頂戴!」
「ど、どうされましたの、クララ先生?」
あまりに慌てているので、おやおさんを驚かせてしまった。
でも私は咄嗟になんと云ったらいいか分からず、その年賀状をそのままおやおさんに手渡す。
「Y.松平……これは康倫様の筆跡ですわ!」
この時、おやおさんの浮かべた幸せそうな表情をなんと表現したらよいのだろう。
幸せのシャワーを浴びた朝顔みたいな笑顔。
「このカード、我が家に持ち帰り飾らせて頂いて宜しいでしょうか?」
勿論、その言葉に否と云うわけがない。
私が渡して差し上げると、おやおさんはすっかり喜んで、そのカードを抱きしめながら家に持って帰った。
そうそう、母に話のあった皇后様の学校の職は駄目になった。外国人ではいけないそうだ。残念。