Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第30回−6

1877年5月10日 木曜日
昨晩は疲れ切っていたので、私たちは寝坊してしまった。
普段使わない日本式寝床でも、とてもよく眠れた。まるで、いつもし慣れているかのように、掻い巻きを掛けて寝たのだけれど、あまり自慢はできない。
起きた時に寝ぼけ眼で見たら、脚は丸出し。
でも日本人はそのようなお行儀の悪さを責めたりはしないだろう。森夫人だって、最初寝台から落ちられたではないか。
やっと起き出してみたら、雨がひどく降っていたので、今日の旅行を見合わせなくてはならず、私たちは自分たちだけでできる限りの娯楽の種を見つけようとつとめた。
楽しみの一つは、前夜は暗くて分からなかったのだけれど、旅館のすぐそばを流れている急流を眺めることだった。
また反対の山側には、あちこちに温水と冷水の小さな滝が流れ落ちていた。
車夫のクマが小さな滝で気持ちよさそうに水浴びをし、ボズも真似をするのを私たちは部屋の縁側から眺めた。二人にとっては本当にとても楽しかったに違いない。
この辺でもう一つ変わったことは、どの橋も土台が石を一杯入れた細長い駕籠でできていることだった。
どうしてそれで橋の下部が固定させられるのか私には分からないけれど、どんなに急な水の流れにもびくともしないところを見ると、明らかにしっかり固定しているに違いない。
それはとても賢明な工夫であり、更に大変奇抜で他に例を見ないものだと思う。
私は一日中火鉢――とても寒かったので――のそばで横になっていたけれど、あまり気分が良くなく、休んでいなくてはならなかったからである。
旅館中にある本を、外国のも日本のも皆集めてきて、日本の物語やマクミランの文芸誌や「ジェントルマンズ・ジャーナル」などに読み耽ったのだけれど、確かに随分ためになったと思う。オランダの文学の現状についての論文を読み終えると、もうそのような固い読み物は十分だというような気がして、この国の物語を読み始めた。